米国株

エムアイホームズ(MI Homes)の英語決算書が5分で分かる!


(出典:Fortune)

さて、絶好調の住宅建設関連の銘柄紹介は、ここで一区切りとします。

最終回はエムアイホームズ(NYSE: MHO)を紹介します。恐らく誰も知らない小型株ですが、こちらも良さそうな銘柄だったので選んでみました。

では、決算書の内容についてポイントを絞って分かりやすく解説していきます。エムアイホームズに投資すべきかどうか、判断の参考にして下さい。

 

エムアイホームズの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HPによると、エムアイホームズはコロンバス(オハイオ州(アメリカ中西部))に本社を構える、戸建て住宅建設メーカーです。1976年から住宅建設を始めており、延べ12万軒以上の建設実績があります。

他の住宅メーカー同様、事業内容は大きく分けて2つで、住宅建設と、金融サービスです。金融サービスでは、住宅ローンや契約の締結等を提供しています。いずれにせよ、収入の大部分は住宅建設です。

事業を行っている地域は15都市(8州)です。中西部と南部の一部に地域を絞って注力しています。

住宅一本という事業内容でとてもシンプル、投資家にとって余計なリスクを心配することは無さそうです。

 

住宅建設の市場規模(社会需要)


(出典:Madison’s Lumber Reporter)

社会の需要と市場を見てみましょう。上記赤色が住宅の売上です(青は建設を開始した件数です)。2006年に大きく落ち込みましたが、これはサブプライム住宅ローン危機です。その後に順調に回復し、コロナ禍でも順調、寧ろ大幅に伸びていますね。

米国の人口は右肩上がりですし、上記のグラフより、住宅建設数は2006年のピークを未だ超えておらず、需要の増加傾向は暫く続くと期待できます。

 

住宅建設の業界構造(競争要因、参入障壁)

次は競争要因です。住宅建設について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:Fixr

上記の通り、主要な住宅建設会社だけでも15社あり、競争が激しい業界です。2019年の業界トップはレナー、2番手がDRホートン、エムアイホームズは11番手です。1発で数千万円のデカい商売ですから、契約を取るために複数の企業で激しい競争が繰り広げられています。

【関連情報】
レナー(Lennar) の決算・業績・財務等の銘柄分析
DRホートン(D.R.Horton)の決算・業績・財務等の銘柄分析

次は顧客との力関係です。住宅建設業界の顧客は、家を買うエンドユーザーになります。エンドユーザーが家を買うと知れば、上記の企業が挙ってエンドユーザーに猛烈なアプローチを仕掛けるでしょう。一方、エンドユーザーにとってみれば、自分にピッタリの家を提案してくれれば、家がどのブランドかは気にしないでしょう。従って、住宅建設業者の顧客に対する交渉力は非常に弱いと言わざるを得ません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。住宅建設には様々な材料が必要ですし、下請け会社の数も多いでしょう。建築材料について、木造建築の場合は木材の金額が一番大きくなりますが、米国で木材の会社は10社以上あるので(参照:THOMAS)、仕入れ先の選択肢は複数ありそうです。従って、住宅建設業者の仕入先に対する交渉力は強いでしょう。

代替サービスの脅威について、新築の代替案は複数思い浮かびますね。先ずは賃貸物件と中古物件です。シェアハウスや寮、社宅、実家から出ないことも代替案になります。新築物件に対する需要は大きいですが、代替案が複数あるので、それらに市場を奪われないか、今後も油断出来ません。

新規参入者について、後からこの業界に入ってくるプレイヤーが多くなるかを考えると、この業界の参入障壁が高ければ少ない、低ければ多くなる傾向になります。一般的に住宅建設の参入障壁は比較的低いと言われています。住宅建設には許可が必要なものの、建築士等の人材を雇えば簡単にクリアできる条件だからでしょう。建設作業自体を下請けに発注すれば、自前で多くの労働力を確保する必要性も無くなります。但し、現時点で既にそれなりの数のプレイヤーが参加していることを踏まえると、住宅建設ブームが来ない限りは、今後爆発的に新規参入が増えることは無いでしょう。

 

エムアイホームズの強み(商品力)

公式HPを見ればエムアイホームズの強みは一目でわかります。「自分たちが住みたいと思う家を作る」、これ以上シンプルかつ最上の基準はありません。エムアイホームズには顧客重視が徹底されています。顧客に寄り添って、顧客に最良な家を作ることを最重視しています。

仕上がりが美しいパイン製床板、手製のクローゼット、事後張力建設法による強い基礎等、あまり目に付かない細かいところにもこだわって、ただただ「顧客の為に、より良い家を作る」ことに全力を注いでいます。

効率重視の大量生産において忘れられがちな「顧客重視の住宅設計」、これこそがエムアイホームズ最大の強みです。

 

エムアイホームズの株価


(出典:yahoo!finance)

上記はエムアイホームズの株価チャートです(青線)。循環株らしく株価が上下を繰り返しており、コロナショック後に急上昇、ピークを打ったあとに少し下がっています。

水色線がS&P 500です。2021年7月29日現在、エムアイホームズの方がS&P 500より60%もパフォーマンスが上です。エムアイホームズはS&P 500に含まれていませんが、S&P 500を平均とすると、株価の成長が平均を超えて高いと分かります。

 

エムアイホームズの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はエムアイホームズの各株価指標です。まずPER(株価収益率)を見てみましょう。エムアイホームズはS&P 500に含まれていませんが、住宅建設はConsumer Discretionary(一般消費財)に分類されるので、このセクターのPERと比較します。Consumer DiscretionaryのPER=22.78(参照:gurufocus)と比較すると、エムアイホームズのPERの方がずっと低く、割安だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryのPBR=3.52なので、これもエムアイホームズの方が低くて割安です。DRホートンレナーのブログ記事で説明した通り、住宅建設業界はその業績に反して、株が買われていないことが分かります。

