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エンフェーズ・エナジー(Enphase Energy)の決算情報


(出典:AZO CLEANTECH)

今回も再生可能エネルギー、太陽光発電関連銘柄を紹介したいと思います。

第五回はエンフェーズ・エナジー(NASDAQ: ENPH)を紹介したいと思います。私は知らない企業でしたが、S&P 500にも選ばれている優良企業ですね。

では企業分析、決算分析をしていきましょう!

 

エンフェーズ・エナジーの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HP曰く、エンフェーズ・エナジーは太陽光パネル用のマイクロインバーター(直流電気を交流電気に交換する装置)を製造しています。2006年にカリフォルニアで創業した、比較的新しい企業ですね(その僅か14年後にS&P 500に選ばれるのですから、驚きの成長スピードです!!)。NASDAQに上場したのは2012年です。

今日、エンフェーズ・エナジーはマイクロインバーターのみならず、バッテリー、太陽光発電モニタリング装置、太陽光パネルとインバーターを一体化させたACモジュール等、太陽光発電に関するものを各種揃えています。事業内容はシンプルで分かりやすいですね。

 

エンフェーズ・エナジーのサービス、商品(商品力)

エンフェーズ・エナジーの製品であるマイクロインバーターですが、その優位性を説明する為に、先ずは太陽光発電の直流交流交換方式について説明します。これには大きく分けて2つ、従来型と、マイクロインバーター型があります。


左が従来型、右がマイクロインバーター型(出典:GI Energy

マイクロインバーター最大の特徴と利点は2つあって、まず1つ目は発電効率です。上記の通り、従来型だと1つのパネルの発電効率が悪いと、最終的な全パネルの発電効率も一番悪いものに引っ張られて低下してしまいますが、マイクロインバーターだと、単純に全パネルの発電量を足し合わせるイメージなので、全パネルの発電効率がそこまで落ちません。

2つ目の利点は設計の自由度です。従来型は単純に直列回路にしないといけないので、一定の電圧を確保する為に、複数のパネル、例えば6つのパネルを接続しないといけないので、一般家庭の屋根上には少なくとも6枚分のパネルを設置する纏まったスペースが必要になります。一方、マイクロインバーターであれば、屋根上の好きな位置に好きな枚数だけパネルを並べて搭載できるので、小さいスペースも有効に活用できます。

エンフェーズ・エナジーは上記のマイクロインバーターを用いて、一般家庭での太陽光発電の自家消費、高効率、シンプルな設計と設置工事、長時間稼働、高い信頼性を有するシステムを提案しています。

実績について、エンフェーズ・エナジーが出荷したマイクロインバーターの数は3,400万個、設置した住宅は140万軒以上にも上ります。

 

エンフェーズ・エナジーの競合、業界構造(競争要因、参入障壁)

エンフェーズ・エナジーについて、5フォース分析をしましょう。先ずは直接の競合です。エンフェーズ・エナジーの年次報告書によると、競合はSolarEdge Technologies、Fronius International GmbH、SMA Solar Technology、AP Systems、Generac、テスラ、フアウェイ、Delta、Ginglong、Sungrow、Solax等、結構多いです。

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(出典:statistica)

上記はアメリカにおける太陽光発電用インバーターの各メーカー出荷量を示しています。エンフェーズ・エナジーは6番手に位置していますね。アメリカだけでも競争が激しく、世界市場に目を向けると更にメーカーの数は多そうです。因みに5番手に位置しているTMEICは東芝三菱電機産業システムのことです。

顧客との力関係については、エンフェーズ・エナジーは販売店経由でエンドユーザーにシステムを売っています。販売店にとってみれば競争力がある機器をエンドユーザーに売りたく、他にもメーカーが複数いるので、他のメーカーに乗り換えられるリスクは高そうです。従って、メーカーの交渉力は低そうだと言えます。

仕入先との力関係はどうでしょうか。年次報告書にはFlex社、Salcomp Manufacturing India Pvt社に製造を委託していると記載があります。エンフェーズ・エナジーにとってみれば、アメリカの労働者を使って製造を行うと高いので、委託先に頼らざるを得ず、これら製造委託先との関係は持ちつ持たれつといったところでしょうか。仕入先に対する交渉力はそんなに高くはないでしょう。

代替商品の脅威について、今のところ太陽光発電を行う際にインバーター以外のものを使うという選択肢は無いですね。では太陽光発電が無くなるかというと、自宅やマンションで気軽に発電をしたいというなら、現時点では太陽光発電一択でしょう。今日の科学技術では、とりあえず代替品の脅威は無さそうです。

新規参入者について、既にマーケットに非常に多くの参加者がいますが、エンフェーズ・エナジーと同様、製造委託してしまえば後から参加するのも簡単そうです。インバーターはダイオードとトランジスタ、コイルを組み合わせただけのシンプルな装置なので、設計もそんなに難しくないでしょう(何を隠そう、私は電気工学を専攻してたのです、全部忘れましたが・・・)。流行りの再生可能エネルギーなので新参者からの注目も高そうです。

 

発電の市場規模(社会需要)


(出典:Axion Power)

上記はアメリカの太陽光発電設置数(MW単位)です。

2010年から年々設置数は増加しています。設置する先の企業や住宅で予算があるかどうかに需要が大きく揺さぶられるところがありますが、ひとまず今後も設置数は期待できそうだと言えるでしょう。

 

