米国株

水力発電を武器に脱炭素で一歩リード!ノースウェスタン・エナジーの銘柄分析


(出典:NorthWestern Energy

先日、公益セクターのおススメ銘柄の中で、ノースウェスタン・エナジー(NASDAQ: NWE)を紹介させて頂きました。 

高配当で確実に儲けられる!?公益セクター(米国株)のおススメ銘柄3選

今回はノースウェスタン・エナジーが投資に値するかどうか、詳しく調べさせて頂きましたので、その結果を皆さんにも共有したいと思います。「知らない企業だけど投資しても良いか知りたい!」という方は是非下記を参考にして下さい。

ではさっそくいってみましょう!  

 

ノースウェスタン・エナジーの企業概要、事業内容(単純事業)


(出典:Northwestern Energy

ノースウェスタン・エナジーは電力会社で、社名のまんま、上記の通りアメリカ北西部にエリアを展開しています。本社はサウス・ダコタ州にあります。 創業は1923年で、戦前から歴史がある古株の企業です。電力会社はだいたい創業が同じみたいですね。  
(出典:Northwestern Energy

上記はノースウェスタン・エナジーの発電内訳ですが、凄いですよ、再生可能エネルギー運用会社と思うくらいの内容です。水力がメインで35%、風力が約30%です。その後に石炭、天然ガスが続きます。 サウス・ダコタにはミズーリ川が流れており、水に恵まれています。モンタナは内陸地ですが、風力発電に適した土地と言われて注目されています。たまたま土地に恵まれていたのもありますが、クリーンエナジーで他社の一歩先を行っているのがノースウェスタン・エナジーです。

行っている事業は電力の販売、送電線、発電所の運用です。あと、一部天然ガスの供給も行っています。事業のメインは電力に関するものだけで、投資家にとって事業複雑化、多角化によるリスクが少ない銘柄だと言えます。  

 

電力の市場規模(社会需要)


(出典:statista)

上記はアメリカの電力売上の推移です。世帯数が増えており、電気代も年々上がっているのですが、電力消費量があまり増えておらず、結果として2010年から売上は殆ど増えていません。 需要は無くなりませんが、今後爆発的に増えることも無さそうです。

 

電力の業界構造(競争要因)

電力業界について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:Northwestern Energy

先ず直接の競合は他の電力会社ですが、モンタナではノースウェスタン・エナジー以外に大きな電力会社は無いようで、競争は無さそうです。

次は顧客との力関係ですが、電気料金は規制当局によって決められるので、顧客が「電気代が高い!」とクレームして困ることは無さそうです。規制当局はやや消費者寄りで電気料金を決める傾向があるので、少し顧客の方が強いかもしれません。

仕入先との力関係は、ノースウェスタン・エナジーの主力である水力発電の場合、建設には建設会社や機械メーカーが絡んできます。建設会社はいくらでも居ますし、機械メーカーは少し選択肢が狭まって5社です(参照:Mordor Intelligence)。発電設備の建設、維持には膨大な予算が確保されるので、下請け業者にとっては魅力的で契約が取りたいでしょう、ノースウェスタン・エナジーの仕入先に対する交渉力は強そうです。

新規参入について、発展途上国以外は、各地域で既に電力会社が決まっているので、今から発電事業に参入して顧客を開拓できる可能性は極めて0に近く、流行りの再生可能エネルギーに参入しても送電線網をどうするかという問題があり、電力事業者の新規参入は少ないでしょう。

代替案について、自家発電は考えられますが、全ての電気を自社や自宅でまかなえる例は極めて稀だと思います。今のところ、完全な代替案は無さそうです。

上記を纏めると、電力会社の競争は激しくないと言えるでしょう。業界内の競争がうんぬんと言うよりは、電気代を規制当局に決められてしまうので、如何に低コストで発電して収益を上げるか、自らとの戦いが重要な業界だと思います。  

 

ノースウェスタン・エナジーは顧客を独占しているか(独占力)

結論から先に述べます、ノースウェスタン・エナジーは完全に顧客を独占しています。 但しそれはノースウェスタン・エナジーのサービスが他社に代え難いというわけでは無く、他に選択肢が無いからです。

