米国株

レナー(Lennar) の決算・業績・財務等の銘柄分析


(出典:Transport Topics)

さて、絶好調の住宅建設関連の銘柄を続けます。

第3回はレナー(NYSE: LEN)を紹介します。DRホートンと同様、住宅建設の大手でS&P 500にも選ばれているので、ブログで紹介することにしました。

では、企業分析や業界分析、株価や決算等、詳しく銘柄分析をしていきましょう。

 

レナーの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HPによると、レナーの歴史は1954年にまで遡るので、恐らく住宅建設では一番の古株でしょう。社名は創業者のArnold Rosen、Leonard Millerの名前を組み合わせて考えたそうです。レナーの本社はアメリカ南部のフロリダにあります。ニューヨーク証券取引所に上場したのは1972年です。

事業内容は、抱えている住宅ブランドの販売、住宅ローンや住宅保険の提供、不動産サービス(と言っても、取り扱っているのはレナーの物件だけですが)です。以前は住宅に据え付ける太陽光発電も行っていたのですが、Sunnovaという住宅向け太陽光発電の企業に、太陽光発電事業を売却したそうです。

全て住宅に関わるもので、事業内容はとてもシンプル、投資家にとって余計なリスクを心配することは無さそうですね。

 

住宅建設の市場規模(社会需要)


(出典:Madison’s Lumber Reporter)

先ずは社会の需要と市場を見てみましょう。上記赤色が住宅の売上です(青は建設を開始した件数です)。2006年に大きく落ち込みましたが、これはサブプライム住宅ローン危機です。その後に順調に回復し、コロナ禍でも順調、寧ろ大幅に伸びていますね。

米国の人口は右肩上がりですし、上記のグラフより、住宅建設数は2006年のピークを未だ超えておらず、需要の増加傾向は暫く続くと期待できます。

 

住宅建設の業界構造(競争要因、参入障壁)

次は競争要因です。住宅建設について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:Fixr

上記の通り、主要な住宅建設会社だけでも15社あり、競争が激しい業界です。2019年の業界トップはレナーで、2番手がDRホートンですね。1発で数千万円のデカい商売ですから、契約を取るために複数の企業で激しい競争が繰り広げられています。

【関連情報】DRホートン(D.R.Horton)の決算・業績・財務等の銘柄分析

次は顧客との力関係です。住宅建設業界の顧客は、家を買うエンドユーザーになります。エンドユーザーが家を買うと知れば、上記の企業が挙ってエンドユーザーに猛烈なアプローチを仕掛けるでしょう。一方、エンドユーザーにとってみれば、自分にピッタリの家を提案してくれれば、家がどのブランドかは気にしないでしょう。従って、住宅建設業者の顧客に対する交渉力は非常に弱いと言わざるを得ません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。住宅建設には様々な材料が必要ですし、下請け会社の数も多いでしょう。建築材料について、木造建築の場合は木材の金額が一番大きくなりますが、米国で木材の会社は10社以上あるので(参照:THOMAS)、仕入れ先の選択肢は複数ありそうです。従って、住宅建設業者の仕入先に対する交渉力は強いでしょう。

代替サービスの脅威について、新築の代替案は複数思い浮かびますね。先ずは賃貸物件と中古物件です。シェアハウスや寮、社宅、実家から出ないことも代替案になります。新築物件に対する需要は大きいですが、代替案が複数あるので、それらに市場を奪われないか、今後も油断出来ません。

新規参入者について、後からこの業界に入ってくるプレイヤーが多くなるかを考えると、この業界の参入障壁が高ければ少ない、低ければ多くなる傾向になります。一般的に住宅建設の参入障壁は比較的低いと言われています。住宅建設には許可が必要なものの、建築士等の人材を雇えば簡単にクリアできる条件だからでしょう。建設作業自体を下請けに発注すれば、自前で多くの労働力を確保する必要性も無くなります。但し、現時点で既にそれなりの数のプレイヤーが参加していることを踏まえると、住宅建設ブームが来ない限りは、今後爆発的に新規参入が増えることは無いでしょう。

 

レナーの強み(商品力)

レナー自慢の商品はEverything’s Includedです。レナーの住宅にはeeroのwifiスポットや、電力消費量管理システム、ラグジュアリーなインテリア、住宅ローン等、「あったら良いな」が全て追加料金無しで標準搭載される、トータルサービスが提供されています。競合と同じ価格設定でありながら、オプションが全て付いてくるので、エンドユーザーはお得感を感じることができます。

 

レナーの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はレナーの株価チャートです。循環株らしく、株価が上下を繰り返しており、コロナショック後に急上昇して現在はほぼ最高値です。

チャートだけで判断すると現在は割高だと言えます。

 

