アジア株

アリババグループ(Alibaba group)の英語決算書が5分で分かる!


(出典:Sapore di China)

アマゾンから初めてeコマース(通販)関連の銘柄を紹介しています。巣籠り需要に投資するのは遅すぎと感じるかもしれませんが、これから投資できる銘柄もありそうですし、コロナで通販が日常生活に定着したので、長期的に成長が期待できるテーマです。

第三回は中国のアリババ(NYSE: BABA)を紹介します。言わずと知れた中国eコマースのトップ企業ですが、中国株は先日大きく下落したので、もしかしたら投資対象になるかもしれません。

では、決算書の内容についてポイントを絞って分かりやすく解説していきます。しっかり銘柄分析してみましょう!

 

アリババの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HPより、アリババグループの創業は1999年、杭州市(こうしゅう)からその歴史は始まりました。一番最初に始めたのはAlibaba.comという、中国の中小規模のメーカーや個人が商品を輸出し、日本を含む海外のバイヤーに販売する、卸売りサイトでした。

ニューヨーク証券取引所に上場したのは2014年ですが、その金額は250億ドルに上り、世界史上最大のIPO(新規公開株)です。

アリババの事業内容は多岐に渡り、主要なものでも13あります。大別すると下記の9グループになります。
①小売りeコマース(例:タオバオ等)
②海外eコマース(例:Aliexpress、Alibaba.com)
③消費者サービス(例:フードデリバリー等)
④デジタルメディア(例:Youku)
⑤イノベーション(例:自動車ナビ等)
⑥ロジスティック(例:CAINIAO)
⑦マーケティングサービス(Alimama)
⑧金融、支払いサービス(ANT GROUPT)
⑨クラウドサービス(Alibaba Cloud)

事業内容はもはやeコマース、小売りに留まらず多岐に渡り、投資家にとって事業多角化のリスクが懸念される銘柄だと言えます。

 

eコマースの市場規模(社会需要)


(出典:statista)

上記は世界のeコマースの市場規模です。2014年から金額がどんどん伸びています。意外なのは、2020年は巣籠りで需要が爆発したかと思いきや、その伸びは例年並みでした。いずれにしても、コロナが終わるとしても今後も強い需要は続きそうです。

 

eコマースの業界構造(競争要因、参入障壁)

アリババが置かれる、eコマース業界について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:statista

先ず直接の競合は、他のeコマースを提供している企業でしょう。上記は中国でeコマースを提供している企業のランキングです。タオバオ(アリババグループ)が1位、Tモール(これもアリババ)が2位、3位がJD.COMです。中国ではアリババが断トツのトップですね。

但し、中国国内の需要は非常に大きいので、シェアを狙う企業は上記以外にも複数あり(参照:statista)、やはり参加しているプレイヤーは多く、競争が激しい業界です。

次は顧客との力関係です。アリババの顧客は実際に商品を買ってくれるエンドユーザーです。上記の通り、JD.COMを初めとして、アリババグループ以外のecサイトは複数あります。アリババグループの商品が高かったり、サービスが気に入らなければ、他のecサイトを選ぶことが出来ます。従って、アリババの顧客に対する交渉力はそこまで強くないと言えます。

仕入先との力関係はどうでしょうか。アリババの仕入先は様々ですが、各ブランドやメーカーもあれば、個人で商品を販売している業者もあります。例として、Alibaba.comに登録している業者の数は15万にも上ります(参照:Alibaba.com)。15万のなかから1、2社消えても、アリババにとっては全く問題無いですよね?従って、仕入先に対するアリババの交渉力は絶大だといえます。

代替サービスの脅威について、先ずオフラインの店舗があります。最近流行りのDtoC、メーカーやブランドが自社のHPで販売を行うのも代替案です。影響力や集客力が凄い個人、非常に魅力的な商品を取り扱っている人は、個人でネットショップをやる方法もあります。通販だけがモノを買う方法では無いので、代替サービスの脅威は強そうですね。

新規参入者について、eコマースで有名どころの企業は何れも創業が1990~2015年です(参照:MARKINBLOG)。ここ数年ではニューカマーの数はそこまで増えてないので、新規参入の多さは中程度でしょう。eコマースを始めるにあたっては、販売等の各システムやカスタマーサポート、販売業者のサポート、ロジスティック拠点、配達網を築く必要があり、気楽にチャレンジできる業界ではありません。参入障壁は中と言ったところでしょうか。

 

アリババのサービスの強み(商品力)

アリババが手掛けている事業は多すぎる、企業が大きすぎるので、共通した強みを言うのは難しいです。

氷山の一角にはなってしまいますが、ここではAlibaba.comを例に挙げましょう。オンライン卸売プラットフォームは、Alibaba.comが立ち上げられた1999年当初では既に珍しくもないもので、Global Sources等、既に先行して始めているサイトがありました(参照:handshake blog)。Alibaba.comが凄いのは、他のサイトとは比較にならないくらいの圧倒的な数の業者、商品を取り揃えたことです。他のサイトがあくまで各企業を紹介するだけの仲介に留まっているなか、Alibaba.comはバイヤーが各業者に見積依頼やサンプル依頼、注文、クレジットカードでの支払いも出来るようにシステムを整備しました(今日でもその差は埋まっていません)。

価格競争力から品揃え、システム構築迄、必要なことを瞬く間に揃えてあっという間に市場シェアをかっさらう、圧倒的なスピード感こそがアリババの強みだと思います。

 

アリババの株価


(出典:yahoo!finance)

上記はアリババの株価チャート(青線)です。ここ5年間はずっと上昇トレンドで、2020年10月にピークを打った後、下落して現在に至ります。現在の株価は最高値では無いものの、比較的高い水準にあります。

