米国株

DRホートン(D.R.Horton)の決算・業績・財務等の銘柄分析


(出典:Transport Topics)

今回から住宅建設関連の銘柄を紹介したいと思います。

当ブログでは今まで、キャッシュレスや再生可能エネルギー等の流行りの投資テーマを取り扱ってきましたが、やはり注目のテーマには人気が集中するものです。あまりにも人気が高すぎて、株価が高くなり過ぎている(割に業績は良くない)銘柄が多い印象でした。

なので、今回は注目されておらず割安だけど業績が良いであろう、着目すべきテーマとして住宅を選んだのです。米国の住宅建設数は回復してきているので(参照:The Motley Fool Japan)、地味な印象だけど投資価値があるテーマだと思います。

第一回はDRホートン(NYSE:DHI)を紹介します。多分知らない方が多いと思いますが、S&P 500に選ばれている企業です。では、しっかり銘柄分析をしましょう!

 

DRホートンの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HPによると、DRホートンの歴史が始まったのは1978年で、テキサスが拠点です。創業者であり、現会長であるDonald R. Horton氏の名前がそのまま社名になっています。ニューヨーク証券取引所には1992年に上場しています。

創業後、順調に成長を続け、米国50州中29州に83万軒以上を建設してきた実績があります。

事業内容は、金融サービス等も一部行っていますが、売上のほぼ全てが住宅建設です。大企業ですが事業内容はとてもシンプルですね。

 

住宅建設の市場規模(社会需要)


(出典:Madison’s Lumber Reporter)

先ずは社会の需要と市場を見てみましょう。上記赤色が住宅の売上です(青は建設を開始した件数です)。2006年に大きく落ち込みましたが、これはサブプライム住宅ローン危機です。その後に順調に回復し、コロナ禍でも順調、寧ろ大幅に伸びていますね。

米国の人口は右肩上がりですし、上記のグラフより、住宅建設数は2006年のピークを未だ超えておらず、増加傾向は暫く続くことが期待できます。

 

DRホートンの業界構造(競争要因、参入障壁)

次は競争要因です。DRホートンがいる住宅建設について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:Fixr

DRホートン年次報告書より、住宅建設は競合が多く競争が激しい業界であるとのことです。上記より、主要な住宅建設会社だけでも15社あり、業界トップはレナー、2番手がDRホートンです。1発で数千万円のデカい商売ですからね、契約を取るために複数の企業で激しい競争が繰り広げられています。

次は顧客との力関係です。DRホートンの顧客は家を買うエンドユーザーになります。エンドユーザーが家を建てると知れば、上記の企業が挙ってエンドユーザーに猛烈なアプローチを仕掛けるでしょう。一方、エンドユーザーにとってみれば、自分にピッタリの家を作ってくれるのであれば、家がどのブランドか意識することはあまり無いでしょう。従って、DRホートンの顧客に対する交渉力は非常に弱いと言わざるを得ません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。住宅建設には様々な材料が必要ですし、下請け会社の数も多いでしょう。建築材料について、木造建築の場合は木材の金額が一番大きくなりますが、米国で木材の会社は10社以上あるので(参照:THOMAS)、仕入れ先の選択肢は複数ありそうです。実際、DRホートンは材料各社や建設下請け各社を競わせています。DRホートンの仕入先に対する交渉力は強いでしょう。

代替サービスの脅威について、新築の代替案は複数思い浮かびますね。先ずは賃貸物件と中古物件です。シェアハウスや寮、社宅も代替になります。新築物件に対する需要は大きいですが、代替案が複数あるので、それらに市場を奪われないか、今後も油断出来ません。

新規参入者について、先ず住宅建設には許可が必要で、許可を得るための種々条件を満たす必要があります。建設に関する基準や法律への順守も求められますので、素人が直ぐに始められるものではありません。又、家の建築には図面が必要なので、建設工学の習熟も必要でしょう。更に、自前で建設を行うのであれば、建設に関わる重機等の設備も必要になってきます。参入の難しさは製造業と同程度の中といったところでしょうか。現時点で既にそれなりの数のプレイヤーが参加していることも踏まえ、住宅建設ブームが来ない限りは、今後爆発的に新規参入が増えることは無いでしょう。

 

DRホートンの強み(商品力)

DRホートンの強みは、そのマーケットシェアです。住宅建設において高いシェア(DRホートン年次報告書より、2020年は住宅建設トップだったそうです)を維持しているので、建材メーカーや建設下請けに対して大量発注することで割引を求めることが出来ます。建設コストを確り抑えることが出来るので、高い品質の住宅を手頃価格で提案できる強みがあります。

新築を購入する際、各個人の収入や資産状況を参考に銀行がどれくらいのお金を貸せるのか、組めるローン、つまり予算が決まります。同じ予算で見たときに、明らかにクオリティーの高いお家があれば、そちらを選びたくなるものですよね。DRホートンは品質で競合他社に差をつけて、エンドユーザーから選ばれ続けてきたのかもしれません。

 

DRホートンの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はDRホートンの株価チャートです。2017年から上がったり下がったりを繰り返し、コロナショックで大きく沈んた後、一気に高値まで上がりました。住宅業界の業績は景気に左右されやすいので、特に株価は上下が激しいです。チャートだけで判断すると現在は割高だと言えます。

 

