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GE(ゼネラル・エレクトリック)の決算情報(ポイントを絞って分かりやすく解説)


(出典:AZO CLEANTECH)

今回はがらっとテーマを変えたいと思います。皆様大注目の再生可能エネルギーです!脱炭素が推し進められる中で、無理やりでも再生可能エネルギーが増えていくことはほぼ確実でしょう。

記念すべき第一回は、風力発電機メーカーのゼネラル・エレクトリック(NYSE: GE)を紹介します。

 

GEの事業内容

GEは発電機、タービンを製造する企業です。コングロマリットで、以前はテレビ放送関連機器やパソコン等、様々な事業を行っていました。日本でも知っている方が居るかもしれません、経営者として歴史に名を残したジャック・ウェルチによって事業多角化が進められましたが、2015年に経営が超悪化、事業を売却しまくり、現在は電力部門、航空部門、再生可能エネルギー部門とヘルスケア部門の4つに絞られました。

電力部門はガス発電用タービン、航空部門はジェットエンジン用タービンを製造しています。再生可能エネルギー部門は風力発電機を取り扱っており、風力発電もタービンを使っているので、これら3部門には共通するところがありますね。只、ヘルスケア部門は医療機器(診断機器が主)なので、タービンとは全く関係なく、異色の部門です(なので、昔からずっとスピンオフが噂されています)。

GEは重電分野において大きな存在感を示しています。発電所では必ずGE製品を見かけるといっても過言ではありません。

ARANERによると、GEのガスタービンの特徴は、種類が多く様々なニーズに対応している他、高い耐久性と信頼性が売りのようです。発電所は稼働率が命なので、耐久性は非常に重要な点であり、その点でGEは競合他社に比べて優位ですね。

 

GEの競合、業界構造

Bloomberg NEFでは風力発電タービンメーカーのトップ10を紹介してます。少なくとも10社はいるということですね。少なくは無いですが、世界で10~20社程度であれば、そこまで競合で溢れた過密な業界では無いでしょう。

シェアについて、実はここ数年はVestasやSiemens等の欧州製が世界シェアトップで、GEは3~4番手くらいでしたが、2020年はGEが堂々の1位を獲得しています。2020年はアメリカや中国でプロジェクトが多かった為です。

顧客との力関係について、GEの顧客は発電事業者等になります。数十億円という規模なので、いくら事業者が懇意にしてるメーカーがあるとは言え、特定のメーカーに発注するということは考えにくく、各社での価格競争は不可避でしょう。決してマージンをがっつり載せられるビジネスではありません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。鉄鋼や発電機の各機器や部材、羽根の炭素繊維等を仕入先から仕入れることになります。GEの年次報告書には複数の仕入先を確保していると記載があるので、仕入先同士を戦わせて良い価格を得るだけの交渉力があると考えられます。

代替商品の脅威について、風力発電はあくまで1つの発電方法なので、水力や太陽光、バイオマスや地熱等、複数の選択肢がありますね。只、再生可能エネルギーはそもそも発電量が少ないので、上記の何れかに取って代わられるというわけでは無く、これら各種発電を組み合わせて二酸化炭素排出0を目指そうというものなので、代替商品についてそこまで心配する必要はありません。

新規参入者について、風力発電タービンメーカーは何れも元々重電が強かった企業で、ぽっと出の新参者は少ないです。風力発電建設の案件がそこまで多く無いうえに、超大規模の製造設備が必要になる(しかもロボットによる自動化が非常に難しい)ので、新規参入は非常に厳しいでしょう。

 

風力発電の市場規模、社会需要


(出典:GWEC)

上記は世界の風力発電タービンの新規建設(GW単位)です。

2001年から風力発電の建設は増加傾向です。2016年頃は少し停滞していましたが、脱炭素が強く叫ばれるなか、2020年は過去最高となりました。

日本で風力はマイナーですが、再生可能エネルギーを積極的に取り入れている国では、風力発電は主力のエネルギー源です。再生可能エネルギーを増やすには、どうしても風力発電を増やすしかないので今後の需要が期待できます。

 