赤線がS&P 500ですが、アリババのパフォーマンスの方がまだS&P 500より上です。中国株は人気が無い印象がありますが、アリババは別格ですね。

 

アリババの株価指標(割安度)


(出典:Reuters)

上記はアリババの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。アリババはS&P 500には入っていませんがConsumer Discretionary(一般消費財)に属する筈なので、こちらのセクターのPERと比較します。Consumer DiscretionaryセクターのPER=22.73(参照:gurufocus)なので、アリババのPERの方が僅かに高く、株価はほぼ平均的と言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryセクターのPBR=3.52なので、これもアリババのPBRの方が僅かに高いくらいで、ほぼ平均的です。

米国市場、S&P 500は現在かなり過熱している状況なので(参照:macrotrends)、普通は市場平均=割高ということになります。しかし、Consumer Discretionaryは11あるセクターのなかでもパフォーマンスが悪い方なので(参照:barchart)、アリババのPER=23.05は割高でも割安でも無い、平均の水準と捉えて良いでしょう。

 

アリババの配当金(配当)

アリババは無配当の株です。eコマース業界では無配当がトレンドなのでしょうか。

無配当=配るお金が無い、というわけではないので、ちゃんと収益が出ているかは財務諸表でチェックしましょう。

 

アリババの業績(成長性、収益性)


(出典:アリババ年次報告書

上記より、アリババの2020年決算は増収増益でした。

売上は前期比で41%増加しています。収入の大部分はコア・コマース部門です。クラウド部門も急速に成長していますが、収入全体の8%と、まだまだ主力事業とはいきません。

コア・コマース部門の中でも、中国国内小売りが収入の大半を占めます。多分に漏れず、2020年は中国もeコマースが絶好調だったので(参照:CNBC))、アリババも確り売上を伸ばすことができました。

営業利益は前期より僅かに減っています。これは、主に売上原価が前期比より増加し、売上の増加分より費用の増加分が上回ったからです。Sun Artの買収に関連し、在庫コストが大きくなった為だということです。一概に利益率が悪くなったとは言えず、利益率は今後の推移を見る必要があります。

純利益は前期比で僅かに増加しています。アリババは利子及び配当所得が大きいので、営業利益より純利益が大きくなっています。アリババのような持株会社では配当所得が多いのは良く見られますね。

さて、アリババの収益性を確認する為に、売上高純利益率を計算してみましょう。今期の売上高純利益率=19%です。アリババは恐らく「オンラインショップ業界」に含まれるので、こちらの業界平均=4~6%(参照:csi market)と比べると、アリババの収益性は高いと言えます。

 


(出典:Reuters

上記は2022年度業績予想ですが、売上は前期比29%増の9271億元、EPS(一株当たり利益)が62.287元の予想です。今年はEPSの伸びがストップする予想になっています。2021年度の業績が良すぎたのか、今年は最高益更新とはならないようです。

 

アリババの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:アリババ年次報告書

賃借対照表で目立つのは純資産の大きさですね。資本余剰金や利益余剰金が非常に大きく、株主からの資金や、今まで蓄えてきた利益が潤沢であることが良く分かります。借方で大きいのは現金(流動資産)とのれん(固定資産)です。のれんの金額が大きい企業は、今まで数多くの買収をしてきた企業です。中国の大企業に多いですが、手元のお金に余裕が出てくると、規模が小さい企業を買収してスケールアップするのがお決まりですね。

では前期比での資産増減を見ましょう。借方では短期投資(流動資産)が増えています。貸方では買掛金と利益余剰金が増えてます。イメージとしては利益余剰金を短期投資に使った感じです。いずれにしても得られた利益を投資に使って資産規模が大きくなっている、理想的な企業の成長の形です。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷総資産=8%でした。業界平均は6~9%(参照:CSI Market)なので、アリババの収益性は平均並みです。ROE(自己資本利益率)=純利益÷純資産=13%、業界平均は19~30%なので、ROEを見ると、収益性が平均より低いということになります。

短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率=流動資産÷流動負債=170%で、100%を上回っており安全性が高いです。

自己資本比率は63%と、理想の50%を上回り、倒産の心配は皆無で安全性は非常に高いです。

 

アリババのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:アリババ年次報告書

アリババのキャッシュフローを一つずつ見ていきましょう。

先ず営業キャッシュフローは大きなプラスです。営業キャッシュフローが純利益よりかなり大きくなっていますが、主に株式報酬と買掛金の増加分です。またまた出ましたね、株式報酬。eコマース業界は本当に株式報酬が大好きです。

投資キャッシュフローは大きなマイナスで、大きなものは短期投資(有価証券等)です。

財務キャッシュフローはプラスで、無担保優先債の新規発行が多かったです。

キャッシュフローを総合すると、本業でがっつりキャッシュが入ったものの、投資で使い切ってしまい、少し借入を増やしたという、先ず先ずの内容で、一先ず資金繰りには問題無く安全性は普通と評価します。

 

アリババの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、アリババの総合評価は60点です。

間違いなく中国No.1の企業ですが、最近行った買収(Sun Art)で収益性が悪化してしまったようで、業績も悪化しています。すぐに建て直せれば良いのですが、一先ず今は様子見としたいところです。アリババのようにバンバン買収を行って、抱える会社が多くなる(しかも株を持っている会社の業種も様々)と、どの会社は業績が悪くて足を引っ張っているのか、どの会社が稼ぎ頭なのか、アリババの配当所得は今後どうなるか、把握するのが難しくなってくるので、投資家にとって難易度が高い銘柄だと思います。

アリババに投資すべきかどうか、今後の買収等で予想外のリスクが懸念されるので「投資すべきでない」というのがしーおがが個人の判断です。

以上、アリババの決算書解説でした。

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