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イーベイ(eBay)の英語決算書が5分で分かる!


(出典:edesk

アマゾンから始めて、eコマース(通販)関連の銘柄を紹介しています。巣籠り需要に投資するのは遅すぎと感じるかもしれませんが、これから投資できる銘柄もありそうですし、コロナで通販が日常生活に定着したので、長期的に成長が期待できるテーマです。

第四回はイーベイ(NASDAQ: EBAY)を紹介します。アメリカの通販事情に詳しい人は知ってるかもしれません、フリーマーケット形式では世界トップの企業です。投資対象として良さそうだったので、ここで紹介したいと思います。

では、決算書の内容についてポイントを絞って分かりやすく解説していきます。しっかり銘柄分析してみましょう!

 

イーベイの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HPより、1995年にPierre Omidyar氏がオークションウェブを作ったのが始まりです。最初の事務所はカリフォルニア州はサンノゼに建てられ、現在も本社があります。

イーベイがNasdaqに上場したのは1998年です。株価は18ドルの予定でしたが、1日で3倍の53ドルに高騰したそうです。

イーベイが今日行っている事業はウェブサイト「www.ebay.com」、あとは同等のeコマースを海外拠点でも行なっているだけです。つい最近迄は求人広告を行っていましたが、2020年にAdevidaへ事業売却しました。

上記も恐らくそうですが、事業売却するときというのは、だいたいは業績が悪くてお金に困っているときです。今は立て直してきているようですが、イーベイは一時期業績がかなり悪化しており、再建の為に事業を整理して、イーベイの支払いシステムであったペイパルも切り離したことは有名です。スピンオフ後、ペイパルは順調に成長して株価は10倍に上がり、親会社であったイーベイの時価総額を遥かに超えていきました。皮肉なものですね。

兎に角、事業内容はeコマース、オンラインフリーマーケットに注力しているもので、非常にシンプルなので投資家にとって事業多角化のリスクが低い銘柄だと言えます。

 

eコマースの市場規模(社会需要)


(出典:statista)

上記は世界のeコマースの市場規模です。2014年から金額がどんどん伸びています。意外なのは、2020年は巣籠りで需要が爆発したかと思いきや、その伸びは例年並みでした。いずれにしても、コロナが終わるとしても今後も強い需要は続きそうです。

 

eコマースの業界構造(競争要因、参入障壁)

eコマースについて5フォース分析をしてみましょう。


(出典:MARKINBLOG

先ず直接の競合は、他のeコマースを提供している企業でしょう。上記は世界でeコマースを提供している企業のランキングです。もうぶっちぎりでアマゾンが1位です。イーベイは7位ですね。2位以降の中国企業は米国では存在感が皆無に等しいので、イーベイは米国では2位ですが、アマゾン以外にもウォールマート等の競合がいます。何れにしても通販業界は成長している分野なので、やはり参加しているプレイヤーは多く、競争が激しい業界です。

次は顧客との力関係です。イーベイの顧客は実際に商品を買ってくれるエンドユーザーです。当たり前ですが、米国ではアマゾンを始めとした各種通販サイトがあり、エンドユーザーはどれでも好きなサイトを選ぶことが出来ます。従って、イーベイの顧客に対する交渉力はそこまで強くないと言えます。

仕入先との力関係はどうでしょうか。イーベイの仕入先は販売業者になります。申請を行えば基本的には誰でも(アメリカ人だけでは無く日本人でも)イーベイに登録可能です。アマゾン同様、イーベイでも販売業者同士で熾烈な戦いが繰り広げられています。イーベイにとってみれば、どの販売業者がエンドユーザーから受注しても同じで、きっちり販売手数料を徴収できます。高い手数料に販売業者は不満を感じるかもしれませんが、イーベイを使わざるを得ません。よほどイーベイ離れが起きない限りは、イーベイが販売手数料を下げることは無いでしょう。従って、仕入先に対するイーベイの交渉力は絶大だと言えます。

代替サービスの脅威について、先ずオフラインの店舗があります。最近流行りのDtoC、メーカーやブランドが自社のHPで販売を行うのも代替案です。影響力や集客力が凄い個人、非常に魅力的な商品を取り扱っている人は、個人でネットショップをやる方法もあります。通販だけがモノを買う方法では無いので、代替サービスの脅威は強そうですね。