 

エムアイホームズの配当金(配当)

エムアイホームズは無配当の株です。エムアイホームズ年次報告書に詳細がありませんでしたが、恐らくエムアイホームズのポリシーでしょう。配当金を配る以外にも、業績を上げ続けて株価を伸ばすことも株主還元ですので、無配当が必ずしも悪いというわけでは無いです。

 

エムアイホームズの業績(成長性、収益性)


(出典:エムアイホームズ年次報告書

上記より、エムアイホームズ2020年決算は増収増益となりました。

2020年はエムアイホームズにとって記録的な年となりました。売上は前期比で22%増となり、安い住宅ローン、住宅供給不足、中心部の賃貸から郊外の一戸建てへ引っ越すトレンドが要因となっています。

税前利益も前期比で大きく伸びました。資産減損費用、建築材料(石灰)の交換に関する費用(損失)がありましたが、それを補って余りあるくらい売上が大きくなり、利益も増加しています。

さて、エムアイホームズの収益性を見てみましょう。今期の売上高純利益率=純利益÷売上=8%でした。平均との比較について、エムアイホームズは「建設業」に含まれ、その業界の利益率平均は5~7%(参照:csi market)なので、エムアイホームズの収益性は平均より少し上と言えます。

 


(出典:Nasdaq

次にエムアイホームズの最新業績です。つい先日、2021年2Qの発表がありましたが、上記の通りEPSが3.58ドルと、市場予測を遥かに上回る結果を叩きつけました。最新業績も素晴らしいの一言です。

 


(出典:Reuters

上記の業績予想より、2021年の売上は前期比23%増の37億ドル、EPS(一株当たり利益)が11.135ドルです。最新業績は予想を超えた内容だったので、年間業績予想も上記を上回るかもしれません。

 

エムアイホームズの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:エムアイホームズ年次報告書

エムアイホームズの賃借対照表を見ると、借方で一番大きいのは住宅や土地等の在庫(流動資産)です。貸方で一番大きいのは利益余剰金(純資産)です。在庫が大きいですが、資本金とその他の資金(優先債)等でカバーしているイメージです。

資産の増減について、主に増加したのは現金と在庫(流動資産)、優先債(固定負債)、利益余剰金(資本金)です。資産総額の増加分の半分が利益余剰金=純利益、半分が負債と考えて良いでしょう。利益余剰金が増えて資産総額が増えているので良い傾向です。因みに、負債が増えるとマイナスなイメージがありますが、土地の取得や住宅の建設に必要なので、上記は全く問題無いです。只、今後負債の比率がどんどん増えると問題なので、そこは注視する必要があります。

次にエムアイホームズのROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷総資産=9%でした。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、ROAを見てもエムアイホームズの収益力が高いと言えます。

ROE(自己資本利益率)はどうでしょうか。エムアイホームズのROE=純利益÷純資産=19%、業界平均は12~16%なので、ROEを見ても収益力が高いです。

短期的な資金繰りの安全性を測る流動比率について、流動資産や流動負債の正確な金額が分かりませんでしたが、現金及び在庫(流動資産)に対して、買掛金や預かり金(流動負債)の方が小さかったので、短期の支払い能力は問題無いと言えるでしょう。

自己資本比率=純資産÷総資産=47%と、下限の30%を上回っているので、倒産の心配は無さそうです。

 

エムアイホームズのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:エムアイホームズ年次報告書

上記はエムアイホームズのキャッシュフローです。一つずつ見ていきましょう。

営業キャッシュフローはプラスで、前期比で大幅に増加しています。既述の損益計算書の通り、純利益が前期比で大幅に増加した為です。尚、純利益より営業キャッシュフローの方が小さくなっているのは、2020年は特に在庫の増加額が大きかった為です。住宅メーカーはエンドユーザーとの契約に応じて土地を取得したり住宅を建築しているので、過剰に在庫を増やすことはありません。エンドユーザーへの住宅の引き渡しのタイミングで、一時的に在庫が増加しただけなので、心配する必要は無いでしょう。

投資キャッシュフローは小さなマイナスで、前期より少し増えています。増加した分は、土地や設備投資です。

財務キャッシュフローは大きなプラスで、前期より増えています。主に優先債の発行によるものです。優先債の返還も行っていますが、新たな借り入れの方が大きくなりました。

キャッシュフローを総合すると、本業で確りキャッシュが入り、投資で少し使いつつ、更に借り入れを行ってキャッシュを増やす、まずまずの資金繰りです。

 

エムアイホームズの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、エムアイホームズの総合評価は80点です。

公式HPを見た限りでは、他の住宅メーカーと比較すると誠実さ・真面目さが感じられ(他のメーカーが誠実で無いという意味では無いです)、エンドユーザーに対しても魅力をアピールできていると思います。兎に角、業績がとてつもなく良いですね。時価総額も小さいし、割安なので今後の伸びも期待できます。

エムアイホームズに投資すべきかどうか、絶対「買うべき」というのがしーおがが個人の判断です。

尚、住宅建設は景気に最も左右されやすい循環株に属するものです。株価の変動が激しく、一説によると売買タイミングが敏感株やディフェンシブ株とは異なるという理論もある為(参照:SBI証券)、気になる方は投資する前に勉強されることをお勧めします。

以上、エムアイホームズの決算情報でした。

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