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燃料電池に投資するならプラグパワーの株を買うべきか?PLUGの銘柄分析


(出典:NGT News

ここ最近、私は工業セクターの株を調べていて、今回から燃料電池関連の株を紹介したいと思います。

脱炭素でどうなるのか分かりませんが、次世代の車としてEVと主導権を争っているのが燃料電池ですね。現在はEVが先行している印象ですが、燃料電池は長距離を走行できますし、大きなバッテリーが必要無いので、今後巻き返す可能性も十分にあると思います。

そこで、燃料電池関連の銘柄で、今回はプラグパワー(NASDAQ: PLUG)を分析したいと思います。株の売買高が大きく、投資家の間では知名度が高い(らしい)銘柄です。その実力はどんなもんでしょうか?

ではさっそくいってみましょう!  

 

プラグパワーの企業概要、事業内容(単純事業)


(出典:PLUG POWER

プラグパワーは水素、燃料電池を提供している企業で、1997年に創業、1999年に上場しています。

燃料電池とは、水素と酸素が化学反応する際に電気が生じる現象を利用している、電力を供給する装置です(参照:JHFC)。酸素は基本的には大気中にあるので、水素と燃料電池を自動車に載せれば、電気を生み出してモーターを駆動させて走らせることが出来ます。

プラグパワーの燃料電池の事業はシンプルで、自動車用の燃料電池の他、フォークリフト等の機械用の燃料電池、非常用電源用等を製造しています。

水素関連は、液化水素の販売や配送、水素を貯蓄する水素ステーションの設計及び建設、水素充填設備の製造販売を行っています。他には水素発生装置自体も提供しています。

プラグパワーの事業は水素(燃料電池)に関連したものだけ、事業はシンプルで理解しやすく、リスクも見えやすいと思います。投資家にとって隠れた事業リスクが少なく、事業が多角化してリスクが把握できないということも無いでしょう。

 

燃料電池の需要(社会需要)


(出典:InSIDEEVs

燃料電池の販売量のデータが見つからなかったので、上記の通り燃料電池車の売上を示します。

2018年までは売上が伸びていたのですが、2019年に少し下がり、2020年は大きく落ち込みました。2020年の落ち込みはコロナの影響もあったと思います(実際、燃料電池車に限らず、自動車の販売は2020年に大きく落ち込みました)。

2021年に需要が復活するかどうか分かりませんが、EVとの主導権争いがありますし、今後の需要は読めない、需要が無くなる可能性も0ではありません。

 

燃料電池の業界構造(競争要因)

燃料電池業界について5フォース分析をしてみましょう。

MZWMOTORによると、燃料電池メーカーは少なくとも13社はあるそうです。世界で13社であればそこまで多くは無いですが、独占という訳にもいかないでしょう。

顧客との力関係ですが、プラグパワーの顧客は自動車メーカーやフォークリフトのメーカー等です。上記の通り複数の燃料電池メーカーがいるので、プラグパワーが圧倒的に有利な交渉力を持っているとは考えにくいです。

仕入先との力関係ですが、プラグパワーは燃料電池の部品等、一部について特定の仕入先に依存しているようです。とはいえ、特殊な部品や材料が全体を占める訳ではない筈です。

代替品の脅威ですが、最大の脅威は従来のバッテリー、つまりEVですね。テスラ等が頑張っていますが、バッテリーのエネルギー密度は年々向上しています。バイオ燃料も代替品ですね。燃料電池は代替案が多いと思います。

新規参入者について、ヒュンダイやトヨタ等、元々燃料電池メーカーでは無かった企業も、脱炭素でこの業界に参入してきています。今は落ち着いているかもしれませんが、ホットな話題なので新規参入は多そうですね。

上記を纏めると、燃料電池メーカーは他の業界と比べて競争が激しそうです。EVから主導権を奪い返せるか、他の技術に取って代わることはないか、存在が不安定な業界だと言えます。 

 

プラグパワーは顧客を独占しているか(独占力)

燃料電池のマーケットシェアに関するデータを見つけることができませんでしたが、既述の通り他のメーカーも燃料電池を作っているので、恐らくプラグパワーが市場を独占しているということは無いでしょう。

一方、プラグパワーは水素の供給から、水素ステーションの建設、充填設備迄、必要な設備を全て提供できるのが強みです。燃料電池を導入したいけど、設備を自社で揃えるのは手間だ、という顧客にとってプラグパワーの提案は喜ばれると思います。

 

プラグパワーに似た事業を他社が始めるか(参入障壁)


