(出典:Techchurch)
さて、最近はゲーム関連銘柄を続けて紹介していましたが、今回で最後にしたいと思います。
ゲーム関連株で最後に紹介するのはビリビリ(NASDAQ: BILI)です。
面白い社名ですが、中国、上海の企業になります。テンセントをはじめとして、ゲーム業界では中国企業各社は存在感がありますが、ビリビリの実力はどんなもんでしょうか?
ではさっそくいってみましょう!
目次
ビリビリの企業概要、事業内容
ビリビリは「動画コミュニティ」を提供している会社です。
(出典:bilibili)
サイトを見た感じ、ニコニコ動画の中国版と言った感じですね。実際、創業者のXu Yi氏は、ニコニコ動画を見てインスパイアされたと公言しています。
動画はアニメ、漫画、ゲームに限定されています。これはXu Yi氏の好みだとか(アニオタ??)。
ビリビリのウェブサイトが立ち上がったのは2009年、ビリビリというブランドが誕生したのは翌年の2010年です。
特徴的な社名ですが、なんと私も大好きなアニメ「とある科学のレールガン」の御坂美琴(超能力で電気を使う女子中学生で、主人公の男性から「ビリビリ」というあだ名を付けられた)からきているらしいです(Xu Yi氏は完全にアニオタですねw)。
ナスダックに上場したのは2018年と、つい最近です。
事業内容ですが、既述の通りライブ配信も含めた動画がビリビリの主な事業になりますが、収入が大きいのはスマホゲームでした。有名なのは、日本のスマホゲーム「Fate/Grand Order」ですね。
アニメの配信が儲からないからスマホゲームを始めた訳では無く、元々ビリビリのユーザーはゲーム好きが多かったので、アニメ配信とゲームが親和性が高く、ビリビリがスマホゲームの提供を始めたんですが、あとから始めたスマホゲームの収入が本業であるアニメ配信を上回ったんです。
しかし最近は動画のプレミアム会員の会員費、本業であるアニメ配信の収入が増加しつつあり、ゲーム会社という感じから、本来のアニメ配信プラットフォームを中心とした企業に戻りつつあります。
アニメ業界の外部環境(外部環境)
ビリビリに関する深い分析の前に、アニメ業界を取り巻く外部環境をざっくり分析します。
いくらビリビリが優秀な企業でも、アニメ業界が厳しい外部環境に曝されていると、今後の成長が難しくなってしまうからです。
政治:中国政府がアニメの過激な性的表現を規制
経済:2021年は中国経済の停滞で個人消費が低下
社会:コロナにより家で過ごす、家でアニメを見る生活が当たり前に
技術:AIによる背景映像、CG、3D等
上記を纏めると、中国の経済状況は厳しいものの、厳しい外出規制によって家でアニメを見る機会が増え、アニメ業界にとってコロナは追い風となりました。まだ完全に外出が自由にできない中で、アニメ業界にとって好ましい状況は今後も続くと考えられます。
アニメの需要(市場)
ちょっと古いデータで申し訳ないですが、中国のアニメ市場規模は2018年で1747億元(約3.1兆円!)で、今後の成長率は約15%とかなり高いです(参照:ReportLinker)。
中国のインフレ率を考慮すると上記の成長率はかなり高めです。只、例えばビリビリのプレミアム会員費は月額25元(約448円)と、日本のアマゾンプライム並みに気軽なものですし、DVDを買ったり、昔より今はアニメを見るハードルが低くなったので、そういった有料会員獲得率を考えれば、上記の成長率は不可能でも無いでしょう。
アニメ業界の構造(業界構造)
アニメ業界業界について5フォース分析をしてみましょう。
先ずビリビリにとって直接の競合は、他にアニメを配信している企業でしょう。中国ではアニメ配信しているのは6つのサイトで(参照:Wonderfox)、競合の数自体はそこまで多くありません。
顧客との力関係ですが、アニメを見る為にビリビリじゃないといけないという理由は無さそうで、顧客は複数ある動画サイトから自由に選ぶことが出来ます。
仕入先との力関係ですが、ビリビリはAniplex等の制作会社から著作権を得てアニメを配信します。一方、例えばAniplexにとっては中国市場で膨大な顧客を握っているビリビリは重要なパートナーであり、仕入先との関係は持ちつ持たれつでしょう。
代替品の脅威ですが、SNSや映画、ブログ等、スマホやPCの暇つぶしは他にも色々あります。
新規参入について、例えば競合であるTencent Videoは2011年に参入したばかりです。アニメ制作会社から権利を得さえすればアニメ配信はできるので、新規参入は簡単な方でしょう。
