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ショッピファイ(Shopify)の英語決算書が5分で分かる!


(出典:WebRevenue Sdn Bhd

アマゾンから始めて、eコマース(通販)関連の銘柄を紹介しています。巣籠り需要に投資するのは遅すぎと感じるかもしれませんが、これから投資できる銘柄もありそうですし、コロナで通販が日常生活に定着したので、長期的に成長が期待できるテーマです。

第5回はショッピファイ(NYSE: SHOP)を紹介します。アマゾンキラーとして一番期待されているので、選んでみました。

では、決算書の内容についてポイントを絞って分かりやすく解説していきます。しっかり銘柄分析してみましょう!  

 

ショッピファイの企業概要、事業内容(単純事業)

ショッピファイ年次報告書より、会社の創業は2004年ということです。公式HP曰く、スノーボードのオンラインショップを作ったのが始まりということです。雪が降るカナダの企業らしいですね。

ショッピファイが上場したのは、創業してから11年後の2015年です。 

創業時のメンバーは5名だけでしたが、現在は世界中に拠点があり、従業員数は5,000人を超えています。 ショッピファイの事業ですが、eコマースのツールを提供しています。ネットショップを作るソフトを提供しており、アマゾンイーベイのようなマーケットプレイスではありません。3種類のコースがあり、ショップオーナーは月額を支払ってショッピファイのツールを使います。

上記のストアツールの他に、決済ツールも提供しています。クレジットカード等で決済が出来るものですが、ショップオーナーは手数料を支払う必要があります。

事業内容はオンラインショップに特化したもので、非常にシンプルで投資家にとって事業多角化のリスクが低い銘柄だと言えます。  

 

eコマースの市場規模(社会需要)


(出典:statista)

上記は世界のeコマースの市場規模です。2014年から金額がどんどん伸びています。意外なのは、2020年は巣籠りで需要が爆発したかと思いきや、その伸びは例年並みでした。いずれにしても、コロナが終わるとしても今後も強い需要は続きそうです。  

 

eコマースの業界構造(競争要因、参入障壁)

eコマースについて5フォース分析をしてみましょう。


(出典:MARKINBLOG

先ず直接の競合は、他のeコマースを提供している企業でしょう。上記は世界でeコマースを提供している企業のランキングです。もうぶっちぎりでアマゾンが1位です。ショッピファイは22位ですね。ショッピファイの地位は米国内でもまだまだと言ったところです。何れにしても通販業界は成長している分野で、参加しているプレイヤーは多く、競争が激しい業界です。

次は顧客との力関係です。ショッピファイの顧客は、ショッピファイに登録してくれるショップオーナーです。ショップオーナーにとってみればショッピファイの月額料金は高いですが、ショップオーナー1人の為にショッピファイがいちいち価格交渉したり値下げすることはまずありません。従って、ショッピファイの顧客に対する交渉力はある程度強いと言えます。

仕入先との力関係はどうでしょうか。ショッピファイの仕入れ先はパソコンメーカー、ソフトのライセンス、決済システムプロバイダー等、多岐に渡ります。パソコンは兎も角、ソフトや決済システムは複数の業者を使うことは出来ず、必然的に1社だったり、数社に絞られますし、万が一契約している業者から別の業者に変える場合にはそれなりの手間が発生します。「ウチと契約せざるを得ないんだろ?」と業者が横柄な態度を取ると、ショッピファイにとってはマズいですが、そこはお互いの利益の為、それなりの信頼関係を構築できているでしょう。従って、仕入先に対するイーベイの交渉力は普通と言えます。

代替サービスの脅威について、先ずオフラインの店舗があります。ショッピファイを使わず、オンラインショップを自前で作ってしまうのも代替案です。オンラインショップだけがモノを買う方法では無いので、代替サービスの脅威は強そうですね。

