工業セクター 米国株

インフラ関連に投資したいならキャタピラーの株を買うべき!?CATの(米国株)の銘柄分析


(出典:bloomberg

前回までは燃料電池関連でしたが、今回からテーマを変えて「農業&建設機械」を紹介したいと思います。

先日、アメリカのバイデン大統領がインフラ投資法に署名しました。アメリカではインフラの老朽化が進んでおり、新しく建て替えをしなければいけない為、今回の投資法が成立したらしいです。これで即、建設機械がバンバン売れるという訳ではありませんが、建設機械業界にとってはチャンスですし、投資テーマとしても注目を浴びているとか。

そこで!今回ご紹介する銘柄はキャタピラー(NYSE: CAT)です!アメリカを代表する機械メーカーで、業界の方や米国株に詳しい方は知っている筈です。インフラ関連銘柄として注目されている企業で、投資価値があるかもしれません、確り分析したいと思います!

ではさっそくいってみましょう!  

 

キャタピラーの企業概要、事業内容(単純事業)


(出典:cummins

キャタピラーの起源は19世紀に遡ります。創業者の1人であるBenjamin Holt氏の会社ではトラクターを製造しており、1904年には上記写真のトラクターNo.77を試験しました。

キャタピラーが創業したのは1925年で、上記のHolt氏の会社とBestという会社が合併した時です。キャタピラーという社名は元々は商標(ブランド名)でしたが、当時キャタピラーの名前が良く市場で知られていたので、そのまま社名に使ったということです。


(出典:Caterpillar

キャタピラーは元々は農業機械のメーカーでしたが、今ではショベルカーを含め、ありとあらゆる機械を取り扱っています。

キャタピラーの主力事業は建設機械と石油・輸送(ディーゼルエンジン)の2本柱です。2つの事業はバラバラに見えますが、機械には必ずディーゼルエンジンが使われているので、製造しているものはほぼ同じと考えて問題無いです。売り込む先の顧客は多岐に渡りますが、共通した製造技術を活用しています。キャタピラーの事業多角化リスクはそれほど高くはないでしょう。  

 

建設機械の需要(社会需要)


(出典:CONEXPO

上記は世界の建設機械の販売台数推移です。

建設機械の販売台数には上下のサイクルがあり、2020年は頭打ちで100万台強となっています。

2021年は特に中国での台数が伸びて、僅かに販売台数が伸びる予想でした。実際、中国での住宅建設は旺盛らしいですが(参照:OXFORD ECONOMICS)、恒大集団の債務問題の影響が住宅建設にも及んでブレーキが掛かっていることから、上記予想よりは少なくなりそうです。

建設機械の販売台数は今後一定の水準で推移し、大きくは伸び無さそうです。新興国の需要を期待したいところでしたが、一部の国を除いて、ワクチン接種が進まなかった新興国におけるコロナのダメージは深刻で、インフラ投資は今後大きく増加していくことは期待できません。

 

建設機械の業界構造(競争要因)

建設機械業界について5フォース分析をしてみましょう。 


(出典:Counterpoint

上記は建設機械のマーケットシェアです。キャタピラーが大差をつけて1位、次に小松、日立建機等が3位以降に続きます。世界で11社以上はあるということで、競合の数は少なくないですが、数十、数百社競合がいる業界よりはマシです。

顧客との力関係ですが、上記のように建設機械は複数メーカーがあるように見えますが、日本等、各地域にある代理店は2~3社くらいでしょう。現場に機械を届けてくれて、機械を買った後にもサポートしてくれるメーカーの選択肢はそれほど多くありません。

仕入先との力関係ですが、キャタピラーの仕入先はアメリカ国内のみならず、世界各国に広がります。ボディの鉄鋼のみならず、モーターや油圧ポンプ、センサー等、様々な部品を仕入れていますが、他の仕入先に切り替えられない特殊なものは少ない筈です。

代替品の脅威ですが、建設等の力作業は機械にやって貰う以外、代替案は無さそうです。

新規参入者について、建設機械の新勢力は中国勢だと思ったので調べたのですが、一番新しいメーカーで2016年創業でした(参照:Construction Review Online)。恐らく毎年バンバン新規参入があるような人気業界では無いでしょう。

上記を纏めると、建設機械業界の競争はさほど激しく無さそうです。大きな工事の大量発注案件は競合各社でしのぎを削るものですが、普段の数台の購買は付き合いのあるメーカーに発注するものでしょう。ショベルカー1台は高くても数千万円です、たかだかショベルカー1台に、メーカー各社が挙って競いあうことは無いと思います。