GEの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

GEの株価は、ここ5年で下降傾向でした。コロナショックで底を打ってから、現在は少し株価が回復しています。現在はほぼ最低価格で、チャートだけ見れば割安ですね。

 

GEの株価指標


(出典:YAHOO!ファイナンス)

GEの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。GEはS&P 500のIndustrialsの銘柄で、このセクターのPERは44.14で(参照:gurufocus)、これと比較するとGEのPERは低いです。

次にPBR(純資産倍率)ですが、IndustrialsセクターのPBRは3.04なので、GEのPBRはこれより僅かに高いです。

上記より、やや判断が難しいですが、GEの株価は割安だと言ってよいでしょう。只、PERが20倍を超えているので、超割安というレベルでは無いですね。

 

GEの配当金


(出典:Nasdaq

GEは配当を行っており、上記の通りここ最近は配当金は増加せず一定です。2021年5月の配当金は0.01ドル(年間0.04ドル)、配当利回りは0.31%です。

一応配当金は出していますが、1セントという最低限の単位で、増配できる余裕は無いと言えます。

 

GEの業績(損益計算書)、業績予想


(出典:GEの年次報告書

2020年は減収増益となりました。コロナにより航空部門の落ち込みが激しく、一方でヘルスケア部門が売上を伸ばしてカバーしていました。純利益については、BioPharmaの事業売却により利益が出ています。

収益性について、GEの売上高純利益率は6.9%です。CSI Marketによると再生可能エネルギーサービス・機器メーカーの平均は約1%前後なので、GEはそれより高いということになります。但し、GEの2020年の収益は本業によるものでは無いので、この利益率がそのままGEの実力と考えるのは注意です。

最新の業績について、公式HPのプレスリリースによると、2021年1Qの売上は前期比12%減の171億ドルでした。航空部門の売上が回復しておらず、未だコロナから復活とは行かないようです。

2021年の業績予想について、2021年1Qのプレゼン資料によると売上は前期とほぼ同じか微増、EPS(一株当たり利益)は前期比減で0.15~0.25となっています。

上記を纏めると、2020年は事業売却益で収益が出ただけで、2021年も業績は厳しそうと言えます。

 

GEの財務状況、資産効率


(出典:GEの年次報告書

GEの財務状況について、前期比で資産が減っています。流動資産のなかでも、事業売却に関する資産の減少が大きかったです。

次に資産効率をチェックすると、既述の損益計算書と上記の賃借対照表より、総資産回転率=売上高÷総資産=0.31倍となり、基準の1倍より低くなりました。CSI Marketによると、再生可能エネルギーサービス・機器メーカーの総資産回転率は0.3~0.4なので、大体平均の水準だと言えます。

流動資産÷流動負債=流動比率は157%で、100%を超えており支払い能力は十分です。

自己資本比率は14%と、最低限の15~20%を下回っており、あまり良い水準ではありません。

上記より、資産効率は業界平均レベルですが、財務健全性は悪いと言えます。

 

GEの資金繰り(キャッシュフロー計算書)


(出典:GEの年次報告書

GEのキャッシュフローは、営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがプラス、財務キャッシュフローが大きなマイナスです。

営業キャッシュフローが前期比で減っていますが、既述の事業売却益が除かれて、大きなマイナスになっています。

投資キャッシュフローのプラスは事業売却益のプラスです。

財務キャッシュフローは詳細がありませんでしたが、恐らく借入金の返済ですね。

財務キャッシュフローのマイナスが大きかったですが、営業及び投資キャッシュフローが僅かに上回り、残高が前期より増えています。

上記より、現時点で資金繰りは問題無いですが、本業で今後キャッシュを増やしていけるのかが気になります。

 

GEの総評

私個人の投資基準に照らし合わせた、GEの総合評価は66点です。

風力発電という業界は楽では無いですが、GEのブランド力は魅力ですね。ただ、財務や業績が非常に悪いです。確実に良くなっているようですが、まだまだ事業再編の道のりは長いと感じます。株価は安いですが、企業の実力を考慮すると、寧ろ割高かもしれません。

GEに投資すべきかどうか、業績回復がまだ見えないので、今は「買わない」というのが私個人の判断です。

以上、GEの決算情報でした。

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