新規参入者について、eコマースで有名どころの企業は何れも創業が1990~2015年です(参照:MARKINBLOG)。ここ数年ではニューカマーの数はそこまで増えてない、新規参入の多さは中程度と言ったところでしょうか。通信販売を始めるにあたっては、販売等の各システムやカスタマーサポート、販売業者のサポート、ロジスティック拠点、配達網を築く必要がありますが、これらは楽にできるものでは無く、気軽にチャレンジできる業界ではありません。参入障壁の高さは中程度でしょう。

 

イーベイのサービスの強み(商品力)

イーベイの強み(というより違い)は、中古品やプレミアム品、ちょっと風変わりな珍品等、様々な商品が見つけられる、まさにフリーマーケットでゴミの中から宝物を探すワクワク感です。

アマゾンは規制が非常に強く、自由に商品が販売できません。例えば、アマゾンとアップルが契約を締結したという理由で、アマゾンでは認定業者以外がアップル商品を販売することが禁止されています。アマゾンを締め出された業者はイーベイに流れたそうで、イーベイには販売の自由があります(当然規約はありますし、違法行為は駄目ですが)。

イーベイの方が商品が安いメリットもあります。一度開封したけど新品等の訳あり商品等が、イーベイなら見つけることができます。

個人販売業者の出品が多いことによる商品のバラエティ(バラつき、掘り出し物)こそがイーベイ最大の強みです。

 

イーベイの株価(割安度)


(出典:yahoo!finance)

上記はイーベイの株価チャート(青線)です。コロナショック迄は株価が冴えなかったですが、コロナで一気に上昇して、現在はほぼ最高値です。

赤線がS&P 500ですが、イーベイとS&P 500のパフォーマンスはほぼ同じで、イーベイが少し上回っています。


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はイーベイの各株価指標で、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。イーベイはS&P 500、Consumer Discretionary(一般消費財)に属するので、こちらのセクターのPERと比較します。Consumer DiscretionaryセクターのPER=23.03(参照:gurufocus)なので、イーベイのPERの方が低く、割安だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryセクターのPBR=3.55なので、こちらはイーベイのPBRの方がずっと高いですね。

PERは低いけどPBRは高い、これは現時点での純利益が非常に大きいけど、純資産は小さい(過去に大きく減少した)ことを示します。純資産が何故急激に減少したのかが気になるものの、収益力は確り高いのに市場の評価=株価が低いことは確かなので、割安と考えて良いでしょう。

 

イーベイの配当金(配当)

イーベイは配当を行っており、2021年5月の配当金は0.18ドル(年間0.72ドル、配当利回り1.06%)です。高配当とは言い難いですが、1%を超えているので悪くないと思います。

ここ最近は配当金が増えているので、お金に余裕があってとても良い傾向ですね。

 

イーベイの決算内容

イーベイの決算内容を一言で表すと、「通販需要増加によって成績は上々、資本金が増えて体つきも良くなってきているものの、株主貢献の為の出血が多く将来に少し不安が残る」という感じです。

ポイント1

先ず注目すべきは損益計算書(Consolidated statement of income)の純利益(Net income)の大幅な増加です。2020年はコロナの影響により通販の需要が増えて、売上や営業利益が上がっていますが、それだけでは説明できません。原因は営業外利益(income from discontinued operation)が非常に大きかったことですが、StubHubというチケット販売事業の売却益が2020年に出た為です。身を削って一時的に成績が更に大きく向上したように見えるイメージですね。

 

ポイント2

次に注目すべきは賃借対照表(Consolidated balance sheet)の利益余剰金(Retained earnings)です。総資産額(Total asset)が増えたので体がデカくなったイメージですが、利益余剰金を含む資本金が増加したので、体の骨や筋肉が増えたイメージで、企業が確りと成長しています。自己資本比率が低く、まだまだ骨が細いという感じですが、徐々に太くなってきており、良い傾向です。

 