 

キャタピラーは顧客を独占しているか(独占力)

既述の通り、キャタピラーは建設機械業界トップで、100%では無いですが顧客を独占していると言えます。


(出典:DIGITAL INITIATIVE

キャタピラーが凄いのは、上記の通り世界中にネットワークを有することです。

建設機械は負荷が大きい作業をするので、どれだけ頑丈に作っても壊れたりするもので、部品交換等のメンテが必要です。なので、一番重要なのはアフターサービスと部品供給体制です。自動車や家電等の一般消費財のように「売ったら終わり」では困るのが現場の機械の特徴です。

その点、顧客にとって現場の近くの何処かにはキャタピラーの代理店があるのは非常に心強いです。

世界中にあるネットワークは、アフターサービスの価格競争力にも繋がります。何故なら、特定の地域で修理や部品交換の注文が多ければ、サービスマンを常駐させるだけの収益が確保できますし、大量に部品を製造して在庫を置いておけるからです。

つまり

①キャタピラーの建設機械が売れる
→②その地域でアフターサービスの需要が生まれる
→③アフターサービス体制が強化される
→④アフターサービスが強いと顧客から好評
→⑤次の建設機械の新規発注がもらえる
→⑥新規発注が増えるので大量製造して製造コストが下がる

という好循環が生まれるのです。

最初にマーケットを押さえた強者がますます強くなるのが建設機械業界の特徴だと思います。

 

キャタピラーに似た事業を他社が始めるか(参入障壁)


(出典:Caterpillar

一般論として機械製造には工場や専用の設備、部品や材料等の仕入れ資金、技術士や開発の技術者等の人員が必要なので、ITや通信サービス、コンサルや小売といった資本が比較的少なくすむ事業よりは参入障壁が高いです。

既述の通り、建設機械はアフターサービスが命の業界だと思います。後から参入するには世界中にネットワークを広げる必要がある上に、シェアが大きくない間は価格競争力を維持するために、業界に参入して暫くは赤字を覚悟しなければいけません。後から参入しても旨味が少ない業界と言えるでしょう。

 

キャタピラーの決算内容

キャタピラーの決算内容(2020年年次報告書)を一言で表すと「特にアメリカでの建設需要が弱く、運動成績(純利益)は昨年の記録を更新できず、体(資産総額)も小さくなってしまった!けど、血液(キャッシュ)を生み出す力は依然として強く、確り献血(財務キャッシュフローのマイナス)して株主貢献を貫く!」という感じです。

キャタピラーの決算内容は典型的な成熟企業の内容でした。自己資本比率がやや小さいので今後財務体質を強化して欲しいところですが、自己株買いや配当金が多く、なかなか借入金が大きく減りません。

自己資本比率は今のところ一定水準、2020年には少し改善していますが、今後借入金がドンドン増えるようなら注意が必要になると思います。

 

キャタピラーの利幅は大きいか?(収益性)

キャタピラーの収益性をチェックしていきましょう。


 (出典:macrotrends

先ずは資本金に対してどれくらい効率的に収益を上げているかを示す、ROE(自己資本利益率)という指標を見ますが、上記の通り(青線がキャタピラー)ROEはかなり上下に振れて安定しませんが、現在は30%くらいです。

競合と比較すると、キャタピラーのROEはちょうど真ん中になっています。

   
(出典:macrotrends

次に、ROEと似ていますが、より忠実にお金を儲ける力を示す指数、ROA(総資産利益率)を見ると、上記の通り(青線がキャタピラー)上下変動が大きく、現在は6~7%くらいです。

競合と比較すると、ディーアと同じくらい、キャタピラーもお金を儲ける力が強いと分かります。


(出典:macrotrends

最後に、利益がどれくらい高いのかが分かる指標、売上高営業利益率を見ます。上記の通り(青線がキャタピラー)、営業利益率も上下が激しいですが、現在は13~14%くらいです。

競合と収益性を比較すると、だいたい真ん中くらいです。

因みに、全体平均と収益性を比較してみると、S&P 500の売上高営業利益率は16.24%です(参照:csi market)。建設機械業界に限らず、工業セクターは利益率が低めです。製造設備や仕入、労働者や研究開発費等、どうしても他の業界よりは原価率が高くなってしまう傾向があります。

