中南米株

メルカドリブレ(mercado libre)の決算・業績・財務等の銘柄分析


(出典:Rojak Daily)

今回もキャッシュレス銘柄を続けます。

今回は中南米の銘柄を紹介しましょう、メルカドリブレ(NASDAQ: MELI)です。日本は当然、欧州や米国では全く存在感が無いですが、中南米では覇者として圧倒的な存在感を放つこの企業について、しっかり銘柄分析してみましょう!

 

メルカドリブレの企業概要、事業内容(単純事業)

先ず社名ですが、スペイン語ではmercado libre、カタカナで書くと正しい発音は「メルカード リブ」です。ただgoogle検索では「メルカドリブレ」になってしまっているので、この記事でもそう書いておきます。

さて、メルカドリブレはブエノスアイレスに拠点を置く、eコマース及びキャッシュレスの企業です。1999年からの企業の歴史はスタートしており、現在ではブラジルやアルゼンチン等の中南米18か国で事業を行っています。

イメージとしては中南米版Amazonといったところでしょうか。原因は不明ですが、Amazonは中南米では全く強くありません。多分ロジスティック網を築けなかったんでしょうね。中南米で通販と言えばmercado libre1択です。ただ、宅配はめちゃくちゃ遅いです、あまりにも遅いので多分食品だと途中で間違いなく駄目になるでしょう。

さて、メルカドリブレは創業後に順調に成長を続け、2007年には当時中南米のIT企業としては初の、NASDAQ上場を実現します。

事業内容について、既述の通りコマースサービス部門とフィンテックサービス部門の2つから成ります。コマースサービス部門では、マーケットプレイスでの販売手数料や発送料等から収益を得るもので、フィンテック部門ではMercado Pagoという支払いサービスを通じて、マーケットプレイスに限らず、各種支払いで手数料を得る事業です。

 

メルカドリブレのサービスの強み(商品力)

公式HPによると、Mercado Pagoはペイパル等と同様、クレジットカードとリンクさせてオンライン決済が出来る他、送金も出来ます。当然、クレジットカードが無くてもMercado Pagoの口座は作れます。ペイパルやスクエアと同様、キャッシュレスに関する一通りのサービスは揃っていますね。

評判はどうでしょうか。ブラジルでの評判は10点中7.3点と上々でした(参照:ReclamaAqui)。当然、返金されなかった、口座がブロックされたというクレームはありますが、ブラジルでは日常茶飯事です(それはそれで良く無いのですが…)。


(出典:MercadoPago.com

オフライン、小売店やレストラン等に向けては、上記の支払い端末を用意しています。クレジットカードやQRコード等、各種支払いに対応しています。

 

メルカドリブレの業界構造(競争要因、参入障壁)

メルカドリブレについて5フォース分析をしてみましょう。先ず直接の競合は、他のキャッシュレス支払いを提供している企業になります。ブラジルでは他にiugu、moip、ストーン、pagseguro、ペイパル、Stripeがあります。他の中南米諸国も似たような状況だと思いますが、ブラジル1国で7社もあると少しプレイヤーが多過ぎる印象です。

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(出典:NFE.io

2017年なので少し古いデータですが、上記は各社のマーケットシェアです。キャッシュレス支払いで言うと、メルカドリブレは4番手に位置しています。特にpagseguroはタクシーの支払い等でよく利用されており、メルカドリブレは後塵を拝するかたちになっています。

次は顧客との力関係です。メルカドリブレの顧客はオンラインの販売業者、レストラン等の店舗や小売業者です。数ある支払いサービスの中から顧客に選ばれる為に、安い手数料を提案したり、決して交渉力は高そうではありません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。メルカドリブレのマーケットプレイスや支払いに関する技術について、一部はプロバイダーからライセンスを取得して使用しているものがあります(参照:メルカドリブレ年次報告書)。ただ、今日ではキャッシュレス支払いは一般的なものですし、そこまで特殊な技術のライセンスでは無いでしょう。プロバイターの選択肢は幾つかあると思いますし、仕入先に対する交渉力はそれなりに強いと考えられます。

代替サービスの脅威について、日本なら電子マネーだったり、昔ながらの口座振り込み、やっぱり現金等、ぱっと思いつく限りでも複数ありますし、将来的には生体認証での支払い等、技術が進歩すれば別の支払い方法も出てきそうですね。代替品に関して言えば、キャッシュレスは油断大敵の業界です。

新規参入者について、日本の例で言えば近年は○○ペイが無数に生まれましたよね(最近は少し減って落ち着いた気がします)。インターネットとアプリ、資金管理システムさえあれば出来るので、正直誰でも出来るビジネスに見えます。端末も非接触センサーを使っただけの汎用品なので、製造は難しくないでしょう。従って、参入障壁は低いですし(メルカドリブレ年次報告書にも参入障壁が低いと記載があります)、ブラジル市場に限って言えばもう飽和している状態ですが、新規参入者も多くなりやすい業界と言えます。

 

キャッシュレス支払いの市場規模(社会需要)


(出典:Visual Capitalist)

上記は世界のキャッシュレス支払いの金額推移です。2017年から金額がどんどん伸びています。キャッシュレスは送金も簡単ですし、便利、安全、安いですから、キャッシュレスのサービスが完全に飽和するまでは、この増加傾向が続くでしょう。

 

メルカドリブレの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

スクエアの株価チャートは、2020年迄は株価がじわじわと伸びていましたが、2020年に爆発し、現在はほぼ最高値の状態です。

チャートだけ見ると、割高だと言えます。

 