DRホートンの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

DRホートンの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。DRホートンはS&P 500のConsumer Discretionary(一般消費財)に分類されます。このセクターのPER=23.48(参照:gurufocus)と比較すると、DRホートンのPERの方が低く、割安だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryのPBR=3.44なので、これもDRホートンの方が低くて割安です。S&P 500に選ばれており、業界トップ、且つこれだけ株価が上がっていても未だ割安の水準とは驚きです。

 

DRホートンの配当金(配当)


(出典:Nasdaq

上記はDRホートンの配当金です。2021年5月の配当金は0.20ドル(年間0.80ドル)、配当利回り0.93%です。高配当とは言い難い水準ですね。

しかし配当金はここ数年で増加傾向であり、良い傾向です。DRホートンの収益が期待できそうですね。

 

DRホートンの業績(成長性、収益性)


(出典:DRホートン年次報告書

上記より、DRホートンの2020年決算は増収増益となりました。

既述の通りDRホートンはほぼ全米に拠点を持っていますが、全ての地域で住宅の売上が増加しました。住宅の需要は上がり続けていますが、大きな要因としてはローンの金利が下がり続けていることです(参照:Vox)。又、現在は住宅の作り手が不足しており、需要に対して供給が追い付いていない状況でもあります。供給が逼迫して住宅価格が上昇しているので、住宅の購入を検討している人の間では、早めに住宅を購入しようというプレッシャーが広がっており、住宅の販売件数増加に繋がっています。

営業利益も増加していますが、DRホートンは住宅建設の原価を抑えられている中で、住宅の販売単価が高くなっており、利幅が増加しています。

純利益ですが、法人税が前期より増えているものの、最終的には前期比47%の大幅増となりました。

さて、DRホートンの収益性を見ると、今期の売上高純利益率は11%です。平均との比較ですが、DRホートンは「建設業」に含まれ、その業界の利益率平均は5~7%(参照:csi market)なので、DRホートンの収益性の方が平均より少し高いです。既述の通り、DRホートンはコスト圧縮に自信がありますが、その自信の通りの実力が示されました。

次にDRホートンの最新業績です。2021年2Q(DRホートンは9月決算だそうです)は売上が前期比43%減の64億ドル、営業利益はほぼ倍増の11億ドルでした(参照:DRホートン2021年2Q報告)。最新業績も更に伸びていて、止まるところを知りません。


(出典:Reuters

上記の業績予想より、2021年の売上は前期比増の274億ドル、EPS(一株当たり利益)が10.49ドルです。EPSが指数関数的に上がっている業績予想は久々に見ました、まさに絶好調ですね。最新業績を見ても、上記の業績予想は嘘では無いようです。

 

DRホートンの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:DRホートン年次報告書

DRホートンの資産状況について、先ず中身を見ていきます。借方で大きいのは在庫住宅と住宅用の土地(流動資産)です。貸方で大きいのは利益余剰金(純資産)です。やはり単価が安い商品と比べると、住宅は単価が高いので、どうしても在庫の回転率が悪くなってしまいます。すると、通常は運転資金が多く必要になりますが、DRホートンは負債をかなり少なく抑えてやりくりしており、大したものです。

では前期比での資産増減を見てみましょう。借方では現金や住宅の在庫(流動資産)、貸方では利益余剰金(純資産)が増加しています。純利益=利益余剰金が大きく増えて、結果として資産総額が増えている、まさに真の企業成長の姿と言えます。運転資金が必要なので現金を多く手元に残して置きたいところですが、余裕があれば今後は設備投資等に資金を使って、更に収益力に磨きをかけたいところです。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷資産=12%でした。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、ROAを見てもDRホートンの収益力は高いと言えます。

ROE(自己資本利益率)はどうでしょうか。DRホートンのROE=純利益÷純資産=19%ですが、業界平均は12~16%なので、これも平均を超えています。

流動資産÷流動負債=流動比率は247%で、100%を遥かに上回っており、短期の支払い能力は全く問題ありません。

自己資本比率は64%と、理想の50%を上回っており、滅多なことが無ければ倒産しない安全性と言えます。

 

DRホートンのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:DRホートン年次報告書

DRホートンのキャッシュフローを一つずつ見ていきましょう。

先ず営業キャッシュフローは、プラスで前期より大幅に増えています。尚、純利益より営業キャッシュフローの方が小さくなっています。つまり、損益計算書を見れば純利益が確りでているのに、キャッシュフロー計算書では、本業で入ってきているキャッシュフローが小さくなってしまっている状況です。これは、DRホートンは特に在庫の住宅の増加分が大きいので、これが純利益から差し引かれた為、営業キャッシュフローが小さくなっています。

投資キャッシュフローは小さなマイナスで、賃貸物件の維持に関わる支出が主です。

財務キャッシュフローは小さなプラスですが、一番大きいのは支払い手形の発行です。

キャッシュフローを総合すると、本業でがっつりキャッシュが入ってきており、投資で少しキャッシュを使い、少し借入をしてキャッシュを調達している、上々の資金繰りです。あえてケチをつければ、返済を増やして財務キャッシュフローをマイナスにして欲しいところですが、DRホートンはそこまで現金が多く無かったので、借入が少し増えても致し方ないでしょう。

 

DRホートンの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、DRホートンの総合評価は84点です。

住宅建設は競争が激しいのが傷ですが、現在は需要過多な状態で競合との価格競争もそこまで厳しくないでしょう。成長、収益、安全面は全て素晴らしいです。順調な業界でありながら注目度が低く株価が安いのも嬉しいです。

DRホートンに投資すべきかどうか、株安の今こそ「買うべき」というのがしーおがが個人の判断です。

以上、DRホートンの決算情報でした。

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