上記を纏めると、キャタピラーの収益性は平均レベルだと言えます。

 

キャタピラーは効率的にお金を回しているか?(効率性)

キャタピラーがお金を効率的に回して儲かっているかを調べてみましょう。

効率性は総資産回転率という指標で見ます。財務諸表より、2019年の総資産回転率は0.68、2020年は0.53でした。

総資産回転率が悪化していますが、2020年は効率性が悪くなったというよりは、コロナの影響で売上が落ちた為です。

業界平均と比較してみましょう。建設機械業界の総資産回転率は0.5~0.6です(参考:csi market)。これと比較すると、キャタピラーの効率性は平均水準ですね。

参考迄、S&P 500の総資産回転率の平均は0.26です(参考:csi market)。これは意外な結果でしたね。キャタピラーに限らず、工業セクターは収益性が低い分、売上が大きいので、総資産回転率が高くなっているのかもしれません。

上記より、キャタピラーの効率性は平均レベルです。

 

キャタピラーは今後大きくなるか?(成長性)

ではキャタピラーの成長性を評価していきましょう。 


(出典:Yahoo!FInance

上記はキャタピラーの予想売上高成長率です。今年は20%、来年は12%と成長スピードが下がる予想です。

今年の成長率は、成長するというよりはコロナ前の水準に戻るという予想です。

2022年の予想成長率ですが、特にアメリカにおいて古くなったインフラの建て替えによる建設機械の需要が大きくなることを織り込んでいるように見えます。建設機械業界の成長率が4%、物価上昇が5%だと仮定すれば、キャタピラーの成長率12%は全く的外れな数字では無さそうです。

競合と比較すると、ボルボの予想売上高成長率(2022年)が1.70%(参照:Yahoo!finance)、ディーアが12.70%(参照:yahoo!finance)、ヒュンダイが-2.00%(yahoo!finance)、CNHインダストリアルが6.10%(参照:Yahoo!finance)なので、キャタピラーの成長性は悪くありません。

上記を纏めると、キャタピラーの成長性は高いと言えるでしょう。  

 

キャタピラーは倒産しないか?(安全性)

キャタピラーの安全性をチェックします。


(出典:macrotrends

短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率は上記の通り(3つのグラフの一番下)です。

今まで流動比率がやや低い水準でしたが、現在は基準となる1.00を超えており問題ないです。

借金が占める割合を示す自己資本比率は、2020年は19%、2019年は18%でした。

びみょーに改善傾向ではありますが、最低限の30%を下回っています。在庫や設備等が多いので、財務レバレッジを効かせる必要があるのかもしれませんが、投資家としてはもう少し余裕を持って貰いたいところです。

キャッシュフローについて、営業キャッシュフローが大きなプラス、投資キャッシュフローが小さなマイナス、財務キャッシュフローがマイナスです。フリーキャッシュフロー(営業ー投資キャッシュフロー)が大きく、確り収益を生んでいる企業だと分かります。

上記を纏めると、キャタピラーの安全性は平均的と言えます。  

 

キャタピラーは割安か?(割安度)

キャタピラーが割安かどうかを判断する為に、PER(株価収益率)という割安度を示す指標を中心に各種分析をしてみましょう。

 

キャタピラーの株価(パフォーマンス)

既述の通り、キャタピラーの収益性はまあまあ、成長性は良かったので、株価はそれなりに良さそうな気がします。実際にはどうでしょうか?


(出典:yahoo!finnce

上記は5年間の株価チャートです。

ディーア(DE)が競合に差を付けて一位、その後にキャタピラーやボルボ(VOLV)、CNHインダストリアル(CNHI)、かなりパフォーマンスが悪いのがヒュンダイ(水色線)です。キャタピラーは成長性の割には落ち着いた株価チャートだったと思います。

 

キャタピラーの実力評価(PERと収益性、成長性)

次に割安度を示すPER(株価収益率)という指標が、その銘柄の実力に反して低いのかどうかを見ます。


(参照:yahoo!finance

上記はPERと利益率(収益性)、成長率をプロットしたものです。

グラフの右に行くほど実力が高く、上にいくほど株式市場からの評価が高いことを意味します。青線より左上は割高、右下は割安ということです。

収益性も成長性もディーア(DE)がNo.1という結果になっています。キャタピラーの実力も高いほうで、もう少し株価(PER)が高くても良さそうです。

 