レナーの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

レナーの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。レナーはS&P 500のConsumer Discretionary(一般消費財)に分類されるので、このセクターのPERと比較します。Consumer DiscretionaryのPER=23.75(参照:gurufocus)と比較すると、レナーのPERの方がずっと低く、割安だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryのPBR=3.59なので、これもレナーの方が低くて割安です。DRホートンと共通して、住宅建設業界はその業績に反して、株が買われていないことが分かります。

 

レナーの配当金(配当)


(出典:Nasdaq

上記はレナーの配当金です。2021年7月の配当金は0.25ドル(年間1ドル)、配当利回り1.02%です。高配当では無いですが、1%は超えているので、まずまずといったところでしょう。

配当金はもの凄い勢いで増えていますね。配当金を増やすくらいお金に余裕があり、良い傾向です。

 

レナーの業績(成長性、収益性)


(出典:レナー年次報告書

上記より、レナー2020年決算は増収増益となりました。

売上は前期比で微増となっており、住宅の販売件数が増加したものの、単価が下がった為です。単価が下がったのは、レナーも注力商品を低価格帯の住宅にシフトした為です。

営業利益が前期比で伸びていますが、営業経費が僅かに減った為です。レナーは継続的に住宅建設費の圧縮を行って、その結果が表れています。

純利益は、営業利益から法人税を差し引いて得られますが、最終的には前期比33%増となりました。

さて、レナーの収益性を見てみましょう。今期の売上高純利益率=純利益÷売上=11%でした。平均との比較について、レナーは「建設業」に含まれ、その業界の利益率平均は5~7%(参照:csi market)なので、レナーの収益性は高いと言えます。

次にレナーの最新業績です。2021年2Qは売上が前期比22%増の64億ドル、純利益は61%増の8.3億ドルになりました(参照:レナー2021年1Q報告)。最新業績も上々の内容です。

 


(出典:Reuters

上記の業績予想より、2021年の売上は前期比22%増の267億ドル、EPS(一株当たり利益)が倍増の13.50ドルです。売上の伸びが鈍化しているのが気になりますが、EPSはグングン伸びています。最新業績は上々なので、このままの勢いで業績予想も達成できそうです。

 

レナーの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:レナー年次報告書

レナーの賃借対照表を見ると、資産の大半は住宅や土地の在庫(流動資産)です。住宅建設に使うお金はどこから捻出しているかというと、半分以上は潤沢な純資産、特に株式払込余剰金と利益余剰金です。負債にあまり頼らず、かなり資金力があると分かります。

資産の増減について、純利益=利益余剰金(純資産)が増えていますが、負債が減っているので、最終的には資産総額があまり増えていません。資産総額の増加は企業のスケールアップ、つまり成長を意味しますが、レナーの場合だと今期は成長が無かったということになります。しかし、利益が確り蓄えられており、借金も返済して財務状況が良くなっているので、良い傾向だと言えます。

次にレナーのROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷資産=8%でした。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、収益力は平均でも高い方だと言えます。

ROE(自己資本利益率)はどうでしょうか。レナーのROE=純利益÷純資産=13%、業界平均は12~16%なので、平均的と言えます。

流動資産÷流動負債=流動比率は100%を遥かに上回っており、短期の支払い能力は全く問題ありません。

自己資本比率は60%と、理想の50%を上回っており、倒産の心配は皆無です。

 

レナーのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:レナー年次報告書

レナーのキャッシュフローですが、2020年は在庫が多く出たので営業キャッシュフローが大幅に増加しており、純利益より営業キャッシュフローが大きくなっています。

投資キャッシュフローの小さなマイナスは、主に非連結企業への投資です。

財務キャッシュフローは大きなマイナスで、優先債(資産担保証券の発行に際してリスクを3分類した中で、最もリスクの低い水準の債券のこと(参照:三井住友DSアセットマネジメント株式会社))の償還にがっつりキャッシュを使っています。

キャッシュフローを総合すると、本業で確りキャッシュが入って、投資で少しキャッシュを使った上で、がっつり借入金の返済をしている、完璧な資金繰りです。

 

レナーの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、レナーの総合評価は80点です。

レナーに他社との差別化が見られませんでしたが、住宅は立地が重要ですし、現在米国では家を探しても見つかりにくい状況なので、あまり気にするポイントでは無いのかもしれません。2020年決算では財務体質が徹底的に改善されたことが非常に好感です。いつまた不況に入るか分からないので、耐久力がある会社には安心して投資できます。

レナーに投資すべきかどうか、これ以上株価が高くなるとキツイですが、今なら「買うべき」というのがしーおがが個人の判断です。

尚、住宅建設は景気に最も左右されやすい循環株に属するものです。株価の変動が激しく、一説によると売買タイミングが敏感株やディフェンシブ株とは異なるという理論もある為(参照:SBI証券)、気になる方は投資する前に勉強されることをお勧めします。

以上、レナーの決算情報でした。

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