(出典:bizjournals

一般論として装置製造には工場や専用の設備、材料等の仕入れ資金、技術士や開発の技術者等の人員が必要なので、ITや通信サービス、コンサルや小売といった事業よりは参入障壁が高いです。

他方、「燃料電池」と聞くと何となく最先端の技術に思えますが、原理自体は1801年に発見された非常に古いもので、装置メーカーならどの会社でも取り組める技術です。実際、プラグパワーに似た燃料電池メーカーは他にもあります。

 

プラグパワーの決算内容

プラグパワーの決算内容(2020年年次報告書)を一言で表すと、「株式発行に関連する引当金のせいで運動量(売上)がマイナスという珍事が発生、当然ながら運動成績(純利益)はドンケツビリの落第点。自分で血液を生成できない(営業キャッシュフローのマイナス)にも関わらずに筋トレ(投資キャッシュフローのマイナス)もして大量出血で死にかけたので、株式市場から緊急輸血(財務キャッシュフローのプラス)で一命を取り留める」という感じです。  

プラグパワーの決算内容は、成長企業に良く見られるものでした。それ自体は悪くはないのですが、プラグパワーは創業してもう20年になります。そろそろ黒字化を達成しないと、銀行にも株式市場にも見放され、倒産し兼ねないと思います。

 

ポイント1


(出典:2020年年次報告書

損益計算書で注目すべきは売上です。なんと2020年の売上はマイナスで、通常ではあり得ません。これは、売上に普通株式買受権証書(一定期間に特定の金額で株券が買える証書)の引当金(将来の損失を見込んで取っておくお金)が含まれているからです。引当金なら別の項目に記載しても良いような気がしますが、引当金のマイナスを売上に割り振るという処理は私も初めて見ます。

売上がマイナスなので、上記の通り粗利、純利益もマイナスで今期は赤字となっています。

 

ポイント2


 (出典:2020年年次報告書

賃借対照表では純資産に注目です。上記の通り資本金が2020年でドーンと増えていますが、恐らく株式発行による追加資金調達でしょう。

赤字が続いているので、累積赤字が年々大きくなり、このままでは資金が尽きてしまうので、その前に株式市場から追加資金を調達したということです。

投資家に見放されてしまうと追加で株式市場から追加資金が調達できなくなってしまうので、IR(投資家への情報発信)は怠らないようにしつつ、早く黒字化して累積赤字の拡大を食い止めたいところです。

 

ポイント3


(出典:2020年年次報告書

キャッシュフロー計算書は、本業でキャッシュを生み出していないので営業キャッシュフローはマイナス、それでも事業拡大の為に積極投資をして投資キャッシュフローはマイナス、それらをカバーする為に財務キャッシュフローが大きなプラスです。上記の通り、期末の現金及び現金同等物残高が大きく増えており、また暫くは赤字が続いても資金は尽きません。

大きなプラスの財務キャッシュフローに注目すると、賃借対照表同様、その中身は新株発行です。成長段階の企業では、黒字化するまでの資金の繋ぎとして株式市場から資金調達するのは常套手段です。株式の方が資金調達コストが高いですが、利息がありませんし、何より安全性最重視の銀行から大金は引っ張れません。  

 

プラグパワーの利幅は大きいか?(収益性)

プラグパワーの収益性をチェックしていきましょう。


(出典:macrotrends

先ずは資本金に対してどれくらい効率的に収益を上げているかを示す、ROE(自己資本利益率)という指標を見ますが、上記の通り(3つあるグラフうち、一番下です)2006年からずーっとマイナスです。業界平均と比べる迄も無く、プラグパワーのROEは低いです。


(出典:macrotrends

次に、ROEと似ていますが、お金を効率的に儲けていることを正確に表す指数、ROA(総資産利益率)を見ると、上記の通り(3つのグラフの一番下)ROAも2006年からずっとマイナスです。プラグパワーはまだまだお金を儲ける力が無いということです。


(出典:macrotrends

最後に、利益がどれくらい高いのかが分かる指標、売上高営業利益率を見ます。言わずもがなプラグパワーはずっと赤字なので、上記の通り(3つのグラフの一番下)営業利益率もずーっとマイナスです。グラフがプラスに振れているのは計算がオカシイだけです。

上記より、プラグパワーはまだ収益が出せない状況です。

 

プラグパワーはガンガンお金を回しているか?(生産性)

プラグパワーがお金を回してガンガン儲かっているかを調べてみましょう。

生産性は総資産回転率という指標で見ます。財務諸表より、2019年の総資産回転率は0.34、2020年は-0.04でした。マイナスは通常あり得ないのですが、とにかく総資産回転率は悪化しています。

