欧州株

エクイノール(Equinor ASA)の決算情報(ポイントを絞って分かりやすく解説)


(出典:AZO CLEANTECH)

今回も再生可能エネルギー、風力発電関連銘柄を続けて紹介したいと思います。

第四回は、エクイノール(NYSE: EQNR)を紹介したいと思います。多分知ってる人は少ないんじゃないでしょうか。ノルウェーの石油・ガス会社です。エクイノールは脱炭素でピンチの状況下、新しく再生可能エネルギー会社に生まれ変わろうとしているんです。

では企業分析、決算分析をしていきましょう!

 

エクイノールの事業内容

公式HP曰く、エクイノールは創業の1970年代から石油、天然ガス採掘をしている会社です。「北欧で石油採れるの?」と私も思いましたが、どうも欧州のみならず、アフリカ、北米、中南米、ロシア等、世界中で事業を行っているようですね。

世界が強制的に脱炭素へ移行されていく今日、エクイノールにとって最大のプロジェクトは石油採掘では無く、洋上風力発電なのです。既に英国の沖合、アメリカ北西部、バルト海に洋上風力発電の建設を進めています。実は日本のプロジェクトにも参加の意欲を示しており、秋田の洋上風力発電にエクイノールが入札する予定だそうです。

石油会社が風力発電なんてできるの?と思いますが、海上に超大型の建造物を建設する、海上で設備を運用、維持するという点では石油採掘と共通するところがあり、エクイノールが長年培った石油採掘での強みを活かすことができると思います。そもそも、エクイノールは既に洋上風力発電の実績を複数持っており、運用の実績もあります。建設・運用を全く知らない新参者よりは、エクイノールが1枚も2枚も上手であることが間違いなさそうです。

 

エクイノールの競合、業界構造

エクイノールの直接の競合は、他に風力発電開発を行う企業になります。


(出典:WINDPOWER MONTHLY)

上記は洋上風力発電トップ5を示していますが、例えばオランダのOrsted、スペインのIberdora等、電力会社が競合になるケースがあります。又、秋田の洋上風力発電のケースで言えば、ゼネコンの大林組、中部電力、住友商事等、思ったより色んな業界の参加者がいますね(参照:秋田魁新報社)。国の入札案件になると、どうしても競合はそれなりに多くなってしまいそうです。

5フォース分析をしてみます。顧客との力関係については、既述の通り、国のものである海上に建設するという性質上、洋上風力発電はほぼ公共入札(公的機関が新規案件を広く公開して民間企業の参加を募集し、民間企業は競合相手が提示する金額も分からないまま公的機関に自社の価格を提示し、一番安い金額を提示した民間企業が受注できるもの)でしょう。顧客は国であったり国営機関になるケースが多いと思います。公共入札は公示する側が仕様も含めて全てのルールを作るので、エクイノール含め業者側の交渉力は0です。入札とは通常、技術的な要件をクリアできれば、後は純粋に価格だけの戦いになります。Single bid(入札したのが1社だけ)でも無い限り、業者の交渉力は極めて低いと言えます。

仕入先との力関係はどうでしょうか。エクイノール自体は建設を行っていなので、ゼネコン等が下請けに入るでしょう。又、風力発電機はメーカーから供給して貰います。既に紹介したGEやゴールドウインドが風力発電機メーカーですね。

【関連情報】
GE(ゼネラル・エレクトリック)の決算情報(ポイントを絞って分かりやすく解説)
ゴールドウインド(Goldwind、新疆金風科技)の決算情報

エクイノールにとってみれば、GEでもゴールドウインドでも、風力発電機であれば基本的にはどこでも一緒です(勿論、要求仕様にマッチする提案が出来るかどうかという問題はありますが)。これらのメーカー同士を戦わせて価格を下げられるので、仕入先に対する交渉力は強そうです。

代替サービスの脅威について、電気に変わるエネルギー源は今日では無いので、電気が別の何かにとって替わられる可能性は低そうです。自家発電の可能性はありますが、初期費用が嵩むことから、太陽光発電を個人(企業でも)で買ったりするのも簡単ではありません。

新規参入者について、国等の発注者から入札資格が求められるので、風力発電の建設や運用の実績が無い企業は入札に参加できません。只、コンソーシアム(共同企業体)に入って一度実績さえ作ってしまえば、次回からは入札できる資格が得られます(実績が複数無いと駄目、という入札資格もありますので一概には言えませんが)。風力発電というタイムリーなテーマでもあり、今後業界とは全く関係無い新参者(例えば総合商社等)が増えてくる可能性はあります。

 

風力発電の市場規模、社会需要


(出典:GWEC)

上記は世界の風力発電量(GW単位)です。

2001年から風力発電量は増加しており、特に近年は加速度的に増えています。風力発電の電気を全て効率的に利用できているかは不明ですが、社会からのニーズが強い、政府の方針で増やさないといけないことは間違いないです。

 

エクイノールの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

エクイノールの株価はずっと下落傾向でしたが、コロナショックで底を打った後、現在の水準まで回復してきています。チャートだけ見ると、まだ株価は安い水準です。

 

エクイノールの株価指標


(出典:YAHOO!ファイナンス)

エクイノールの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。エクイノールは2020年が赤字だったのでPERの数値がありません。なのでPERだけ見れば現在の株価は割高ということになります。