メルカドリブレの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

メルカドリブレの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。メルカドリブレは今期赤字だったので、上記の通りPERの数字がありません。利益が出ていないのに株価が付いている状況なので、PERだけをみると割高と言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。メルカドリブレについて、ここまではキャッシュレスに関する説明をしてきましたが、元々eコマースが事業の主軸なので、Amazonが含まれるS&P 500のConsumer DiscretionaryセクターのPBRと比較するのが妥当でしょう。このセクターのPBR=3.59(参照:gurufocus)と比較すると、メルカドリブレのPBRの方が遥かに高く、メルカドリブレは割高だと言えます。

 

メルカドリブレの配当金(配当)

メルカドリブレは2018年から無配当です。取締役会によって配当を行わないことが決められたそうです。

収益がキツくなって配当を止めた可能性があり、少し注意が必要です。

 

メルカドリブレの業績(成長性、収益性)


(出典:メルカドリブレ年次報告書

上記より、メルカドリブレの2020年決算は増収増益ですが結局赤字で終わりました。

売上が大きく伸びていますが、主力のeコマースが前期比で大幅に回復しています。地域では、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ等の売上が大きく伸びたということです。日本と同様、2020年は特にコロナの巣籠り需要が大きかったと考えられます。

2019、2018年の営業利益がマイナスだったのは謎ですが、営業利益も順調に伸びていますね。

最後の純利益はマイナスで赤字に転じてしまいましたが、2020年は為替差損で利益が削られた他(中南米諸国の通貨は弱く、ここ数年は対ドルでずっと下がり続けているのです)、税金で殆ど利益が無くなってしまいました。

さて、メルカドリブレの収益性を見ると、今期の売上高純利益率はマイナスです。Amazonが含まれる「オンラインショップ業界」において、利益率平均は3~6%(参照:csi market)なので、メルカドリブレの収益性は平均以下ということになります。

次にメルカドリブレの最新業績です。2021年1Qは売上が前期比111%増の14億ドル、営業利益も前期比大幅増の9080万ドルでした(参照:メルカドリブレ第1四半期報告)。2021年も業績を伸ばしており順調です。


(出典:Reuters

上記の2021年業績予想について、売上は前期比増の63億ドル、EPS(一株当たり利益)が0.034ドルの予想です。2021年1Qの結果を見れば、業績は順調に回復しているので、業績予想の通り2021年は黒字化を達成できそうです。

業績について纏めると、2020年も含めて過去は赤字で辛かったですが、確実に営業利益が伸びて業績が回復しており、良い傾向だと言えます。

 

メルカドリブレの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:メルカドリブレ年次報告書

上記より、先ずはメルカドリブレの資産について中身を見ていきましょう。資産では流動資産が、負債では流動負債が一番大きいですね。流動資産で一番大きいのは現金、流動負債で一番大きいのはエンドユーザーからの預かり金(恐らく支払いで先に受け取ったお金や、キャッシュレス支払いで預かっているお金)と販売業者への買掛金です。スクエアと同様、お金の出入りが多いビジネスなので、現金を多く持っている必要がありますし、それに関連する負債も大きくなることが分かります。

では前期比での資産増減を見ましょう。損益計算書で見た通り、売上が増えている、つまり売買が増えているので、その分多くの現金=流動資産が必要になり、それに伴って流動負債も増えています。企業の成長というのは通常、収益(利益余剰金)が増加して、それを投資等に回し、結果的に資産が大きくなるものです。しかし今回メルカドリブレの場合は、売買のスケールが大きくなって資産が大きくなっただけなので、今回は企業が成長したとは言えない内容です。既述の通り業績は回復してきているので、今後の成長を期待したいですね。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、赤字だったのでROAはマイナスになります。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、メルカドリブレは平均点以下となります。ROE(自己資本利益率)も同様、メルカドリブレは平均より低いです。

流動資産÷流動負債=流動比率は147%で、100%を上回っており、短期の支払い能力は問題ありません。メルカドリブレのようなマーケットプレイスは短期の支払いが命ですから、流動比率はとても重要です。

自己資本比率は25%と、下限の30%を下回っており、少し危険ゾーンです。売買が多いeコマースは買掛金が多くなる傾向なので、自己資本比率も低くなりがちで、この水準は致し方ないのかもしれません。

 

メルカドリブレのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:メルカドリブレ年次報告書

メルカドリブレのキャッシュフローを一つずつ見ていきましょう。

先ず営業キャッシュフローはプラスで前期よりかなり増加しています。損益計算書の通り純利益はマイナスでしたが、買掛金や預かり金が非常に大きいので、最終的に本業で入ってきた現金は大きなプラスになっています。

投資キャッシュフローは小さなマイナスで、大きなものは有価証券の購入です。恐らく買収に使ったのでしょう。

財務キャッシュフローは小さなプラスです。借入金の返済は行っていますが、新たな借入もあり、最終的にはプラスになっています。

キャッシュフローを総合すると、本業でがっつりキャッシュが入り、少し投資をしてキャッシュが出ていき、借入で少しキャッシュを増やしている内容です。もっと返済を増やして財務キャッシュフローをマイナスにしても良かったと思いますが、全く無理が無い資金繰りで、比較的良い内容だと思います。

 

メルカドリブレの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、メルカドリブレの総合評価は56点です。

中南米のeコマースでは間違いなくメルカドリブレがNo.1ですが、キャッシュレスは中南米に限定しても競争が激しそうです。業績は優れませんでしたが、急速に回復してきていますね。ただ株価が割高で買いにくいです。

メルカドリブレに投資すべきかどうか、今は割高なので「買わない」というのがしーおがが個人の判断です。eコマース銘柄として、割安になったら検討してみても良いかもしれません。

以上、メルカドリブレの決算情報でした。

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