バフェット氏の言葉を借りると、電力は完全に「コモディティ業界」、つまりどの会社のサービスでも全く違いが無い業界の代表例です。「あの電力会社の電気は〇〇が良いから、他社に替えることはできない」ということはありませんよね? 従って、他の電力会社を差し置いて、ノースウェスタン・エナジーだけが大きな成功を納め、株価が大成長するということはあり得ないです。

あえてエネルギー業界で命運を分ける要素があるとすれば、脱炭素でしょう。その点ではノースウェスタン・エナジーが先行している部分はあります。

 

ノースウェスタン・エナジーに似た事業を他社が始めるか(参入障壁)

一般論として発電事業は、土地や発電設備、燃料調達の為の資金、従業員の確保、事業の許可が必要なので、ITや通販、広告や不動産に比べて参入障壁が高いです

他方、ノースウェスタン・エナジーが行う発電事業に独自性は強くありません。水力発電は他の発電事業者も行っており、同じような事業を複数の企業が行っています。

 

ノースウェスタン・エナジーの決算内容

ノースウェスタン・エナジーの決算内容(2021年第2四半期)を一言で表すと、「電力需要が増えて運動成績(純利益)はA評価、栄養を確り取って体(総資産)もデカくなるものの、筋トレのし過ぎ(投資)で出血してしまい、輸血(借入)をして貰って立て直すという感じです。  

 

ポイント1


(出典:2021年2Q決算書

先ず注目すべきは損益計算書の営業利益(① Operating Income)です。春の気温が高かったこと等、需要の増加により売上(② Total Revenues)が伸びていますが、その割に営業経費(③ Total Operating Expenses)が増えていないので、営業利益が大きく伸びました。

電力発電の特徴ですが、売上原価等の変動費に対し、一般管理費等の固定費が大きいです。なので、今回のように需要=売上が増えたときには利益が大きく伸びる傾向があります。

 

ポイント2


(出典:2021年2Q決算書

賃借対照表では資本金(① Total Shareholders' Equity)に着目してください。資産総額(② Total Liabilities and Shareholders' Equity)は微増で、今期の純利益がそのまま利益余剰金(Retained earnings)として増加しています。

増加分は僅かではありますが、企業スケールが大きくなって確実に成長しています。 

 

ポイント3


(出典:2021年2Q決算書

キャッシュフロー計算書は投資キャッシュフロー(Cash used for investing activities)に注目です。土地や工場(Property, plant and equipment additions)に大きなキャッシュを使っていますが、主に修繕維持費用だということです。投資キャッシュフローが営業キャッシュフロー(② Cash Provided by Operating Activities)を超えてしまったので、財務キャッシュフロー(③ Cash Provided by Financing Activities)でカバーしています。

少し無理をしている資金繰りで、今期だけなら良いのですが、毎年これだけ投資が掛かると、今後が少し心配です。  

 

ノースウェスタン・エナジーは儲かっているか?(収益性)

ノースウェスタン・エナジーの収益性をチェックしていきましょう。


(出典:macrotrends

先ずは資本金に対してどれくらい効率的に利益を上げているかを示す指標、ROE(自己資本利益率)を見ますが、上記の通り(青線がノースウエスタン)ROEは常に安定しており、現在は8%強です。

競合と比較するとかなり高い方ですが、自己資本比率が低いからROEが高いだけの可能性があります。

(出典:macrotrends

次にROEと似ていますが、より忠実にお金を儲ける力を表す指標、(総資産利益率)を見ると、上記の通り(青線がノースウエスタン)安定して3%弱の数値となっています。

共同と比較すると、数値が低くてどんぐりの背比べですが、一応ノースウエスタンのROAが一番高いです。


(出典:macrotrends

最後に利益がどれくらい高いかが分かる指標、売上高利益率を見ます。上記の通り(青線がノースウエスタン)現在は約19%となっています。

競合と比較するとちょうど真ん中くらいです。

因みに、全体平均と収益性を比較してみると、S&P 500の売上高営業利益率は16.24%です(参照:csi market)。株式市場全体平均と比較すると、一度設備投資をしてしまえば、電力会社の方が利益率は高いという特徴があります。

上記より、ノースウェスタン・エナジーの収益性は平均レベルです。

 