長期的に見ると、プラグパワーは売上を伸ばしてきていますが、それ以上のペースで総資産を大きくしてきていますので、やはり総資産回転率は悪化している傾向だと言えそうです。プラグパワーは今はどんどん売上を拡大することに着目しており、総資産が大きくならないように調整をする段階には無いということでしょう(といっても、創業して20年以上も経った今も「まだまだ子供、これから大人になるゼ」というのはマズい気がしますが・・・)。

上記より、プラグパワーの生産性は低いです。

 

プラグパワーは今後大きくなるか?(成長性)

ではプラグパワーの成長性を評価していきましょう。


(出典:Yahoo!FInance

上記はプラグパワーの予想売上高成長率です。今年は46%でしたが、来年は64%と更に成長スピードが上がっています。

同業他社と比較すると、ブルーム・エナジーが26.80%(参照:Yahoo!finance)、バラード・パワー・システムズが40.60%(参照:Yahoo!finance)なので、これらのメーカーよりも成長性は上です。

上記を纏めると、プラグパワーの成長性は高いと言えるでしょう。  

 

プラグパワーは倒産しないか?(安全性)

プラグパワーの安全性をチェックします。


(出典:macrotrends

短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率は、上記3つのグラフの一番下です。流動負債が少しずつ増えてきていますが、それ以上に新株発行で大量のキャッシュを調達しているので、流動比率は全く問題無いです。

借金が占める割合を示す自己資本比率は、2020年は65%、2019年は19%でした。今年は健全な状態ですが、昨年は結構資金が無くなるかのギリギリなラインでしたね。

キャッシュフローについては既述の通り、営業キャッシュフローがマイナス、投資キャッシュフローが小さなマイナスですが、財務キャッシュフローの大きなプラスでカバーしています。まだ成長期の企業にはよく見られるキャッシュフローですが、これが続けばまたキャッシュは尽きるので、良いキャッシュフローでは無いです。

上記を纏めると、プラグパワーの安全性は企業成長期のもので、平均的な内容です。

 

プラグパワーは割安か(割安度)

プラグパワーの株価が今は安いかどうか、割安度を示すPER(株価収益率)に着目して、様々な視点から分析していきます。


(参照:Yahoo!ファイナンス

上記はプラグパワーのPERですが、プラグパワーは赤字なのでマイナスになっています。比較のしようがありませんが、参考迄に市場全体の平均(S&P 500というアメリカ大型株500社)は29.05(参照:Wall Street Journal)です。


(出典:macrotrends

次に時系列変化をみて過去のPERと比較してみましょう。上記は上から株価、EPS(一株当たり純利益)、PERの順に並んでいます。

なんとプラグパワーはずっと赤字、過去からずーっとPERはマイナスで、こちらも評価のしようがありません。

参考迄、業界の平均PERは27.18です(参照:Gurufocus)、マイナスではないですね。

妥当なPERの絶対値を考えてみると、成長株だと30~35倍くらいが目安でしょうか(参照:ファンダメンタル分析の手法と実例)。

上記を纏めますと、プラグパワーは売上が伸びていますが黒字化にはほど遠く、今後もずっと赤字で全く収益を生まなければ株券は紙くず同然であり、今の株価は実際の株式価値に対して高すぎと言えます。  

 

プラグパワーは配当を出しているか(配当)

 プラグパワーは無配当です。

無配当=魅力の無い株、という訳ではありません。キャッシュフローが確りしていて、資金が潤沢であれば問題は無いです。

 

プラグパワーの総評

以下は私個人が行った銘柄評価で、特定の企業や従業員、株主を攻撃する目的はありません。又、各銘柄について絶対的に正しい評価を議論するものでも無い為、私個人の銘柄評価に対する非難や誹謗中傷、嫌がらせはお止め下さい。

さて、しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、プラグパワーの総合評価は46点です。

プラグパワーに限らず、収益が出ていない成長企業の点数はどうしても低くなってしまいます。燃料電池に関するトータルソリューションプロバイダーは面白いと思いましたが、やはり創業して20年も経つのに未だに黒字化できないというのは、投資対象としてはキツイというのが正直な感想です。脱炭素で風が吹いていますが、EVとの主導権争いがどうなるかも気になるところです。

上記より、プラグパワーに投資するかどうか、「投資しない」というのが私個人の判断です。私が尊敬するピーター・リンチ氏の言葉ですが「小型株への投資は、黒字になるのを見届けてから投資したほうがよい」です、燃料電池に投資したいならもうちょっと待っても良いでしょう。

以上、「燃料電池に投資するならプラグパワーの株を買うべきか?PLUGの銘柄分析」でした。

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