次にPBR(純資産倍率)を見ます。石油はS&P 500で言うEnergyセクターなので、こちらと比較します。gurufocusによると平均のPBRは1.27で、これと比較してもエクイノールは割高です。

上記より、エクイノールは割高な水準だと言えるでしょう。

 

エクイノールの配当金


(出典:Nasdaq

エクイノールは配当を行っており、ここ数年では安定せず増減しています。2021年5月の配当金は0.085ドル(年間0.34ドル)、利回りは1.6%です。

配当金を出すだけのお金はありますが、増配するほど余裕は無い状況です。

 

エクイノールの業績(損益計算書)、業績予想


(出典:エクイノールの年次報告書

2020年は減収減益の赤字となりました。エクイノールの業績は原油価格やガス価格に大きく依存し、2020年は原油価格が35%低下、ヨーロッパのガス価格が38%低下した為、生産量や販売量は前期比で殆ど変わっていないのですが、売上金額は大幅に減少となりました。

因みに洋上風力発電は、エクイノールの5つの部門のうちの1つ、「その他」の部門になり、売上は全体の僅か0.9%です。今回は風力発電の銘柄としてエクイノールを紹介していますが、実際はまだまだ石油・ガスが売上全体を占めています。

さて、売上高純利益率については、御覧の通りエクイノールは今期は赤字で純利益がマイナスになってます。CSI Marketによると、他の石油・ガス会社も軒並み赤字なので、エクイノールの業績がずば抜けて悪いというわけでは無いようです。

最新の業績について、2021年1Q四半期報告によると、営業利益は52億ドル、純利益は18億ドルで、前期比で大幅に回復しています。この時期は原油価格もどんどん上がって、エクイノールの業績も好調でした。


(出典:Reuters

上記より、2021年の業績予想は売上が前期比48%増の680億ドル、EPS(一株当たり利益)が7倍増の2.092ドルの予想です。コロナショックで底を売って原油価格がどんどん上がっているので、それを反映してか、非常に強い業績予想をしていますね。

 

エクイノールの資産状況(賃借対照表)


(出典:エクイノールの年次報告書

エクイノールの資産状況について、先ず中身を見ていきます。固定資産が大きくて目立ちますが、その中でも一番大きいのは土地、工場及び機器です。エクイノールは採掘サイトを幾つも持っているので、これは普通ですね。次に大きいのが固定負債ですが、この中でも一番大きいのが公社債等の発行による借入です。以上より、土地や設備等の購入には、だいたいは長期の融資を使っていることがわかります。

では前期比での資産増減を見ましょう。減収減益の赤字にも関わらず、前期比で資産額が大きくなっています。企業の資産規模は大きくなりましたが、長期の借入(固定負債の増加)によって大きくなったので、企業が成長したわけではありません。今後、借入によって行った投資(固定資産の増加)が収益増加に繋がることを期待したいです。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、今期は赤字なのでROAはマイナスですね。CSI Marketによると業界平均もだいたいマイナスなので、エクイノールの今期の業績は普通(赤字になって当たり前)と言えます。因みに、ROE(自己資本利益率)も赤字なのでマイナスです。

流動資産÷流動負債=流動比率は158%で、100%を上回っており、短期の支払い能力は十分です。

自己資本比率は27%と、下限の30%を下回っており、少し危険ゾーンに入っています。もう少し負債に頼らず成長していきたいところです。

 

エクイノールの資金繰り(キャッシュフロー計算書)


(出典:エクイノールの年次報告書

エクイノールのキャッシュフローは、営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナス、財務キャッシュフローが小さなプラスです。

それぞれ中身を見ていきましょう。営業キャッシュフローについて、今期は赤字でしたが減価償却費も大きく、本業で入ってきているキャッシュは減ったものの、まだプラスです。

投資キャッシュフローについては、資本的支出と投資が主です。設備の購入だけなら良いのですが、設備の修繕維持費にどれくらいお金が掛かっているのか、少し気になります。2018年から投資キャッシュフローが一定レベルで推移しているので、恐らく、減らすにも減らせない投資がありそうです。

財務キャッシュフローは既述の通り公社債等による資金調達が主です。一方、借り入ればかりではなく、一部返済をしてプラスにもなっているので、財務キャッシュフロー合計額がそこまで大きくならなかったのは良い点です。

各キャッシュフローを総合すると、投資キャッシュフローが営業キャッシュフローを僅かに上回り、少しだけ借入を行っているので、ベストの資金繰りでは無いですが、そこまで悪くはないでしょう。

 

エクイノールの総評

私個人の銘柄評価基準に照らし合わせた、エクイノールの総合評価は56点です。

石油・ガス会社を今回初めて評価しましたが、原油の販売価格を自分で決められない上に、需要供給のバランスで価格がガンガン変動する業界はキツイですね。脱炭素で逆風の業界ということを抜きにしても、今後も石油・ガス価格が上がり続ける保証は無く、魅力的な業界とは言えません。今期に限った話しですが、業績も財務も厳しいですね。原油価格が戻っているからかもしれませんが、株価も高いです。

エクイノールに投資すべきかどうかは、株安になっても絶対に「買わない」というのが私個人の判断です。エクイノールが風力発電の会社に変貌し、ある程度収益を上げられるようになってから投資をするのでも遅くないですね。

以上、エクイノールの決算情報でした。

-欧州株

© 2022 しーおががの米国株ブログ Powered by AFFINGER5