アジア株 工業セクター

ゴールドウインド(Goldwind、新疆金風科技)の決算情報


(出典:AZO CLEANTECH)

今回も前回同様、再生可能エネルギー、風力発電関連銘柄を紹介したいと思います。

第二回は、2020年で風力発電世界シェア2位の中国メーカー、ゴールドウインド(SEHK: 2208)を紹介します。中国語だと新疆金風科技と書くそうです。

因みに、香港市場の株なので、投資したい場合はお持ちの証券会社に取扱があるかは注意して下さい。

 

ゴールドウインドの事業内容

ゴールドウインドは北京に本社を構える、風力発電機を製造する中国企業です。その歴史は意外に古く、1998年から風力発電製造を開始しています。

事業内容ですが、社名の通り風力発電機製造一本の会社です。風力発電製造部門、サービス部門、風力発電ファーム開発部門、その他部門の4つがあり、主な収益は発電機製造部門です。

ブランドについて、私も初めて聞いた社名なので、そこまで有名なメーカーでは無いでしょう(風力発電機のメーカーを気にする人はあまり居ないかもしれませんが…)。中国での案件が多いようですが、アメリカに子会社があり、アメリカにも設置実績が複数あります。もちろんアメリカ以外にも、トルコ、イタリア、アルゼンチン、チリ、カザフスタン、パキスタン、ギリシャ、ドーハ等、これまで世界各国に実績があります。

公式HPによると、ゴールドウインドの風力発電機の特徴は、直接駆動方式による高発電効率、パーツ数を最小化することによる信頼性の向上、低コスト、出力調整の柔軟性(送電網での電力調整が不要)だということです。風力発電機はデカいので輸送費のインパクトが大きいですが、純粋な製造費だけで言えば、世界トップの欧米勢よりも中国の方が優位であることは間違いありません。

 

ゴールドウインドの競合、業界構造

ゴールドウインドの競合はVestasやSiemens等の欧州メーカー、既に紹介したGEです。

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Bloomberg NEFによると、ゴールドウインドは2020年の世界シェア2位です。2020年はアメリカや中国でプロジェクトが多かったとのことです。

顧客との力関係について、ゴールドウインドの顧客は国や自治体、発電事業者等になります。数十億円という規模なので、いくら事業者が懇意にしているメーカーがあるとは言え、特定のメーカーに発注するということは考えにくく、各社での価格競争は不可避でしょう。但し、海外の大規模プロジェクトで良くある話しですが、案件の資金は海外政府が提供する代わりに、建設や機器等の仕事はその国のゼネコンやメーカーが受注することはあります。国内需要が減っていくなか、中国政府は海外案件受注に力をいれており、日本や欧米諸国と比較すると、資金援助や融資の条件が非常に緩い印象です。従って、ファイナンスを提案できる場合に限定されますが、顧客との交渉力は高そうです。

仕入先との力関係はどうでしょうか。発電機の各機器や部材、羽根に使う炭素繊維等を仕入先から仕入れることになります。詳細情報が見つかりませんでしたが、特に仕入先が限定されるようなものは無いので、複数の仕入先を競争させて、良い価格を得るだけの交渉力はあると考えられます。

代替商品の脅威について、風力発電はあくまで1つの発電方法なので、水力や太陽光、バイオマスや地熱等、複数の選択肢がありますね。只、再生可能エネルギーはそもそも発電量が少ないので、上記の何れかに取って代わられるというわけでは無く、これら各種発電を組み合わせて二酸化炭素排出0を目指そうというものなので、代替商品についてそこまで心配する必要はありません。

新規参入者について、風力発電タービンメーカーは何れも元々重電が強かった企業で、ぽっと出の新参者は少ないです。風力発電建設の案件がそこまで多く無いうえに、超大規模の製造設備が必要になる(しかもロボットによる自動化が非常に難しい)ので、新規参入は非常に厳しいでしょう。

 

風力発電の市場規模、社会需要


(出典:GWEC)

上記は世界の風力発電タービンの新規建設(GW単位)です。

2001年から風力発電の建設は増加傾向です。2016年頃は少し停滞していましたが、脱炭素が強く叫ばれるなか、2020年は過去最高となりました。

日本で風力はマイナーですが、再生可能エネルギーを積極的に取り入れている国では、風力発電は主力のエネルギー源です。再生可能エネルギーを増やすには、どうしても風力発電を増やすしかないので今後の需要が期待できます。