上記を纏めると、プレイヤーは限られていますが配信しているアニメの差別化は難しく、やや競争がある業界だと言えるでしょう。
ゲーム業界と比較すると競合他社への切り替えが簡単な分、幅広いアニメを取り揃えたり、競合に負けない工夫が重要になってくる業界だと言えます。
競合の強さと市場シェア(競合)
ビリビリの競合企業は
・Tencent Video
・iQIYI
・YouKU(Alibaba傘下)
の3社です(違法サイトは除いています)。
ユーザーが一番多いのはiQIYI、2番手がYouku、3番手がビリビリです。
但し、iQIYIやYoukuはドラマや映画等、あらゆるジャンルの動画を配信しているサイトで、アニメや特撮、ゲームに特化しているのはビリビリだけです。
加えて、上記のどれか1社が中国市場を独占とまではいかず、各社がシェアを奪おうと凌ぎを削っている状況です。
アニメ配信に関して言えば、ビリビリは間違いなく業界トップでしょう。
経営資源の強さ(経営資源)
(出典:仮想通貨ブログ)
ビリビリの経営資源が優れているのか、ざっくり分析してみましょう。
人的資本:技術者、製品開発を中心とした従業員8,646人が勤務
物的資本:動画配信プラットホームを中心とし、アニメ、漫画等、様々なコンテンツを保有
財務資本:キャッシュを多数保有し、如何なる状況にも柔軟に対応
組織資本:日本含め、各子会社をケイマン諸島所在の親会社が保有
時価総額が大きいだけあって、従業員数もかなり多い大企業です。
スマホゲーム含め、コンテンツが命の会社ですが、エンジニアが多いのが印象的です。ソニーとのパートナーシップを含めて、社外の著作権を利用しているのが多いので、そういった作品を商品化するのに労力が掛かるというイメージでしょう。
ビリビリ(ウェブサイト)を中心としたプラットホームを維持するのに経営資源を多く投入している点は、アマゾンに似た印象があります。アマゾンと同様、プラットホームは多くの顧客を惹きつける素晴らしい魅力があるのですが、経営資源の効率性が悪くなるのが難点だと思います。
適切な経営戦略(経営戦略)
ビリビリの経営戦略が上手くマッチして市場シェアの獲得に繋がっているかを分析してみましょう。
ビリビリの経営戦略は間違いなく差別化集中戦略でしょう。Z世代(1990~2000年代の人のことだそうです。私は違う、悲しい・・・)が顧客であると明言しており、アニメファンがターゲットで、アニメに特化したコンテンツを提供しています。
(出典:AUTOMATION)
ここでは、ビリビリの代表的なゲーム、Fate Grand/orderを紹介しましょう。
詳しい人なら知っていると思いますが、日本で大人気のアニメ「Fateシリーズ」が元になったゲームです。ソニーの子会社であるAniplexの作品です。
ビリビリは元々Fateシリーズ(Fate/Zero)のアニメを配信しており、Fateのファンを掴んでいました。
そんな中、AniplexがFate Grand/orderを発表したので、ビリビリは2016年にAniplexと契約締結し、中国ではビリビリが独占的にFate Grand/orderを取り扱ったのですが、これが大成功!2017年の売上ほぼ全てFate Grand/orderになるくらいでした。
動画配信を中心に、他社製やオリジナル等、アニメファンにとって魅力的なコンテンツを豊富に取り揃えているのがビリビリの特徴です(様々な映画を獲得するネットフリックスのやり方を彷彿させますね)。
中国の動画配信業界も競争が激しいですが、「アニメ・漫画・ゲームならビリビリ」と、アニメファンの間でビリビリの存在感は非常に強い筈です。アニメ好きが作った企業の、アニメに掛ける想いは、今後のビリビリの成長に繋がっていると思います。
ビリビリの決算内容
ビリビリの決算内容(2020年年次報告書)を一言で表すと「ビリビリのユーザー数が倍増して運動量(売上)は増えたものの、体の動きに無駄(営業経費)が多くて、運動成績は前年に続いて落第点(純損失)。血液を生み出す力(営業キャッシュフロー)はあるものの、筋トレ(投資キャッシュフロー)がハード過ぎて失血、銀行からの輸血(財務キャッシュフロー)で回復したものの、ぜい肉(負債)が増えちゃっては体脂肪率(自己資本比率)が悪化!」という感じです。
損益計算書からコスト構造を見ると、年々粗利が増加しているので良い傾向ですが、同じように営業経費も上がっているので、最終的には利益が残っていません。
