(出典:The Motley Fool)
前回、分散投資をする目安としてS&P 500のセクターを参考にすると良いと紹介させて頂きました。
前回の記事では、S&P 500のセクターとはなんぞや、夫々のセクターの特徴は何、といった基本的なことを説明できなかったので、今回はそれらを説明させて頂きたいと思います。
「○○セクターって何?」「○○セクターに投資するときの注意点は?」と思っている方は、是非下記を参考にしてください!
ではさっそくいってみましょう!
目次
S&P 500の11セクターの概要
前回のブログ記事でも紹介しましたが、もう一度S&P 500の11セクターを紹介します。
①テクノロジー
②ヘルスケア
③一般消費財(Consumer Discretionary)
④通信(Communication Services)
⑤金融
⑥工業、産業(Industrials)
⑦生活必需品(Consumer staples)
⑧不動産(Real Estate)
⑨素材(Materials)
⑩公益(Utilities)
⑪エネルギー
各セクターの概要と投資する際の注意点をざっくり紹介していきます。
①テクノロジー
IT(情報技術)やフィンテック(金融技術)だけでは無く、半導体や機器メーカーもこのセクターに含まれます。
代表的な銘柄:アップル(NASDAQ: AAPL)、マイクロソフト(NASDAQ: MSFT)、台湾セミコンダクター(NYSE: TSM)
テクノロジーセクターは投資家に大人気で、S&P 500でも一番ウエイトが大きいです。このセクターへの投資で注意することは、その人気の高さぶりです。人気が高いうちは株価も高くなって嬉しいこと尽くめですが、人気が無くなると株価は急激に落ちます。エヌビディア等、ハイテクセクターの中でも特に人気の銘柄への投資は、将来突然株価がドーンと落ちないか要注意です。個人的には、今は人気が無く株価が冴えない銘柄に投資し、何れその実力に株式市場が注目して株価が上がることを狙うことをおススメします。
②ヘルスケア
製薬会社、医療機器、医療サービスがこのセクターに含まれます。
代表的な銘柄:ジョンソン&ジョンソン(NYSE: JNJ)、ファイザー(NYSE: PFE)、ノボ・ノルディスク(NYSE: NVO)
アメリカが医療で世界に対してリードしていることの表れでしょう、このセクターもウエイトが非常に大きいです。株価暴落にも比較的強いディフェンシブ株なので初心者にもおススメですが、上場したばかりの新興企業が多いセクターなので、業績や財務状況がお粗末な企業へ安易に投資しないように気を付けて下さい。
③一般消費財(Consumer Discretionary)
自動車から住宅、eコマース、レストラン迄、恐らく一番定義が広いセクターです。「一般消費者向けの商品で、緊急性や重要性がそこまで高く無い贅沢品」と理解して頂ければ分かりやすいと思います。
代表的な銘柄:アマゾン(NASDAQ: AMZN)、テスラ(NASDAQ: TSLA)、ホーム・デポ(NYSE: HD)
このセクターには循環株と呼ばれる危険な株が潜んでいます、住宅や自動車ですね。なので、何も知らずにうっかり循環株に投資しないように注意しましょう。単純に株式投資初心者のうちは住宅や自動車の株は買わないことですね。
循環株について詳しく知りたい方は下記参照ください。
④通信(Communication Services)
インターネット広告、ソーシャルネットワーク、ゲーム、携帯電話通信、動画配信等、結構幅広いセクターです。「通信コンテンツ関連の銘柄」と覚えて頂くと良いかもしれません。
代表的な銘柄:アルファベット(NASDAQ: GOOGL)、フェイスブック(NASDAQ: FB)、ウォルトディズニー(NYSE: DIS)
特に携帯電話キャリアやインターネットプロバイダー等、通信インフラ関連は社会のニーズが強く安定性が高いです。広告やSNSの企業は有象無象でどの株が成長するか見分けるのが難しいので、それよりは安全な通信インフラを初心者におススメします。
⑤金融
その名の通り、銀行や保険等の金融関連です。
代表的な銘柄:JPモルガン(NYSE: JPM)、バークシャー・ハサウェイ(NYSE: BRK-B)、バンク・オブ・アメリカ(NYSE: BAC)
金融セクターの中心的な存在である銀行は、企業がお金を借りるときに大きく業績を伸ばします。コロナ禍で多くの企業が融資を求めて、今年は特に大きく業績が伸びました。将来的に大暴落があったときには注目したいセクターです。
私も勉強中ですが、銀行業は商品を売って儲ける売上、営業利益が無いので、損益計算書や賃借対照表等の財務諸表を読むのが難しいです。「財務諸表なんて読むのが面倒臭い、というか読めない」という初心者の方には、金融セクターはあまりおススメできません。
⑥工業、産業(Industrials)
