米国株

プルトグループ(Pulte Group)の英語決算書が5分で分かる!


(出典:Transport Topics)

さて、絶好調の住宅建設関連の銘柄紹介を続けます。

第5回はプルト・グループ(NYSE: PHM)を紹介します。DRホートンレナーと同じく大型株で、S&P 500の企業です。

では、決算書の内容についてポイントを絞って分かりやすく解説していきます。プルト・グループに投資すべきかどうか、判断の参考にして下さい。

 

プルト・グループの企業概要、事業内容(単純事業)

公式HPによると、プルト・グループは1950年から住宅建設を行っている古株の企業です。社名は創業者のビル・プルト氏から来ています。ビル・プルトが最初に家を建設して売ったのはデトロイトですが、現在の本社はアトランタ(ジョージア州)です。

米国の主要40都市(23州)において、約75万軒の建設実績を持ちます。

他の住宅メーカー同様、金融サービスも提供していますが、収益の97%は住宅建設です。

住宅一本という事業内容でとてもシンプル、投資家にとって余計なリスクを心配することは無さそうです。

 

住宅建設の市場規模(社会需要)


(出典:Madison’s Lumber Reporter)

社会の需要と市場を見てみましょう。上記赤色が住宅の売上です(青は建設を開始した件数です)。2006年に大きく落ち込みましたが、これはサブプライム住宅ローン危機です。その後に順調に回復し、コロナ禍でも順調、寧ろ大幅に伸びていますね。

米国の人口は右肩上がりですし、上記のグラフより、住宅建設数は2006年のピークを未だ超えておらず、需要の増加傾向は暫く続くと期待できます。

 

住宅建設の業界構造(競争要因、参入障壁)

次は競争要因です。住宅建設について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:Fixr

上記の通り、主要な住宅建設会社だけでも15社あり、競争が激しい業界です。2019年の業界トップはレナーで、2番手がDRホートン、プルト・グループは4番手です。1発で数千万円のデカい商売ですから、契約を取るために複数の企業で激しい競争が繰り広げられています。

【関連情報】
レナー(Lennar) の決算・業績・財務等の銘柄分析
DRホートン(D.R.Horton)の決算・業績・財務等の銘柄分析

次は顧客との力関係です。住宅建設業界の顧客は、家を買うエンドユーザーになります。エンドユーザーが家を買うと知れば、上記の企業が挙ってエンドユーザーに猛烈なアプローチを仕掛けるでしょう。一方、エンドユーザーにとってみれば、自分にピッタリの家を提案してくれれば、家がどのブランドかは気にしないでしょう。従って、住宅建設業者の顧客に対する交渉力は非常に弱いと言わざるを得ません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。住宅建設には様々な材料が必要ですし、下請け会社の数も多いでしょう。建築材料について、木造建築の場合は木材の金額が一番大きくなりますが、米国で木材の会社は10社以上あるので(参照:THOMAS)、仕入れ先の選択肢は複数ありそうです。従って、住宅建設業者の仕入先に対する交渉力は強いでしょう。

代替サービスの脅威について、新築の代替案は複数思い浮かびますね。先ずは賃貸物件と中古物件です。シェアハウスや寮、社宅、実家から出ないことも代替案になります。新築物件に対する需要は大きいですが、代替案が複数あるので、それらに市場を奪われないか、今後も油断出来ません。

新規参入者について、後からこの業界に入ってくるプレイヤーが多くなるかを考えると、この業界の参入障壁が高ければ少ない、低ければ多くなる傾向になります。一般的に住宅建設の参入障壁は比較的低いと言われています。住宅建設には許可が必要なものの、建築士等の人材を雇えば簡単にクリアできる条件だからでしょう。建設作業自体を下請けに発注すれば、自前で多くの労働力を確保する必要性も無くなります。但し、現時点で既にそれなりの数のプレイヤーが参加していることを踏まえると、住宅建設ブームが来ない限りは、今後爆発的に新規参入が増えることは無いでしょう。

 

プルト・グループの強み(商品力)

プルト・ホームズ公式HPによると、間取りはもちろん、床のデザインやキッチン迄、住宅の様々な箇所を自分好みにカスタマイズできます。住宅メーカーは効率重視でカスタマイズを嫌うので、間取り迄選べるメーカーは中々ありません。

住宅メーカー最大の弱点である、柔軟性がプルト・グループ最大の強みと言えます。

 

プルト・グループの株価


(出典:yahoo!finance)

上記はプルト・グループの株価チャートです(青線)。循環株らしく株価が上下を繰り返しており、コロナショック後に急上昇、現在はほぼ最高値です。

水色線がS&P 500です。2021年7月26日現在、プルト・グループの方がS&P 500より50%以上もパフォーマンスが上です。プルト・グループの株価の成長が平均を超えて高いことが分かります。

 