新規参入者について、eコマースで有名どころの企業は何れも創業が1990~2015年です(参照:MARKINBLOG)。ここ数年ではニューカマーの数はそこまで増えてない、新規参入の多さは中程度と言ったところでしょうか。通信販売を始めるにあたっては、販売等の各システムやカスタマーサポート、販売業者のサポート、ロジスティック拠点、配達網を築く必要がありますが、これらは楽にできるものでは無く、気軽にチャレンジできる業界ではありません。参入障壁の高さは中程度でしょう。  

 

ショッピファイの強み(商品力)

ショップファイの強みは、お手頃価格(一番安いプランが月額24ドル)でオンラインショップに必要な全てが手に入るところです。

オンラインショップを始めるのは結構大変です。ドメインを取ったり、サーバーを契約したり、ウェブサイトを作るツールを探したり、会計方法も調べて契約して・・・これら面倒くさいことが全部一つに纏まっているのがショッピファイです。

オンラインショップを立ち上げるだけではありません、その後に商品を売る、マーケティングまで、ショッピファイは力強くサポートしてくれます。ショッピファイではブログが準備されている他、SEOツール、メール、GoogleやFacebookとの連携等、あらゆるツールが揃っています。

売れたあともショッピファイなら楽ちんです。既述の決済システムで集金は問題無し、配送業者は特別料金で安く利用できます。

何でも1人でやらないといけないショップオーナーを全面支援する、オンラインショップに必要な全てが揃っている便利さがショッピファイ最大の強みです。  

 

ショッピファイの株価(割安度)


 (出典:yahoo!finance)

上記はショッピファイの株価チャート(青線)です。5年前から既にS&P 500(赤線)のパフォーマンスを超えて、2021年8月7日現在で1,525ドルです。これだけ株価が高い銘柄も珍しいですね。


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はショッピファイの各株価指標で、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。ショッピファイはS&P 500に含まれていませんが、Consumer Discretionary(一般消費財)に属する筈なので、こちらのセクターのPERと比較します。Consumer DiscretionaryセクターのPER=22.13(参照:gurufocus)なので、ショッピファイのPERは遥か上で、超割高だと言えます。 次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。Consumer DiscretionaryセクターのPBR=3.56なので、こちらもショッピファイのPBR方がずっと高いですね。

ここまでPBR、PERが高い銘柄も久しぶりにみました。

 

ショッピファイの配当金(配当)

ショッピファイは無配当です。年次報告書に、利益は蓄えて投資に充てると説明があります。

尚、無配当は決して悪いことでは無いです。株主貢献のかたちは各企業で夫々です。ショッピファイは株価が39倍にも上がっているので、もう十分株主貢献はしたでしょう。

 

ショッピファイの決算内容

ショッピファイの決算内容を一言で表すと、「売上倍増で成績は上々だが、激しい筋トレ(投資=買収)で大出血、株式市場がら大量輸血(IPOによる資金調達)して、ひたすら成長の為になりふり構わず猪突猛進」という感じです。

ポイント1

先ず注目すべきは損益計算書(Consolidated statement of income)の営業利益(Income from operations)です。2019年までは営業経費(Operating expense)が大きすぎて利益が残っていませんでしたが、2020年に初めて営業利益が出ています。漸く会社の黒字化が見えてきたということでしょう。尚、純利益(Net income)はなんと営業利益の3倍ですが、このからくりは投資利益(Unrealized gain on equity)によるものです。Affirm Holdingsという非上場(当時)の会社に投資していたのですが、その後の評価額の変更により、投資利益が発生したということです。

ポイント2

次に注目すべきは賃借対照表(Consolidated balance sheet)の普通株(Common stock)です。元々資本金がかなり多かったのですが、2020年にShare Class A(同じショッピファイでもClass AとBの2種類があります)のIPO(新規株公開)を行って莫大な資金を株式市場から調達しています。2020年は黒字化して利益余剰金(Retained earning)もできたので、株式市場からの資金調達は無くても良かったように見えます。

 

ポイント3

最後に注目すべきはキャッシュフロー計算書(Consolidated statement of cashflow)の投資キャッシュフロー(Net cash (used in) financing activities)です。2020年の投資キャッシュフローがここまで大きいのは、有価証券の購入(Purchase of marketable securities)です。資本参加か、恐らく買収でしょう。既述のIPOはこの為で、せっかく営業キャッシュフロー(Net cash provided by operating activies)が大きく増加したのに、それを遥かに上回る投資をしてしまった為、財務キャッシュフロー(Net cash provided by financing activities)の大きなプラスでカバーしています。