工具メーカーや航空会社、航空機製造や重機等、このセクターも非常に幅広いです。「消費者に直接見られることは無い、BtoBの裏方ビジネス」と覚えておくと良いと思います。
代表的な銘柄:ハネウェル・インターナショナル(NYSE: HON)ユナイテッド・パーセル(NYSE: UPS)、ボーイング(NYSE: BA)
私自身、勤めている会社がこの業界なので、個人的には一番大好きなセクターです。只、消費者からは遠く離れている業界なので、関わりが無いと理解しにくいです。「バイデン政権でインフラ建設がくる筈だから重機に投資したいっ!」と言って安易に知らない業界に投資するのは得策とは言えません。逆に私のように業界の人間の方は、その強みを活かして是非投資すべきでしょう。
⑦生活必需品(Consumer staples)
タバコ、食品、家庭用品等の生活必需品のセクターです。
代表的な銘柄:ウォルマート(WMT)、プロクター&ギャンブル(NYSE: PG)、コカ・コーラ(NYSE: KO)
生活必需品も暴落に強く安定性が高いディフェンシブ株です。消費者にもイメージし易いので初心者に一番おススメできます。大型株は株価の伸びしろがイマイチですが、一先ずこのセクターの知っている企業を買うのが、株式投資の第一歩として良いのではないでしょうか。
⑧不動産(Real Estate)
その名の通り、不動産のセクターです。個別銘柄は殆ど無く、ほぼ全てREITs(不動産投資信託)です。
不動産に興味が無い方は無理にこのセクターに投資しなくても良いかと。私も今は持っていません。
⑨素材(Materials)
化学材料や金、鉄鉱石やガス等の素材セクターです。
代表的な銘柄:ダウ(NYSE: DOW)、アルベルマール(NYSE: ALB)、リンデ(NYSE: LIN)
このセクターはいわゆるコモディティ株というもので、材料価格や鉄鉱石価格等、市場価格に揺さぶられて株価が決まると言っても過言ではありません。循環株と呼ばれる、取り扱いが難しくリスキーな株なので、初心者にはあまりおススメできません。
銅やアルミ等、コモディティは現在軒並み最高値となっています。「コモディティが今高いんだ、だったら投資しよう!」と安易には考えてはいけません、コモディティが高騰してからコモディティ株に投資するのは遅すぎて大損する可能性大です。不況でコモディティ株の業績がどん底の時に投資するのがベストなので、今は待った方が良さそうです。
⑩公益(Utilities)
公益とはパッと見て何のことか私は分かりませんでしたが、要は電気や水等の公共インフラです。
代表的な銘柄:ネクステラ・エナジー(NYSE: NEE)、デューク・エナジー(NYSE: DUK)
米国の電力会社だと日本人が知らないことが多いと思いますが、アメリカ人なら地域の電力会社の名前くらいは分かるでしょう、人々の生活に近い投資対象だと思います。
電力需要は不景気下でも必ずあります、株価暴落時にも強い株なので、初心者におススメの銘柄です。コロナ禍で産業需要が冷え込んで株価が落ちてしまったので、今なら比較的安く株を買える上に、リバウンド需要も高確率であるので、投資するタイミングが良いと思います。
⑪エネルギー
このセクターは、要は石油ですね。天然ガスや石炭等もこちらに含まれます。
代表的な銘柄:エクソンモービル(NYSE: XOM)、シェブロン(NYSE: CVX)、コノコフィリップス(NYSE: COP)
脱炭素で風前の灯と思いきや、各国で脱炭素が思ったほど進まず、寧ろ供給不足で原油の高騰が続きました。株価もまずまず上がっているので、今は投資のベストタイミングでは無さそうです。
インフレに強い資源株と言われていますが、詳しくは下記記事を参考にして下さい。
コモディティ株と似ていて、資源株も原油価格でだいたい株価が決まります。株価の上下にサイクルがあり、投資タイミングが難しくなるので初心者向けではありません。
まとめ
今回は各セクターの特徴、投資する際の注意点の説明しました。
上記で紹介したセクターをいちいち覚える必要はありません。大事なのは、これから投資したい銘柄が、どういった性質を持ち、どんな要因で株価が変動するのかを事前に理解しておくことです。
上記で説明した通り、セクターのなかには初心者向けの株もあれば、ちょっと取り扱いが難しい株もあります。「好きな企業だから〇〇に投資!」と楽観的に楽しいことだけを考えるのでなく、将来どういったシチュエーションで株価が落ちる可能性があるか、危険性を少し気にするだけでも、大失敗を防げるようになるかなと思っています。
今回のブログ記事を読んで頂いて、「○○という企業は○○というセクターか」「○○セクターはインフレ下だと厳しそうだな」等、考えるきっかけになれば幸いです。
以上、「セクターをマスターして安全快適に株式投資をしよう!S&P 500の各セクターの特徴と注意点」でした。
各セクター(各業界)毎に投資したい個別銘柄を探す方法は、下記をご参照下さい。
↓最後にブログランキングをポチッと押して頂けると嬉しいです!