プルト・グループの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はプルト・グループの各株価指標です。まずPER(株価収益率)を見てみましょう。プルト・グループはS&P 500のConsumer Discretionary(一般消費財)に分類されるので、このセクターのPERと比較します。Consumer DiscretionaryのPER=23.47(参照:gurufocus)と比較すると、プルト・グループのPERの方がずっと低く、割安だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryのPBR=3.56なので、これもプルト・グループの方が低くて割安です。DRホートンレナーのブログ記事で説明した通り、住宅建設業界はその業績に反して、株が買われていないことが分かります。

 

プルト・グループの配当金(配当)


(出典:Nasdaq

上記はプルト・グループの配当金です。2021年6月の配当金は0.14ドル(年間0.56ドル)、配当利回り1.04%で、高配当とは言えませんが、1%は超えており悪くないです。

直近では配当金が増加しているので、良い傾向です。

 

プルト・グループの業績(成長性、収益性)


(出典:プルト・グループ年次報告書

上記より、プルト・グループ2020年決算は増収増益となりました。

売上は前期比で7%増となっています。住宅の販売件数が増加した他、平均単価が上がったことが要因です。コロナ禍にも関わらず住宅の需要が強く、特に初めて住宅を購入するエンドユーザーが多く、受注残が増加したということです。

税前利益も前期比で伸びています。保証金や、供給不足による住宅の価格上昇等、複数の要素によって、最終的に利益率が向上した為です。

純利益も大幅に伸びています。税前利益が前期比増にも関わらず、法人税が減っていますが、これは主に省エネ住宅の課税控除の拡張によるものです。

さて、プルト・グループの収益性を見てみましょう。今期の売上高純利益率=純利益÷売上=12%でした。平均との比較について、プルト・グループは「建設業」に含まれ、その業界の利益率平均は5~7%(参照:csi market)なので、プルト・グループの収益性は高いと言えます。

次にプルト・グループの最新業績です。2021年1Qは売上が前期比18%増の27億ドル、純利益は50%増の3億ドルになりました(参照:プルト・グループ2021年1Q報告)。前期比増で最新業績も堅調です。

 


(出典:Reuters

上記の業績予想より、2021年の売上は前期比36%増の150億ドル、EPS(一株当たり利益)が7.768ドルです。最新業績も順調だったので、業績予想も上記を達成することが期待できます。

 

プルト・グループの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:プルト・グループ年次報告書

プルト・グループの賃借対照表を見ると、借方で一番大きいのは住宅及び土地の在庫(流動資産)です。貸方で一番大きいのは資本余剰金と利益余剰金(純資産)です。在庫が大きいですが、資本金でカバーしているイメージです。

資産の増減について、現金(流動資産)と利益余剰金(純資産)が大きく増加しています。純利益=利益余剰金と考えて問題無いので、増えた純利益=現金がそのまま残ったイメージです。いずれにしても、本業で稼いだ利益によって資産=企業スケールが大きくなっており、企業の成長が明確に分かる、良い傾向です。

次にプルト・グループのROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷総資産=11%でした。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、ROAを見てもプルト・グループの収益力が高いと言えます。

ROE(自己資本利益率)はどうでしょうか。メリテイジ・ホームズのROE=純利益÷純資産=21%、業界平均は12~16%なので、ROEを見ても収益力が平均以上と言えます。

短期的な資金繰りの安全性を測る流動比率について、流動資産や流動負債の正確な金額が分かりませんでしたが、現金(流動資産)に対して、買掛金や預かり金、未払金(流動負債)の方が小さかったので、短期の支払い能力は問題無いと言えるでしょう。

自己資本比率=純資産÷総資産=53%と、理想の50%を上回っており、倒産の心配は皆無です。

 

プルト・グループのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:プルト・グループ年次報告書

上記はプルト・グループのキャッシュフローです。一つずつ見ていきましょう。

営業キャッシュフローはプラスで、前期比で大幅に増加しています。既述の損益計算書の通り、純利益が前期比で大幅に増加したほか、住宅の在庫や、住宅ローンの増加分によって、計算で得られた営業キャッシュフローが大きくなっています。

投資キャッシュフローは小さなマイナスですが、前期より減っています。お金の使い先は、主にICG(木造建築のソリューションプロバイダー)の買収です。

財務キャッシュフローは小さなマイナスで、こちらも前期よりは減っています。お金の使い道は、主に自己株買いです。

キャッシュフローを総合すると、本業で確りキャッシュが入り、投資と財務で少し使うという、完璧な資金繰りです。

 

プルト・グループの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、プルト・グループの総合評価は84点です。

正直、プルト・グループにも他社との差別化が見られませんでしたが、需要過多の現状ではそういった競争力は不要でしょう。売上があまり伸びていないので、シェアが伸びていない気がしますが、ともあれ決算書の分析結果はパーフェクトの一言です。

プルト・グループに投資すべきかどうか、今の株価なら「買うべき」というのがしーおがが個人の判断です。

尚、住宅建設は景気に最も左右されやすい循環株に属するものです。株価の変動が激しく、一説によると売買タイミングが敏感株やディフェンシブ株とは異なるという理論もある為(参照:SBI証券)、気になる方は投資する前に勉強されることをお勧めします。

以上、プルト・グループの決算情報でした。

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