米国株

スクエア(Square)の決算・業績・財務・銘柄分析


(出典:Rojak Daily)

今回からキャッシュレス銘柄を少し紹介したいと思います。

近年日本でもキャッシュレスが進んでいますが、まだまだ成長の余地があるので、投資をするのは今からでも遅くないと思います。

では、今回紹介するのは皆さまご存知のスクエア(NYSE: SQ)です。日本でも、個人経営のお店等で良く見かけるようになりましたね。

では企業、業界、株価指標、業績、財務等、しっかり銘柄分析をしていきましょう!

 

スクエアの企業概要、事業内容(単純事業)

説明不要かもしれませんが、スクエアはサンフランシスコに拠点を置く、キャッシュレス支払いサービスの会社です。CEOはTwitterも作った天才、ジャック・ドーシーです。世界的な企業を立ち上げるだけでも凄いのに、2社も作るなんて、天才の離れ業ですよね。

年次報告書によると、スクエアは2009年創業の比較的新しい企業です。ジャック・ドーシーの友人である、ジム・マッケルヴィがガラス製蛇口を販売しようとしたものの、クレジットカードでの支払いを受けられなかったことが原因で、個人でも支払い受け取りが出来るようにしてやろうとジャック・ドーシーが思い立ったことが、スクエアの始まりです。因みにスクエアという社名は、端末が四角だからだそうです。結構安直な発想ですね(笑)。今日の端末も下記画像の通り四角です。


(出典:CCS Insight

創業後も凄まじい速度で成長し、2015年にニューヨーク証券取引所に上場を果たしています。

事業内容は、販売業者を支援するSeller部門、ユーザーに対して金融サービスを提案するCash部門の2つから成ります。Seller部門の事業はよく知られている、支払い受け取りを含めたSeller Ecosystemです。Cash部門の事業は、送金に始まり、貯金、支払い、投資等、お金の管理に関する様々なサービスを提供しています。

 

スクエアのサービスの強み(商品力)

先ずSeller Ecosystemの強みを見ていきましょう。このシステムは30ものソフトウェアを提案しており、支払い受け取りのみならず、お店の予約管理、販売管理、請求書発行、支払い管理等、小売りや飲食業等のビジネスを様々な面で支援します。

Seller Ecosystemでは上記のソフトウェアのみならず、各種端末も提供しています。磁気ストライプやICチップの読み込み端末のみならず、iPadを支払い端末として利用できるものや、全ての機能が一つに詰め込まれたレジ等を提案しています。

Cash部門ではCash App Ecosystemというスマホアプリを提案しており、同じアプリから送金してもらうか、銀行口座から送金してもらうことで、このアプリで支払いを含め、様々な金融サービスを利用することができます。

上記より、スクエアは支払い受け取りだけでは無く、キャッシュレス支払いに関して多角的なサービスを提供している企業だと分かります。

又、スクエアは特にブランドイメージ、口コミや広告に力を入れていることが分かります。スクエアの顧客推奨度は65で、スクエアを使った顧客が別の顧客にスクエアを勧めて、スクエアのシェアがどんどん広がっているということです。

 

スクエアの業界構造(競争要因、参入障壁)

スクエアについて5フォース分析をしてみましょう。先ず直接の競合は、他のキャッシュレス支払いを提供している企業になります。国際的な企業を挙げると、Intuit GoPayment、Paydiant、Visa、MasterCard、Google Wallet、ペイパル、Apple Pay、等々、競合の数は多いです。

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信頼できるデータが見つかりませんでしたが、上記の競合のなかでは恐らくペイパルのシェアが大きいでしょう。只、ペイパルが強いのはオンライン決済なので、店舗の決済ならクレジットカード各社とスクエアに分がありそうです。いずれにしても、競合間の競争が激しい業界であるのは間違いありません。

次は顧客との力関係です。スクエアの顧客はレストラン等の店舗や小売り、後はエンドユーザーです。スクエアは高いブランド力を有していますが、とは言え、無数にある支払い方法の一つに過ぎないので、数ある支払い方法の中から選ばれる為にも魅力的な手数料を提示する努力が必要で、決して交渉力は高そうではありません。

仕入先との力関係はどうでしょうか。スクエアの支払い端末に関して言えば、仕入先は少数に限定しているらしく、複数の仕入れ先を競わせて価格を叩いているわけでは無いようです。仕入先との契約であったり、信頼関係があると思うので、仕入先が調子に乗って「ウチしか取引してないから、販売価格をがっつり上げてやろう」と下心を抱くことは無いでしょう。

代替サービスの脅威について、日本なら電子マネーだったり、昔ながらの口座振り込み、やっぱり現金等、ぱっと思いつく限りでも複数ありますし、将来的には生体認証での支払い等、技術が進歩すれば別の支払い方法も出てきそうですね。代替品に関して言えば、キャッシュレスは油断大敵の業界です。

