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マイン・セーフティ・アプライアンス(MSA Safety)の決算情報

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(出典:Daniels Insurance)

今回で防護具関連銘柄を一旦区切りたいと思います。

最後はマイン・セーフティ・アプライアンス(NYSE: MSA)を紹介します。

 

MSAの事業内容

MSAは安全防護具に特化した企業です。アメリカ版ミドリ安全ですね。各産業の作業員向けに安全用防護具を提供し続けて、その歴史は100年を超えています。とてもシンプルな事業で分かりやすいですね。

安全防護具というくらいなので、品質管理が一番重要です。MSAはISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)を取得しており、公式HPでも品質重視をアピールしています。

3Mの防護具は海外の現場で必ずと言って良いほど見ますが、記事を書いている途中で思い出して、MSAも良く見かけていました。緑の四角に白字で「MSA」と書いてある、アレです。国内では知名度は無いですが、世界では3Mと同じくらい有名ですね。


(出典:BUSINESS HUB

 

MSAの競合、業界構造

businesswireには、防護具の世界トップメーカーは9社で、別の記事で既に紹介した3Mが最大の競合になります。

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防護具を製造しているメーカーは多々あるので、競争が無いわけでは無いですが、安全保護具に関して言えば、ブランド力なら3MとMSAが際立っています(と個人的には感じます)。

MSAの年次報告書より、MSAの顧客は代理店(ディストリビューター)になります。これは私個人の想像になりますが、代理店からメーカーに対する価格交渉力はそこまで高くないでしょう、代理店に対する卸売価格は一定でしょうね。

MSAの仕入れ先について、MSAは自社で製造を行っているので、外部から買っているのは原則原料だけです。その消費量もかなり大きなものですから、化学メーカーにとってMSAはかなり大事なお客さんでしょう。長期供給契約は締結していないので、各化学メーカーは何時契約を打ち切られるか分かりません。MSAは仕入れ先に対して有利な交渉力を持っていそうです。

代替商品について、防護具に変わる商品は今のところありません。現場の自動化が進めば、防護具が不要になる時代が来ると思いますが、オートメーションはもう10年以上前から叫ばれていることですが、(少なくとも私が知ってる現場は)自動化はこれ以上は進んでいません。従って、今のところは代替商品による脅威は心配しないで良いでしょう。

新規参入者について、防護具は一見すると誰でも製造できる(だから中国品が多数存在する)ものです。只、ヘルメット、眼鏡、耳栓、マスク、手袋等、単価が低い商品を複数種類製造する必要があり、手間が掛かるのに割が合わないビジネスです。それを考慮すると、参入障壁自体は大したことが無いので新規参入者は多いですが、生き残れるのは一部と言えます。

 

防護具の市場規模、社会需要


(出典:Fortune Business Insights)

上記はアメリカにおける防護具の市場規模です(将来予想も含みます)。

2020年はコロナの影響で手袋等の防護具の需要が激増しています。

コロナ後、医療機関における防護具の需要は落ち着きますが、感染症対策を止めて良いわけでは無いので、今後も一定の需要が期待できます。医療以外の産業については、工場や現場の稼働率が上がるにつれて作業者が現場に戻るので、需要の増加が期待できます。

 

MSAの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

MSAの株価は、ここ5年で緩やかな上昇傾向です。コロナショックでも大きく下がらなかったのは意外ですね。現在が最高値なので、チャートだけ見れば割高と言えます。

 

MSAの株価指標


(出典:YAHOO!ファイナンス)

MSAの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。MSAはS&P 500に含まれていませんが、アメリカの代表的な指数なのでS&P 500 Industrialsセクターと比較します。このセクターのPERは44.04で(参照:gurufocus)、これと比較するとMSAのPERは非常に高いです。

次にPBR(純資産倍率)ですが、IndustrialsセクターのPBRは3.04なので、これと比較してもMSAのPBRは高いです。

上記より、MSAの株価は非常に割高と言えます。

 

MSAの配当金


(出典:MSAの年次報告書

MSAは配当を行っており、上記の通りここ5年で増配傾向です。2021年5月の配当金は0.44ドル(年間1.76ドル)、配当利回りは1.09%です。

株主に確り還元しており、増配できる、増配できるだけお金に余裕があると言えます。

 

MSAの業績(損益計算書)、業績予想


(出典:MSAの年次報告書

2020年は減収減益となりました。コロナにより、石油・ガス業界、建設業界向けの需要が減少した為です。消防向け呼吸器具、一般用呼吸器具等の売上により、業績の悪化が一部カバーされました。

収益性について、MSAの売上高純利益率は8.9%です。CSI Marketによると医療器具・部材メーカーの平均は8~9%です。MSAのメインは安全防護具なので、医療器具とは単純に比較できませんが、MSAの利益率はそれほど悪くないといえます。

最新の業績について、公式HPのプレスリリースによると、2021年1Qの売上は前期比10%減の3億ドル、純利益は3660万ドルでした。コロナの影響で未だ売上が回復していません。

2021年の業績予想について、NasdaqによるとEPS(一株当たり利益)は4.71となっています。2020年に比べると大幅増加となっており、力強い回復をアナリストが予想しています。

上記を纏めると、コロナの影響で業績はやや悪化しているものの、2021年は大きく回復する可能性があると言えます。

 

MSAの財務状況


(出典:MSAの年次報告書

MSAの財務状況について、取引量が減っていますが、資産は少し増えています。在庫が増えた他、のれん(買収先企業の純資産を上回った差額)の金額が増えています。

次に資産効率をチェックすると、既述の損益計算書と上記の賃借対照表より、総資産回転率=売上高÷総資産=0.72倍となり、基準の1倍より低くなりました。CSI Marketによると、医療器具・部材メーカーの総資産回転率は約0.5なので、これよりは資産効率が高いと言えます。

流動資産÷流動負債=流動比率は242%で、100%を超えており支払い能力は十分です。

自己資本比率は43%と、理想の40~50%の範囲にあり、倒産の心配は先ずありません。

上記より、資産効率も良い方で、財務健全性も高いと言えます。

 

MSAの資金繰り(キャッシュフロー計算書)


(出典:MSAの年次報告書

MSAのキャッシュフローは、営業キャッシュフローが大きなプラス、投資キャッシュフローがマイナス、財務キャッシュフローがマイナスです。

営業キャッシュフローは前期比で増えています。収益が増えたわけでは無く、売掛金や在庫等の運転資本のパフォーマンスが改善された為です。

投資キャッシュフローでは、資本的支出や短期投資が前期比で増加しています。

財務キャッシュフローは、長期借入金の返済が前期比で増加しています。

現金等の残高は前期よりも増えていますね。

上記より、借金を確り返済しつつ手元のキャッシュも増えており、盤石で完璧な資金繰りと言えます。

 

MSAの総評

私個人の投資基準に照らし合わせた、MSAの総合評価は75点です。

安全保護具という分野は、安かろう悪かろうのよく分からない中国品等との争いで消耗しないかが少し気になりますが、MSAはその信頼性で確りマーケットシェアを守っている印象です。業績はイマイチですが、現場で作業される方は今後も必要とされるので、MSAの保護具の需要も回復する筈です。株価が非常に高いのは残念ですね。

MSAに投資すべきかどうか、割高なので今は「買わない」というのが私個人の判断です。

以上、MSAの決算情報でした。

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