ノースウエスタンは効率的にお金を回しているか?(効率性)

ノースウエスタンがお金を効率的に回して儲かっているかを調べてみましょう。

効率性は総資産回転率という指標で評価します。

ノースウエスタンの総資産回転率は、2020年は0.18、2019年は0.20でした。

総資産回転率が悪化していますが、2020年は効率性が悪くなったというよりは、コロナの影響で電力消費量が落ちた為です。

業界平均と比較してみましょう。電力業界の総資産回転率は0.21~0.22です(参考:csi market)。これと比較すると、ノースウエスタンの効率性は平均とほぼ同じです。

参考迄、S&P 500の総資産回転率の平均は0.26です(参考:csi market)。株式市場平均もそんなに効率性は高く無いですが、設備で資産が大きく膨らむ電力会社よりは効率性が高かったです。

上記より、ノースウエスタンの効率性は平均レベルです。

 

ノースウェスタン・エナジーは今後大きくなるか?(成長性)

ノースウェスタン・エナジーの成長性を評価していきましょう。

 


(出典:yahoo!finance)

上記はノースウエスタンの売上高成長率(予想)です。

2021年の成長率が大きく見えますが、2020年はコロナで電力消費量が減っただけです。2022年の成長率が実質、今後継続して出るであろう成長率ということになります。

電気代の値上げを考慮するともっと成長率が高くても良いと思いますが、電気代の値上げは相当ハードルが高いらしく、物価向上に合わせて毎年簡単に実施できるわけでは無いので、上記数字は妥当でしょう。

競合と比較すると、ネクステラエナジーの2022年成長率は16.80%、サザンは3.80%、センプラは4.90%、ブルックフィールド・インフラストラクチャーが-4.50%なので、ノースウエスタンは成長率が低い方です。

サザンのエリアであるジョージア州は電力消費量が増加傾向ですが、センプラのエリアであるカリフォルニアはそこまで増加していません。地方によって電力需要が異なりますが、競合の予想は少し楽観的な気がします。

上記を纏めると、ノースウエスタンの成長率は少し低いと言えるでしょう。

 

ノースウェスタン・エナジーは倒産しないか?(安全性)

最後にノースウェスタン・エナジーの安全性をチェックしましょう。

短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率=流動資産÷流動負債=99%で、100%を少し下回っています。賃借対照表をみたところ、売掛金(受け取る予定の売上)に対して未払金(買掛金以外の、取引先への支払い)の方が大きく、現金も少し少ないので、やや不安が残ります。

自己資本比率=純資産÷資産総額=33%と、下限の30%は上回っており、一先ず大丈夫というところです。

キャッシュフロー計算書から見る安全性ですが、既述の通り今期(過去6か月)の資金繰りはちょっと無理をしている内容でした。


(参照:2020年年次報告書

長期的にキャッシュフローがどうなっているのか気になったので調べてみました、上記が過去3年間のキャッシュフローです。

投資キャッシュフロー(① Cash Used in Investing Activities)は年々増加していますね、しかもメインは修繕維持費です。


(出典:Northwestern Energy

上記はノースウェスタン・エナジーの水力発電所ですが、年数が100年を超えるものも結構あります。これは私の推測ですが、古い発電設備が多いので年々修繕維持費が増加してきている可能性が高いです。

キャッシュフローが悪いと配当金が捻出できない可能性が高くなります。過去の実績を見る限り、本業で稼ぐキャッシュで修繕費をまかなえるかどうかギリギリなので、ノースウェスタン・エナジーにとって配当金の負担が年々重くなっているように見えます。

上記を纏めると、ノースウェスタン・エナジーの安全性は少し低いです。  

 

ノースウェスタン・エナジーは割安か?(割安度)

ノースウエスタンが割安かどうかを判断する為に、PER(株価収益率)という、割安度を示す指標を中心に各種分析をしてみましょう。

 

ノースウエスタンの株価(パフォーマンス)

既述の通り、ノースウエスタンは収益性は普通、成長性はちょっと低いという実力だったので、株価もまあまあ、あんまり冴えないような気がしますが、実際はどうでしょうか?