 

ゴールドウインドの株価


(出典:Bloomberg)

ゴールドウインドの株価は、ここ5年で低迷していましたが、2020年後半に急上昇しています。2021年にピークとなってから、現在は少し下がっているので、現在は買いやすい株価ではあります。

 

ゴールドウインドの株価指標


(出典:Reuters)

ゴールドウインドの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。HKEXによると香港市場のPERの平均は19.07で、ゴールドウインドのPERはこれと比較すると低いです。

次にPBR(純資産倍率)ですが、ゴールドウインドのPBRは基準の1倍を少し上回る水準です。これは私の経験則ですが、香港市場に限らずPBRが1倍を下回るケースはまれで、よほど市場から見放された銘柄で無い限り、1~2倍は平均的な水準です。

上記より、ゴールドウインドは株価が割安な水準だと言えるでしょう。

 

ゴールドウインドの配当金


(出典:Investing.com

ゴールドウインドは配当を行っており、上記の通りここ最近は配当金が増減しています。2021年6月の配当金は0.29香港ドル、配当利回りは2.29%です。

配当金が安定しないのは気になりますが、配当金を出すだけ余裕はあると言えます。

 

ゴールドウインドの業績(損益計算書)、業績予想


(出典:ゴールドウインドの年次報告書

2020年は増収増益となりました。売上の増加は風力発電の建設や部品の販売が主で、中国国内のみならず、海外での売上も大きく伸びました。

収益性について、ゴールドウインドの売上高純利益率は5.2%です。CSI Marketによると再生可能エネルギーサービス・機器メーカーの平均は約1%前後なので、ゴールドウインドは平均より高いということになります。

最新の業績について、2021年1Q四半期報告によると、売上は前期比24%増の68億元、純利益は8.6%増の9.7億元でした。風力発電の売上が続いており、非常に好調です。


(出典:Reuters)

2021年の業績予想について、売上は514億元、EPSは0.86元となっています。恐らく2020年は売上が記録的な年だったので、2021年はやや落ち込む予想ですが、収益性が改善してEPSが上がっています。

上記を纏めると、2020年は業績も上々で、2021年も期待できそうだと言えます。

 

ゴールドウインドの財務状況、資産効率


(出典:ゴールドウインドの年次報告書

GEの財務状況について、前期比で資産が増えています。固定資産、土地や設備等の金額が増えています。

次に資産効率をチェックすると、既述の損益計算書と上記の賃借対照表より、総資産回転率=売上高÷総資産=0.51倍となり、基準の1倍より低くなりました。CSI Marketによると、再生可能エネルギーサービス・機器メーカーの総資産回転率は0.3~0.4なので、平均より少し高い水準です。

流動資産÷流動負債=流動比率は92%で、100%を下回っており、支払い能力に少し心配があります。

自己資本比率は32%と、理想の40~50%は下回っていますが、平均的な水準には達しています。

上記より、資産効率は業界平均より少し上で効率よく経営できている一方、財務健全性は普通の水準と言えます。

 

ゴールドウインドの資金繰り(キャッシュフロー計算書)


(出典:ゴールドウインドの年次報告書

ゴールドウインドのキャッシュフローは、営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナス、財務キャッシュフローがプラスです。

営業キャッシュフローが前期比で減っていますが、損益計算書に記載の通り、売上や利益率が減少したわけではありません。

投資キャッシュフローのマイナスで、主なものは土地や設備等の投資です。

財務キャッシュフローのマイナスは、新しい借入金が主です。

現金等の残高について、投資キャッシュフローのマイナスが大きかったですが、営業及び財務キャッシュフローが僅かに上回り、残高が前期より増えています。

上記より、現時点で資金繰りは問題無いですが、もう少し投資を抑えて借入を減らして欲しいところです。

 

ゴールドウインドの総評

私個人の投資基準に照らし合わせた、ゴールドウインドの総合評価は80点です。

企業の競争力、業界の魅力度は高いです。配当が安定しないのがやや気になりますが、お金が無いわけでは無いので、どちらかというと配当金のポリシーの違い(中国企業はアメリカほどは増配に拘らない)のように感じます。中国市場にどれだけ投資家のお金が集まるのか不安なものの、割安なのも魅力的ですね。

ゴールドウインドに投資すべきかどうかは、風力発電ではお買い得な銘柄なので「買うべき」というのが私個人の判断です。

以上、ゴールドウインドの決算情報でした。

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