米国株

カナダ通信業界を100年以上牛耳る長老!BCE(米国株)の銘柄分析


(出典:BCE

先日、通信インフラ関連のおススメ銘柄でBCE(NYSE: BCE)を紹介させて頂きました。

高配当狙いなら通信インフラで決まり!通信株(米国株)のおすすめ銘柄3選

今回はBCEが投資に値するかどうか、詳しく調べさせて頂きましたので、その結果を皆さんにも共有したいと思います。「知らない企業だけど投資しても良いか知りたい!」という方は是非下記を参考にして下さい。

ではさっそくいってみましょう!

 

BCEの企業概要、事業内容(単純事業)


(出典:BCE

BCEの歴史は1876年に遡ります。Alexander Graham Bell氏がベルの電話の特許権を父親に譲り、父親が電話会社を始めたことが歴史のスタートです。社名がベルからBCEになったのは1983年で、BCE(Bell Canada Enterprise Inc.)がベル(Bell Canada)の完全親会社になりました。

BCEが行っている事業は
①ベル ワイヤレス(電波通信)
②ベル ワイヤライン(有線通信)
③ベル メディア(TV放送等)

の3セクターです。売上はベル ワイヤレスが全体の半分以上なので、携帯キャリア会社だと思って頂いて間違いありません、日本で言うNTTみたいな感じですね。

ベル メディアが少し毛色が違う事業で、今後BCE全体の足を引っ張らないか少し気になるところではありますが、基本的には事業のメインは通信に関するものだけで、投資家にとって事業複雑化、多角化によるリスクが少ない銘柄だと言えます。  

 

通信サービスの市場規模(社会需要)


(出典:statista)

上記はカナダの通信サービス売上の推移です。カナダの人口はゆっくり増加傾向ですが、不思議なことに売上はずっと横ばいです。恐らく客単価が上がっていない、寧ろ下がっているようです。何れにしても通信の需要は無くなりませんが、今後爆発的に増えることも無さそうです。  

 

通信の業界構造(競争要因)

通信業界について5フォース分析をしてみましょう。 


(出典:reddit

先ず直接の競合は他の通信会社ですが、各社のシェアは上記の通りです。大手3社でほぼ独占しています。カナダの経済規模は日本よりずっと小さいので、3社だと少し多いかなという気もしますが、競争の激しさは並と言ったところでしょうか。

次は顧客との力関係ですが、日本と違ってSIMカードを差し替えれば携帯キャリアは簡単に切り替えられるので、顧客は「3社のうちどれにしようかな~?」と比較されることになりそうです。ちょっとでも料金が高ければ他社に流れる可能性はあるので、顧客の交渉力はやや強いと思います。

仕入先との力関係は、通信インフラは設備を整えることが事業の中心なので、設備関連が主な仕入先になります。設備というと、5Gアンテナや通信ケーブル等ですね。当ブログで「エリクソン」という5Gアンテナのメーカーを紹介しましたが、世界を見回しても5Gアンテナのメーカーは数社と意外に少ないのです。

5G機器メーカーで唯一まともなメーカー!?エリクソンの銘柄分析

モノによっては仕入先が限定されてしまうので、仕入先に対する交渉力は並と言ったところでしょう。

新規参入について、カナダの通信業者は何れも1960年頃に創業したり、昔からずっと通信事業を行っています。日本の楽天のように、後から参入して通信網を全国に整備するのはかなり大変で、新規参入は少ないと言えます。

代替案について、電波や電気信号以外で通信する方法は現在の科学技術ではありません。

上記を纏めると、通信業界の競争はそこまで激しくないようです。競合との差別化が難しいのでマーケットシェアを拡大するのは難しく、如何に低コスト若しくは高価格の通信サービスを普及させて収益性を上げるかが鍵となる業界だと思います。その点、5Gでは利用料金を上げざるを得ないので、利用者がどれだけ増えるか次第ではありますが、通信業者にとっては渡りに船で、今後収益性が改善される可能性があります。

 

BCEは顧客を独占しているか(独占力)

結論から先に述べますと、BCEが顧客を独占するのは不可能です。何もBCEがショボいという訳では無く、既述の通りサービス内容で競合と差別化を図り、顧客が「BCEを選ぶしかないな」となることは現実的にあり得ないからです。

一応BCEは「ベルが一番繋がりやすい」と謳っていますが、ロジャーズやテラスと圧倒的に違うのであれば、確かに顧客はベルを選ばざるを得ません。しかし実際は3社で仲良くシェアをほぼ均等に分けているので、大差は無いということでしょう。

 

BCEに似た事業を他社が始めるか(参入障壁)


(出典:CISION

一般論として通信事業は、土地や通信設備、カスタマーサポートや設備維持の従業員の確保、事業の許可が必要なので、ITや通販、広告や不動産に比べて参入障壁が高いです

他方、BCEが行う通信事業自体に独自性はありません。ロジャーズもテラスも通信事業を行っており、BCEが独自のサービスを出しても、直ぐに真似される可能性があります。 

 

BCEの株価と業績に不一致があるか(株価)


(出典:Macrotrends

上記のグラフは、一番上から株価、EPS(一株当たり利益。これを業績と考えて頂いて問題無いです)、PER(株価収益率。これが高ければ割高、低ければ割安と分かる指標)の順に並んでいます。基本的には2008年から株価は右肩上がりですが、業績は横ばいです。PERが長年かけて少しずつ上がって、今日では20.31倍になっています。

この状況は、BCEの実際の力よりも、株式市場はBCEを過大評価しているということです。BCEの株がまあまあ人気ということでもあります。

株価だけが上がって業績は実際にはあまり高くないと、何かのきっかけに株価が大暴落する可能性があるので、今後は株価暴落のリスクを少し警戒した方が良さそうです。

 