(出典:yahoo!finance

上記は過去5年間の株価チャートですが、予想通りノースウエスタン(青線)のパフォーマンスは競合と比較しても低く、S&P 500のパフォーマンスを遥かに下回っています。

 

ノースウエスタンの実力評価(PERと収益性、成長性)

株価チャートは冴えない内容でしたが、ノースウエスタンの実力はそんなに低いんでしょうか?


(参照:yahoo!finance

上記はPERと利益率(収益性)、成長率をプロットしたものです。

グラフの右に行くほど実力が高く、上にいくほど株式市場からの評価が高いことを意味します。青線より左上は割高、右下は割安ということです。

利益率や成長性を考慮すると、ノースウエスタンのPER(株価)は高過ぎず安過ぎず、実力の通りということでした。

 

ノースウエスタンの株価(割安度)の推移

 


 (出典:Macrotrends

上記のグラフはノースウエスタンのPER(一番下のグラブ)です。

急にPERが上がれば割高、逆に急に下がると割安と分かります。

ノースウエスタンのPERは長年少しずつ上がってきているので、段々少しずつ割高になっているのが分かります。

 

ノースウェスタンの理論株価

ノースウエスタンの理論株価を超ざっくり計算してみます。

先に結論を述べると、理論株価は54.62ドル、2021年12月12日現在の株価は56.48ドルなのでほぼ同じ、現在の株価は適切だと言えます。

さて、ノースウェスタンは安定的に配当を行っており、ノースウェスタンの株の価値=配当リターンなので、DDM(配当割引モデル)を用いて理論株価を算出しました。

前提は下記の通りです。

・今後10年分の配当は過去5年の配当の実績(参照:nasdaq)からざっくり予想
・リスクフリーレート(リスク0の投資先の利回り)は米国10年国債の利回り(参照:marketwatch
・ベータ(個別の株式のリスク)は株式市場で一般に公開されているデータ(参照:yahoo!finance
・マーケットリスクプライム(投資家が株式に期待するリターン)はS&P 500の過去10年のリターン平均値(参照:macrotrends
・永久成長率は米国の物価上昇率の過去データを参照(参照:trading economics

 

結局ノースウェスタン・エナジーは割安なのか?

上記分析の結果、ノースウェスタンの株価は実力相応、配当のリターンを考慮しても今の株価が適切となりました。

ノースウェスタンの株価がこれ以上上がらないのか、少し考察してみましょう。

株価が上がるケースで、一番分かりやすいのは収益性や成長性が改善されることです。

収益性で改善の余地はあるんでしょうか?収益性については既に説明しましたが、実は売上高純利益率は長期間を掛けてじわじわ改善しているんです。この傾向が続けば、今後も利益率は改善される可能性がありそうです。

成長性は期待できそうにないです。ノースウェスタンのメインエリアであるモンタナの電力消費量は大きく増加していません。電気代の値上げ以外、売上が大きく伸びることは無さそうです。

上記より、1~2年間で株価が10~20%上がる可能性ありと予測します。

 

ノースウェスタン・エナジーは配当を出しているか(配当)


(参照:macrotrends

ノースウェスタン・エナジーの配当は上記の通りです。2010年からずーっと増配を続けています。 配当利回りは約4%で、通常の株の値上がり益平均とほぼ同じくらいで、非常に魅力的ですね。

 

ノースウェスタン・エナジーの総評

以下は私個人が行った銘柄評価で、特定の企業や従業員、株主を攻撃する目的はありません。又、各銘柄について絶対的に正しい評価を議論するものでも無い為、私個人の銘柄評価に対する非難や誹謗中傷、嫌がらせはお止め下さい。

さて、しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、ノースウェスタン・エナジーの総合評価は71点です。

収益性は平均レベルですが、成長性は少し低いという評価です。今日で既に脱炭素に向けてかなり良いポジションにいる会社なだけに、キャッシュフローが良くないのは残念です。発電設備が全部ピカピカという会社は(新興国以外)先ずありません、もしかしたら電力会社は皆、修繕費に苦しめられているのかもしれません。

ノースウェスタン・エナジーに対する個人的な投資判断は「中立」です。

以上、「水力発電を武器に脱炭素で一歩リード!ノースウェスタン・エナジーの銘柄分析」でした。

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