 

財務諸表

 


  
(出典:ショッピファイ年次報告書)  

 

ショッピファイは今後大きくなるか?(成長性)

ショッピファイの成長性を評価していきましょう。 損益計算書より、既述の通り2020年に初めて黒字化しており、成長が見られます。決済システム関連の売上(Merchant solutions)が大きく伸びているので、ショップオーナーの登録者数も増えていますが、特に各ショップの売上(顧客からの支払いと決済システムの利用)が伸びたということでしょう。

最新業績をチェックすると、2021年2Qは売上が前期比57%増の11億ドル、営業利益は1.3億ドルでした(参照:イーベイ第2四半期報告)。


(出典:Reuters

上記は2021年業績予想ですが、売上は前期比58%増の46億ドル、EPS(一株当たり利益)が6.626ドルの予想です。2020年に引き続き、2021年も通販需要が旺盛なので、最新業績も絶好調ですし、2021年業績予想も精度は高そうです。

次に賃借対照表から資産総額の増加度合いを見ますが、IPOで資本金が大幅に増加しており、資産総額も大きくなっています。輸血してもらって体が大きくなったイメージです。真の企業成長のかたちとは言えませんが、IPOによって得たお金を上手く使って、将来的に売上や利益が増加することを期待しましょう。

 上記を纏めると、ショッピファイはここ3年で確り成長していると言えます。  

 

ショッピファイは儲かっているか?(収益性)

ショッピファイの収益性をチェックしていきましょう。

先ず売上高純利益率を計算してみましょう。2020年の売上高純利益=319.509÷2,929,491=10%です。ショッピファイが含まれる「オンラインショップ業界」において、利益率平均は3~6%(参照:csi market)なので、ショッピファイの利益率は平均を超えています。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷総資産=4%でした。業界平均は5~8%(参照:CSI Market)なので、こちらは平均より少し低くなっています。IPOで資本金が急激に大きくなったので、ROAの数字はあまり参考にならなさそうです。

 ROE(自己資本利益率)=純利益÷純資産=4%ですが、業界平均は19~30%なので、ショッピファイのROEが遥かに低いです。上記と同じ理由で、ROEの分析はあまり意味が無さそうです。

上記を纏めると、ショッピファイの収益性は並と言えます。

 

ショッピファイは倒産しないか?(安全性)

最後にショッピファイの安全性をチェックしましょう。

賃借対照表より、短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率=流動資産÷流動負債=1569%で、100%を遥かに上回っています。

自己資本比率=純資産÷資産総額=82%と、理想の50%を大きく上回っており、倒産の危険は全くありません。持っている資金が殆ど資本金というイメージですね。

次にキャッシュフロー計算書ですが、本業(営業キャッシュフロー)で入ってきたキャッシュが大幅に増えたのに、それを遥かに上回る投資をして、キャッシュが足りなくなったので借金(といってもIPOですが)でカバーしています。本業でキャッシュが得られているから良いですし、何より株が人気なので幾らでも株式市場から資金調達できるのかもしれませんが、そこまで褒められた資金繰りでは無いです。

上記を纏めると、ショッピファイの安全性は高いと言えます。  

 

ショッピファイの総評

 しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、ショッピファイの総合評価は52点です。 完全に個人的な意見ですが、先ずショップオーナーに焦点を合わせたビジネスは駄目だと思います。私だったら自分で一からオンラインショップを作ってしまうからです。「ショッピファイが無いと駄目」という強い理由が見つかりません。株価も異常に高いです。戦略とは言え、お金が無いのに他の会社の株を買うところも理解に苦しむところです。

ショッピファイに投資すべきかどうか、よほど経営方針がガラリと変わらない限り、一生「投資すべきでない」というのがしーおがが個人の判断です。

以上、ショッピファイの決算書解説でした。

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