キャタピラーの株価(割安度)の推移


(出典:macrtrends

上記はキャタピラーのPER(一番下のグラフ)です。

ちょっと見にくいですが、PERは業績に連動して上がったり下がったりして、現在は21.44倍です。キャタピラーの今の株価は割安でも割高でも無いでしょう。

 

キャタピラーの理論株価

キャタピラーの理論株価を超ざっくり計算してみましょう。

先に結論を述べると、理論株価は330.58ドル、2021年11月22日の株価は200.44ドルと理論株価の3分の2くらいで、今の株価は割安だと言えます。

さて、理論株価の計算方法ですが、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法を用います。本来は過去の財務諸表から、将来の財務諸表を厳密に計算しますが、

・今後10年分のフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを除いたもの)は、過去5年分のフリーキャッシュフロー(参照:reuters)から予想値をざっくり設定
・リスクフリーレート(リスク0の投資先の利回り)は米国10年国債(参照:marketwatch
・ベータ(個別の株式のリスク)は株式市場で一般に公開されているデータ(参照:yahoo!finance
・マーケットリスクプライム(投資家が株式に期待するリターン)はS&P 500の過去10年のリターンの平均値(参照:macrotrends
・有利子負債資本コスト(企業が借りている借金の金利)やD/Eレシオ(負債と資本金の比率)は最新の決算書を参照
・永久成長率はアメリカの物価上昇率を参照(参照:TRADING ECONOMICS
・必要手許現預金は月商2か月分
・保有している固定資産(設備等)の20%は余剰投資資産と想定

という前提で計算しました。計算結果は下記の通りです。

 

結局キャタピラーの株価は割安なのか?

上記の分析結果を見ると、キャタピラーの収益性や成長性は悪くないものの、株価が少し安い水準になっています。

基本的には市場が正しいと仮定して、何故理論株価と乖離があるのかを考察してみます。

先ず建設機械業界自体、投資家から避けられている可能性がありそうです。確かに他の業界よりは収益性も劣りますし、新興国以外では需要が大きくなることはあり得ないので、市場の成長性も限定的です。

コロナ後の打撃が大きく、建設機械の需要が思ったほど回復していないのも懸念材料でしょう。住宅やビル等の建設が戻れば建設機械の需要も戻るのですが、キャタピラーの顧客の財布が寂しくなって、設備投資を再開する迄に時間が掛かりそうです。

最大顧客の一つである中国の経済停滞の影響も大きそうです。

鉄鋼等の材料高騰もキャタピラーにとってはキツイです。実際に損益計算書を見ると、2020年に入って原価率が上昇しています。

上記を纏めると、需要があまり伸びていない上にコストアップというダブルパンチで、キャタピラー(を含む各建設機械メーカー)の状況は良くないと投資家が判断し、キャタピラーの株価は今の水準に落ち着いてしまったと言えそうです。

個人的には、上記はキャタピラーに限らずの懸念事項なので、ディーアに比べるとキャタピラーは不当に安く、特に今後インフラ投資が活発になれば、キャタピラーは再評価されて株価は上がるんじゃないかと思ってます。

 

キャタピラーは配当を出しているか(配当)


(出典:macrotrends

キャタピラーは上記の通り配当を出しており、最新の利回りは2.12%と、高配当とは言えませんが、悪い数字ではありません。

上記の通り長年増配を続けており、株主としては確実且つ十分なリターンが期待できる、魅力的な株だと言えます。

 

キャタピラーの総評

以下は私個人が行った銘柄評価で、特定の企業や従業員、株主を攻撃する目的はありません。又、各銘柄について絶対的に正しい評価を議論するものでも無い為、私個人の銘柄評価に対する非難や誹謗中傷、嫌がらせはお止め下さい。

さて、しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、キャタピラーの総合評価は76点です。

キャタピラーは世界中にネットワークを持つ業界No.1の建設機械メーカーです。建設機械業界の未来は決して明るくないので、キャタピラーの株価が爆発することは無いですが、特にアメリカのインフラ投資を受けて、そこそこ業績は回復し、再評価されて株価も上がるんじゃないかと思っています。

上記より、キャタピラーに投資するかどうか、「少額なら投資する」というのが私個人の判断です。

リスクが低い銘柄だと思っていますが、私はテンバガーを狙いたいので、キャタピラーに本気で投資するには時価総額が大きすぎると思い、「少額なら投資する」としました。

以上、「インフラ関連に投資したいならキャタピラーの株を買うべき!?CATの(米国株)の銘柄分析」でした。

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