損益計算書とは打って変わって、キャッシュフロー計算書は良い内容です。このからくりの正体は、主にビデオの著作権等の無形資産が多いことです。ゲーム会社は他社の著作権を取得したりしますが、ビリビリは動画配信をしている関係上、ビデオの著作権が特に多いです。無形資産の減価償却(無形資産が一定年数で価値0になる想定で、毎年発生する費用)が大きいので、純利益はマイナスでも、営業キャッシュフローはプラスになっています。
賃借対照表で目に付くのは負債ですね。ビリビリは2020年の投資が非常に大きく、営業キャッシュフローでカバーしきれなかったので、借入金でキャッシュの不足を補填しています。結果として負債、特に固定負債が大きく増加して、自己資本比率が悪化しています。まだ危険な水準にはなっていませんが、創業して10年経ちますし、そろそろ利益を蓄積して純資産を増やして安定させたいところです。
ビリビリの利幅は大きいか?(収益性)
ビリビリの収益性をチェックしていきましょう。
先ずは代表的な財務指標であるROEやROA、営業利益率を調べたいのですが、ビリビリは赤字なので、これらの指標はマイナスです。
既述の通り、黒字か赤字かは企業の単年度の成績を意味するもので、赤字だから投資価値0という訳ではありません。キャッシュを生み出す、キャッシュフローこそが企業価値と言えます。
収益性が今後どうなるかを検討してみましょう。
(出典:MarketScreener)
上記はビリビリの純利益の予想です。2021~2023年も赤字の予想となっています。
2018~2020年の業績を見ると、特に販売費をガンガン掛けており、上限がどれくらいか分かりません。未だ黒字化が見えないので、上記予想は概ね正しいと思います。
上記を纏めますと、ビリビリは赤字企業で、今後2年は黒字化も難しいと言えます。
ビリビリは効率的にお金を回しているか?(効率性)
ビリビリがお金を効率的に回して儲かっているかを調べてみましょう。
効率性は総資産回転率という指標で見ます。財務諸表より、2019年の総資産回転率は0.43、2020年は0.50でした。
総資産回転率が改善していますが、2020年に売上が倍増した影響です。
ゲーム業界の総資産回転率は0.17~0.23です(参考:csi market)。これと比較すると、ビリビリの効率性は業界平均より高いです。
参考迄、S&P 500の総資産回転率の平均は0.26です(参考:csi market)。ゲーム業界はさほど資金も設備も必要ないので、総資産回転率が他の業界より高くなる傾向だと思います。
上記より、ビリビリの効率性は非常に高いと言えます
ビリビリは今後大きくなるか?(成長性)
ではビリビリの成長性を評価していきましょう。
(出典:macrotrends)
先ず今までの成長率を見て見ましょう。
上記はビリビリの売上(上)、EPSという一株当たり純利益(下)です。売上は順調に右肩上がりで成長していますが、赤字なのでEPSはずっとマイナスです。
本来、ゲーム会社は仕入れが少ないので、売上が伸びるほど加速度的に利益が大きくなっていきますが、ビリビリは他社の作品を配信しているので仕入れ、売上原価が大きいです。
従って、他のゲーム会社よりビリビリは大きな売上を上げないと、十分な利益を確保して黒字転換できないという特性があります。
売上が増加しているにも関わらず赤字が続いているのは上記理由です。
(出典:MarketScreener)
次に将来的な成長性をチェックしてみましょう。上記の図は既にお見せしましたが、ビリビリの売上、純利益の予想になります。
2021~2023年の売上成長率は30~60%、但し純利益は変わらずマイナスの予想です。
上記の成長率はアニメ市場の成長率は遥かに上回っていますが、今までのビリビリの成長スピードが今後も維持できるのであれば可能です。
2020年にビリビリが大きく成長できたのはユーザー数の増加です。毎月のペースで目に見えるスピードでユーザー数が増えていきました。
アニメを見る人は今後も増える予想で、アニメ配信ならトップのビリビリを選ぶ可能性は高そうです。その流れが実現されれば、上記成長率も不可能では無いでしょう。
競合と成長率を比較してみましょう。Tencentの2022年売上高成長率予想が11.20%、IQUYIが3.20%、Alibabaが16.50%(参照:yahoo!finance)なので、ビリビリの成長率が圧倒的に高いですね。
上記を纏めると、ビリビリの成長率は非常に高く、今後2年は今の成長スピードを維持すると言えます。
ビリビリは倒産しないか?(安全性)
ビリビリが倒産する心配が無いか、安全性をチェックします。
短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率という指標は、2020年が2.12でした。基準となる1.00を大幅に上回っており、問題無いです。