エンフェーズ・エナジーの株価(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

エンフェーズ・エナジーの株価は2020年から大きく上昇していますね。コロナショックでも殆ど株価が下がらず、2021年にピークとなっています。チャートだけ見ると、現在もほぼ最高値で株価が高い水準です。

 

エンフェーズ・エナジーの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

エンフェーズ・エナジーの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。エンフェーズ・エナジーはS&P 500のInformation Technologyセクターに含まれるので、このセクターのPER=37.12(参照:gurufocus)と比較するとエンフェーズ・エナジーのPERの方が高く、株価が割高ということになります。

次にPBR(純資産倍率)を見ます。セクターのPBR=5.10で、これと比較してもエンフェーズ・エナジーは超割高です。

上記より、エンフェーズ・エナジーな超割高な水準だと言えるでしょう。

 

エンフェーズ・エナジーの配当金(配当)

エンフェーズ・エナジーは無配当です。

昔からずっと行っていないので、お金が無いというよりは、エンフェーズ・エナジーのポリシーですね。年次報告書によると、エンフェーズ・エナジーが締結している借款協定に、配当を支払うことを制限する内容があるそうです。

 

エンフェーズ・エナジーの損益計算書、業績予想(成長性、収益性)


(出典:エンフェーズ・エナジーの年次報告書

2020年は増収減益となりました。売上の増加は米国の経済回復や、米国における規定に関連して、マイクロインバーターの出荷が増えたということです。純利益が減っているのは、デリバティブ(金融派生商品)の公正価格の変動(損失)と、所得税優遇の金額が前期より減った為です。デリバティブに関連する損失が気になりますが、本業での収益力は前期よりも上がっているので、業績は上向きと言って良いでしょう。

さて、売上高純利益率については、エンフェーズ・エナジーの利益率は17%です。CSI Marketによると、再生可能エネルギーサービス・機器メーカーの利益率平均は1~2%なので、これと比較すると非常に利益率が高いと言えます。

最新の業績について、2021年1Q四半期プレスリリースによると、売上は前期比14%増の3億ドル、純利益は前期比54%減の3,169万ドルでした。研究開発への投資を増やした為、利益が減ったとのことです。


(出典:Reuters

2021年の業績予想は売上が13億ドル、EPS(一株当たり利益)が1.988ドルの予想です。1Qの成績がイマイチだったので、この数字を本当に達成できるかは半信半疑で捉えた方が良さそうです。

 

エンフェーズ・エナジーの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:エンフェーズ・エナジーの年次報告書

エンフェーズ・エナジーの資産状況について、先ず中身を見ていきます。流動資産が一番大きくて目立ちますが、その中でも現金が一番大きいですね。製造設備を持たず、製造委託先への支払い等があるので、現金を多く持っているのは当然だと思います。負債では流動負債が一番大きいですが、借入金がメインです。純資産はほぼ全て株式払込余剰金です。以上より、持っている現金は、借入金と株主からのお金、半々で構成されていることがわかります。

では前期比での資産増減を見ましょう。取引量が増えて、流動資産(主に現金)が大きく増えています。これは、借入金が増えたことと、残りは株式払込余剰金が増えた為です。従って、企業が成長して資産額が増加したわけでは無いということです。企業の本当の成長は、本業で確り儲けて、その収益を設備投資に使ったり、余剰金として計上することです。エンフェーズ・エナジーに対しては、今後この借入金を上手くビジネスに使って収益を伸ばしていって欲しいと思います。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷資産総額=0.11です。CSI Marketによると業界平均は0.6~0.7%なので、これと比較するとエンフェーズ・エナジーは資産効率が相当良いと言えます。

因みに、ROE(自己資本利益率)は27%で、これも業界平均1~2%よりずっと良いです。

流動資産÷流動負債=流動比率は174%で、100%を上回っており、短期の支払い能力は十分です。

自己資本比率は40%と、下限の30%を上回っており、一先ず倒産の心配は無さそうです。

 

エンフェーズ・エナジーのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:エンフェーズ・エナジーの年次報告書

エンフェーズ・エナジーのキャッシュフローは、営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナス、財務キャッシュフローがプラスです。

それぞれ中身を見ていきましょう。営業キャッシュフローについて、前期比で純利益は減ってしまいましたが、株式報酬、デリバティブの公正価格の変動、買掛金により、結果として本業に関しては前期よりもキャッシュが入ってきています。

投資キャッシュフローについて、主な投資は土地や工場等の購入です。

財務キャッシュフローが非常に大きいですが、転換社債の発行により資金を調達しています。本業でしっかりキャッシュが入ってきている上に投資額も小さいので、正直なところ借入は必要無い筈ですが、恐らく近々買収等の投資を行うのでしょう。

各キャッシュフローを総合すると、営業キャッシュフローがしっかり大きく、投資も小さいのに、何故かがっつり借入を行っているという少し謎の資金繰りですが、一先ず大きな問題は無いでしょう。

 

エンフェーズ・エナジーの総評

私個人の銘柄評価基準に照らし合わせた、エンフェーズ・エナジーの総合評価は64点です。

企業の競争力はまずまずかもしれませんが、業界が悪すぎます。ホットな話題でどんな企業も取り組みたいんでしょうね。株価も超絶高いですね。

エンフェーズ・エナジーに投資すべきかどうか、株安になっても絶対に「買わない」というのが私個人の判断です。今回調べてみて感じたのは、もうちょっと競合が少ない関連ビジネスがあるのかもしれませんが、太陽光発電銘柄は私にとっては魅力が少なそうです…

以上、エンフェーズ・エナジーの決算情報でした。

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