ポイント3

最後に注目すべきはキャッシュフロー計算書(Consolidated statement of cashflow)の投資キャッシュフロー(Net cash (used in) financing activities)です。投資キャッシュフローはここ3年間でほぼ同じ水準でかなり金額が大きいです。ちゃんと借金返済しているんだなと思いきや、なんと自己株買い(Reparchase of common stocks)がほぼ全てです。営業キャッシュフロー(Net cash provided by operating activities)で一定のキャッシュが入ってきている、血液(=キャッシュ)生産能力は高いですが、せっかく作った血液をほとんど自己株買いに使ってしまっているイメージです。今期はおまけに身を削ってまで得た血液(投資キャッシュフローの営業外利益(Net cash provided by discontinued investing activities))まで自己株買いに使ってしまっています。

自己株買い自体は決して悪いことではありません、株の発行数が減るのでEPS(一株当たり利益)が上がる、最高の株主貢献です。でも、それはお金に余裕がある企業がやることです。苦労して作り出した血液を全て使ってしまってまで、やることではありません。

 

財務諸表

 


(出典:イーベイ年次報告書

 

イーベイは今後大きくなるか?(成長性)

イーベイの成長性を評価していきましょう。

損益計算書より、2019年に営業利益が少し下がりましたが、2020年には大きく伸びてます。2020年は通販の需要が旺盛だったので、イーベイがシェアを伸ばしたというよりは、業界全体で好調だったからです。

最新業績をチェックすると、2021年1Qは売上が前期比42%増の30億ドル、営業利益は49%増の7億ドルでした(参照:イーベイ第1四半期報告)。


(出典:Reuters

上記は2021年業績予想ですが、売上は前期比16%増の120億ドル、EPS(一株当たり利益)が3.954ドルの予想です。最新業績では営業利益も増加傾向だったので、2021年業績予想も信じて良さそうです。

賃借対照表より、既述の通り利益=利益余剰金が確り蓄えられて資産総額が増え、企業がスケールアップして成長していることが分かります。

上記を纏めると、イーベイはここ3年で確り成長していると言えます。

 

イーベイは儲かっているか?(収益性)

イーベイの収益性をチェックしていきましょう。

先ず売上高純利益率を計算してみましょう。既述の通り、2020年は事業売却益があるので、無理やりですがその分の利益を純利益から差し引くと、5,667-3,125=2,542(百万ドル)なので、売上高純利益率=2,542÷10,271=24%です。イーベイが含まれる「オンラインショップ業界」において、利益率平均は3~6%(参照:csi market)なので、イーベイの利益率は平均を遥かに超えています。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷総資産=13%でした。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、こちらも相当高い水準です。

ROE(自己資本利益率)=純利益÷純資産=71%ですが、業界平均は19~30%なので、イーベイのROEが遥かに高いです。イーベイは資本金が非常に少ないので、ROEの数字はあまり意味が無いと理解した方が良いでしょう。

上記を纏めると、事業売却益を差し引いても、イーベイの収益性は非常に高いと言えます。

 

イーベイは倒産しないか?(安全性)

最後にイーベイの安全性をチェックしましょう。

賃借対照表より、短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率=流動資産÷流動負債=179%で、100%を遥かに上回っています。

自己資本比率=純資産÷資産総額=18%と、下限の20%を下回っており、少し危険ゾーンです。イーベイの資本金は2015年に大きく減少しており、原因は恐らくペイパルのスピンオフでしょう(参照:macrotrends)。自己資本比率が低いこと自体はあまり好ましくありませんが、既述の通り改善してきてはいるので、今後も継続的に改善することを期待したいですね。

次にキャッシュフロー計算書ですが、本業と事業売却でキャッシュが入ったものの、自己株買いで殆ど使い切っています。キャッシュ残高が減っていないので現時点では問題ないですが、今後自己株買いが負担になって、事業拡大の為に投資ができなかったり、キャッシュが減ってしまうとマズいです。はっきり言って、自己株買いは減らすべきでしょう。

上記を総合すると、現時点で安全性はまずまずですが、今後どうなるかは注視すべきです。

 

イーベイの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、イーベイの総合評価は76点です。

米国市場においてアマゾンの後塵を拝するかたちではありますが、フリーマーケットやオークションという、アマゾンには無い魅力がイーベイにはあります。無理をしてでも実施している自己株買いが気持ち悪いですが、収益性が素晴らしく、業績も申し分無いです。

イーベイに投資すべきかどうか、資金繰りや自己資本比率には気を付けつつも「投資すべき」というのがしーおがが個人の判断です。

以上、イーベイの決算書解説でした。

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