BCEは割安か(割安度)


(参照:Reuters

上記はBCEの各株価指標ですが、割安度を示す指標であるPER(株価収益率)は21.34でセクター平均より低く、PBR(株価純資産倍率)は3.12と平均より上です(参照:gurufocus)。投資家は基本的に業績を見て投資判断をするので、PERの方を重視すると、BCEはやや割安という判断になります。

 

BCEは配当を出しているか(配当)


 (参照:macrotrends

上記は上から順にBCEの株価、配当金、配当利回りです。2002年頃から基本的には増配を続けています。 配当利回りは約5%で、株の平均リターンとほぼ同じくらいなので素晴らしいです。

 

BCEの決算内容

BCEの決算内容(2021年第2四半期)を一言で表すと、「コロナの収束に伴って客単価が増えて運動成績(純利益)は上々だけど、栄養が偏って脂肪(負債)が増えて体型(自己資本比率)が崩れてしまい、ダイエット(財務キャッシュフローのマイナス)のし過ぎで出血して貧血気味(現金残高減少)という感じです。

 

ポイント1


 (出典:2021年2Q決算書

先ず注目すべきは損益計算書の営業利益(① Net earnings from continuing operations)です。インターネットやメディア等、各サービスの客単価が向上して売上が伸びていますが、それ以上に営業利益が前期よりかなり大きくなっています。これは、営業経費以外の費用、特にベル メディアの資産減損(② Impairment of assets)が小さかったからです。

営業利益が増えること自体は良いのですが、BCEのコスト体質が改善されて収益が伸びた訳ではないので、今後もどんどん営業利益が伸びる、収益性が良くなるとは断言できないことに注意してください。

 

ポイント2

(出典:2021年2Q決算書

賃借対照表では負債総額(① Total liabilities)に着目してください。資産総額(② Total liabilities and equity)が増額しているので、企業がスケールアップしていますが、その内容は資本金(③ Total equity)よりは負債の方が多いです。累積赤字は減って良い傾向ではありますが、負債も増えているので、今後どんどん負債が大きくならないかは注意が必要です。

 

ポイント3

(出典:2021年2Q決算書

キャッシュフロー計算書は財務キャッシュフロー(①Cash flows used in financing activities)に注目です。営業キャッシュフロー(②Cash flows from operating activities)がプラスで確りキャッシュが入っていますが、投資キャッシュフローで半分くらいキャッシュを使って、最終的には財務キャッシュフローで更にキャッシュを使って、キャッシュが足りなくなっています。負債額が大きいので借入返済を積極的に行いたいのだと思います。今は良いですが、このキャッシュフローが今後も続くと少し危険です。

 

BCEは今後大きくなるか?(成長性)

BCEの成長性を評価していきましょう。 既述の通り、今期は増収増益で好調です。

 
(出典:reuters

上記はBCEの業績予想ですが、2021年度は僅かに増収増益の予想です。2020年はコロナで業績が落ちたので、今年は業績が回復する見込みです。

上記を纏めると、今期は業績が回復していますが、長期的に見ると業績がドンドン伸びている訳では無く、衰退はしていないが成長もしていないと言えるでしょう。

 

BCEは儲かっているか?(収益性)

BCEの収益性をチェックしていきましょう。

利益がどれくらい高いのかが分かる指標、売上高純利益率は12%でした。これは業界平均より上です(参照:csi market)。

資産をどれくらい効率的に使えたかという指標、ROA(総資産利益率)=3%で、これも平均より上です(参照:csi market)。

ROAと似た指標の、ROE(自己資本利益率)=9%で、これも業界平均より上です。

上記より、BCEの収益性は業界平均より上で優れています。

 

BCEは倒産しないか?(安全性)

最後にBCEの安全性をチェックしましょう。

短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率=流動資産÷流動負債=83%で、100%を下回っています。賃借対照表をみたところ、支払い手形は直ぐに支払わないといけないものですが、現金と売掛金(受け取る予定の売上)の合計の方が多く、一先ず即支払いが出来なくなる状況に陥ることは無さそうです。

自己資本比率=純資産÷資産総額=35%と、下限の30%は上回っており、一先ず大丈夫というところです。

キャッシュフロー計算書から見る安全性ですが、既述の通り今期(過去3か月)の資金繰りはちょっと無理をしている内容でした。BCEの場合は借入の返済が大きいので、他にキャッシュを捻出する余裕があまりありません。つまり、今後安定的に配当を出し続けられるか、増配を続けられるかが不安が残るということです。増配狙いの投資としては、キャッシュフローに懸念が残るのは非常にマズいです。

上記を纏めると、BCEの安全性は少し低いです。  

 

BCEの総評

以下は私個人が行った銘柄評価で、特定の企業や従業員、株主を攻撃する目的はありません。又、各銘柄について絶対的に正しい評価を議論するものでも無い為、私個人の銘柄評価に対する非難や誹謗中傷、嫌がらせはお止め下さい。

さて、しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、BCEの総合評価は78点です。収益性は良いのですが、キャッシュフローに懸念が残ります。危険域では無いですが負債も増えているので、財務体質の改善も必要だと思います。

BCEに投資投資するかどうか、キャッシュフロー等の財務体質が改善される迄は「投資しない」というのが私個人の判断です。配当利回りが良い銘柄なので、早く良くなって欲しいところです!

以上、「カナダ通信業界を100年以上牛耳る長老!BCE(米国株)の銘柄分析」でした。

通信インフラ関連で他のおススメ銘柄をチェックしたい方は下記ご参照下さい。

高配当狙いなら通信インフラで決まり!通信株(米国株)のおすすめ銘柄3選

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