資本金が占める割合を示す自己資本比率を見ると、2019年は49%、2020年は32%と、改悪傾向ではありますが、目安である30%を上回っています。
自己資本比率について少し分析してみましょう。本来、銀行から借り入れて大規模な設備を保有する必要が無いゲーム会社は、自己資本比率が高めですが、それと比べるとビリビリは異質な内容です。
ビリビリは投資キャッシュフローが異常に大きいのが特徴です。成長フェーズにある企業であれば、営業キャッシュフローを投資キャッシュフローのマイナスが上回るのは普通です。
では、マイナスになったキャッシュはどうするか。IPOしたての企業であれば、銀行から多くのお金を引っ張れないので、新株を発行して株式市場からお金を調達します。ビリビリの場合は既に本業からキャッシュを生み出せる状態で、それなりに銀行からの与信があるので、銀行から借り入れを行って、上記のキャッシュ不足を補っています。
現在は投資キャッシュフローが非常に大きいですが、じきに落ち着くでしょう(投資キャッシュフローの内容を見ると、短期目的の有価証券獲得だったり、緊急性が無いコントロール可能な投資でした)。従って、自己資本比率の悪化は一時的なもので、ビリビリの財務体質が極限まで悪化する可能性は低く、仮に悪化したとしても制御可能な財務体質であると考えます。
さて、次にビリビリのキャッシュフローをチェックしますが、既に上記で説明した通り、投資キャッシュフローのマイナスが大きいものの、本業でキャッシュを生んでいるので、資金繰りは悪くない内容だと言えます。
上記を纏めると、ビリビリの安全性は普通の水準だと言えます。
ビリビリは割安か?(割安度)
ビリビリが割安かどうかを判断する為に、企業価値について相対評価、絶対評価(バリュエーション)を行ってみましょう。
ビリビリの相対価値評価
先ずはさくっと簡単に割安度が評価できる、相対評価を行っていきます。
株価チャート
既述の通り、ビリビリは収益性悪し、成長性良しだったので、株価(パフォーマンス)はまあまあな気がしますが、実際にはどうでしょうか?
(出典:yahoo!finance)
上記はビリビリ(赤線)と競合3社、S&P 500の株価チャート(5年間)です。
予想に反して、ビリビリのリターンが257%と、S&P 500も上回るパフォーマンスでした。恐らく、飛ぶ鳥を落とす勢いを持つビリビリを、投資家が高く評価したんでしょう。
因みに、2021年に入ってビリビリの株価がドーンと落ちているように見えますが(実際そうですが)、これは他の中国企業も同じです。2021年の中国経済の失速、アリババ等の中国大手企業に対する中国政府の規制等、2021年は悪いニュースが続き、海外投資家は中国株式市場から避難しており、中国株は軒並み暴落しました。
PER(株価収益率)
株価の高低では投資家からの人気度しか分かりません。ビリビリが投資家から人気があるのが納得できるほど、ビリビリの企業価値が高いかどうか、各評価尺度を使って評価してみましょう。
PERは純利益に対してどれくらい株価が大きいのかが分かる指標です。ビリビリは赤字なので、PERは評価不可になります。
配当利回り
ビリビリは無配当なので、配当利回りは評価不可(他社よりは低い)です。
PBR(株価純資産倍率)
(参照:yahoo!finance)
上記はビリビリと競合4社のPBRです。
PBRは資本金に対して株価がどれくらい高いのかを示します。本来は時価総額=資本金になるので、PBR=1倍ですが、その企業の株券がそれ以上の価値があると投資家が判断すれば、PBRが1倍以上に大きくなります。
上記を見る限り、ビリビリのPBRは平均よりは高そうです。
今日、資本金を積み上げることと儲ける力は直結しないので、PBRが高いからと言って必ずしも割高で投資出来ないということではありません。ビリビリのPBRが高いことをそこまで気にする必要は無いでしょう。
EV/EBITDA倍率
(参照:yahoo!finance)
次にEV/EBITDAを見てみましょう。
この評価尺度は、企業価値(EV)に対して、利息・税金・減価償却支払い前利益(EBITDA)がどれくらい大きいかを示す指標です。数値が小さければ割安、数値が大きければ割高です。
上記の通り、ビリビリはEV/EBITDAがマイナスです。EBITDAがマイナス、キャッシュフローが小さいので、これはあまり良くない内容です。
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
(参照:yahoo!finance)
最後にPCFRを見てみましょう。
この評価尺度は、株価に対して1株当たりのキャッシュフローがどれくらい大きいかを示すものです。
私はPCFRを普段あまり使わないのですが、ビリビリの場合はEBITDAがマイナスだったので、別の指標からキャッシュフローをチェックする為、今回はPCFRもチェックしてみました。
上記の通り、ビリビリだけ異様にPCFRが大きいです。営業キャッシュフローは一応プラスなのですが、キャッシュフローが小さく、株価が高いので、上記の通りPCFRが競合他社に比べて非常に高い数値になっています。
ビリビリの絶対価値評価
では次にビリビリの絶対価値価値、理論株価を超ざっくり計算してみましょう。
先に結論を述べると、理論株価はマイナス、2022年1月22日現在の株価は36.08ドルと理論株価より高く、割高の状態です。
さて、理論株価の計算方法ですがDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法を用いて計算しました。 本来は過去の財務諸表から、将来の財務諸表を厳密に計算しますが、ここでは
・今後10年分のフリーキャッシュフローは、過去5年分(参照:reuers)から予想
・リスクフリーレート(リスク0の投資先の利回り)は米国10年国債の利回り(参照:marketwatch)
・ベータ(個別の株価変動リスク)はビリビリの株価とS&P 500から算出(参照:yahoofinance)
・マーケットリスクプライム(投資家が株式に期待するリターン)はS&P 500の過去10年のリターンの平均値(参照:macrotrends)
・有利子負債資本コスト(企業が借りている借金の金利)やD/Eレシオ(負債と資本金の比率)は最新の決算書を参照
・永久成長率は中国の物価上昇率を参照(参照:statista)
・必要手許現預金は月商3か月分
・保有しているその他流動資産、その他固定資産等は余剰投資資産と想定
という前提でざっくり計算しました。 計算結果詳細は下記です。
結局ビリビリは割安か、今後株価は上がるのか?
先ずは上記の分析結果を纏めてみましょう。
相対評価、絶対評価を見れば、ビリビリの企業価値は低く、現在の株価は割高だと分かります。
では何故現在の株価が非常に高い状態なんでしょうか?
ビリビリの人気の秘密は成長率です。過去も、今後も非常に高い成長率を示しており、それに魅力を感じて投資家がビリビリに投資しています。フリーキャッシュフローがマイナスなのも関係無く、将来性を高く評価しているんです。
では今後の株価動向を考察してみましょう。
現在の株価を支えているのはビリビリの将来性です。つまり、ビリビリの将来性が怪しくなると、株価が落ちる可能性があります。
私は最近のアニメはあまり詳しく無いのですが、2022年は豊作だそうで、今年もアニメを見るユーザー数は期待できそうです(参照:Youtube)。
他方、中国株式市場に対して、海外投資家の目はまだまだ厳しいです。2021年があまりにも悪過ぎたので2022年は回復が期待されますが、中国政府の規制を中心としたリスクに対する警戒感は未だ強いと予想できます。
上記を考慮すると、少なくとも2022年のビリビリの株価は鳴かず飛ばずの状態、現在の株価で推移すると予想します。中国への株式投資が本格的に再開されれば、過去の最高値、153ドルを突破する可能性があるでしょう。
ビリビリの総評
以下は純粋に株式投資判断の為だけに私個人が独断で行った銘柄評価であり、特定の企業や従業員、株主を応援したり、逆に攻撃する意図もありません。下記に対して非難や誹謗中傷、嫌がらせは止めて下さい。
さて、しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、ビリビリの総合評価は上記の通り、個人的な投資判断は「売り」です。
上記の通り、株価が今後さらに下落する可能性は低そうですが、中国への投資が再開する迄、ビリビリの株を持ち続けるのは資産効率が悪いと思います。もっと割安でキャッシュフローが強い企業を探した方が良いでしょう。
以上、「アニヲタによるアニヲタの為のアニメ配信企業、ビリビリの株価は今後上がるか?BILIの銘柄分析」でした。
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「ゴールドリサーチ」を試した感想等の詳細は下記ブログ記事を参照下さい。
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