新規参入者について、日本の例で言えば近年は○○ペイが無数に生まれましたよね(最近は少し減って落ち着いた気がします)。インターネットとアプリ、資金管理システムさえあれば出来るので、正直誰でも出来るビジネスに見えます。端末も非接触センサーを使っただけの汎用品なので、製造は難しくないでしょう。従って、参入障壁は低いですし、今は落ち着いていますが、新規参入者も多い業界と言えます。

 

キャッシュレス支払いの市場規模(社会需要)


(出典:Visual Capitalist)

上記は世界のキャッシュレス支払いの金額推移です。2017年から金額がどんどん伸びています。送金も簡単ですし、便利、安全ですから、キャッシュレスが飽和するまではこの傾向がずっと続くでしょう。

 

スクエアの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

スクエアの株価チャートは、2019年から伸び悩んでいましたが、2020年に爆発して現在はほぼ最高値の状態です。

チャートだけ見ると、割高な状況です。

 

スクエアの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

スクエアの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。スクエアは未だS&P 500には選ばれていませんが、恐らくITセクターに該当するので、このセクターのPER=37.06(参照:gurufocus)と比較すると、スクエアのPERの方が非常に高く、割高だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。ITセクターのPBR=5.03なので、これもスクエアの方が高く非常に割高です。

上記より、スクエアは超割高な水準だと言えるでしょう。

 

スクエアの配当金(配当)

スクエアは無配当です。お金が無いからでは無く、スクエアのポリシーですね。

因みに、無配当は完全に悪ではありません。要はお金を利益余剰金として投資等、企業の成長に使う(つまり無配当)のか、ちょっとした金額でも直ぐに株主へ還元するか(つまり配当有)の違いです。前者の場合、投資が業績向上に繋がれば、結局株価が上がって株主の利益になるので、長い目で見れば同じになる可能性があります。

無配当で良くないのは、今まで配当金を出していたのに少なくなる、無くなることです。この場合はだいたいお金にピンチなことを示しています。

 

スクエアの業績(成長性、収益性)


(出典:スクエアの年次報告書

上記より、スクエアの2020年決算は増収減益となりました。

売上が大きく伸びたのは、前期と比較してビットコインの収入が大きく増加した為です。スクエアはCash Appというエンドユーザー向けのサービスでビットコイン投資を提供しています。2020年後半にビットコインが大きく伸びたので、そのおかげで取引量が増えたのかもしれません。

一方、営業利益がマイナスに転落していますが、これは製品開発費と販売費用が前期比で増加した為です。エンジニア等の人員増加に伴い人件費が増加した他、エンドユーザー向けCash Appのマーケティング費用が増加しています。

純利益ですが、不思議なことにプラスに戻っています。これはスクエアが持っている株券(DoorDashというフードデリバリーサービス会社です)の再評価により、営業外収益が発生した為です。

さて、スクエアの収益性を見ると、今期の売上高純利益率は2.2%です。ペイパルが含まれる「法人向けサービス業界」において、利益率平均が3~10%(参照:csi market)なので、スクエアの収益性は平均以下ということになります。

次にスクエアの最新業績です。2021年1Qは粗利益が前期比79%増の9.6億ドル、純利益は3900万ドルでした(参照:スクエア2021年1Q株主レター)。Seller EcosystemもCash Appも順調に収入を伸ばしたそうです。


(出典:Reuters

2021年の業績予想について、上記より売上は前期比大幅増の200億ドル、EPS(一株当たり利益)が1.511ドルの予想です。上記の強気な予想を裏付ける根拠は不明ですが、恐らくコロナ後の再開に向けてレストラン等の店舗が再開することに加え、個人消費も盛んになることを予想しているのかもしれません。

業績について纏めると、純利益は年々伸びて見えますが、営業利益の伸びがイマイチなので、業績右肩上がりとは言えず、注意すべき内容だと言えます。

 

スクエアの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:スクエアの年次報告書

スクエアの資産状況について、先ず中身を見ていきます。資産では流動資産が、負債では流動負債が一番大きいですね。流動資産の半数近くは現金で、流動負債の大部分は買掛金です。スクエアのビジネスはキャッシュに関するものなので、支払いや入金受け取り処理が多いと、現金や買掛金が自然と大きくなりますね。

では前期比での資産増減を見ましょう。前期比で大きく増えているのは、資産の部だと現金、売掛金、顧客資金、負債の部では買掛金と長期借入金です。収益(利益余剰金)が増加して、結果的に資産が大きくなるのが真の企業成長と言えます。スクエアの例は、要は借金が増えて資産が増えているので、今回は企業が成長したとは言えない内容です。今後、収益が伸びて企業が成長することを期待したいですね。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷資産=2%でした。業界平均は1~4%(参照:CSI Market)なので、スクエアの資産効率は平均的と言えます。

ROE(自己資本利益率)はどうでしょうか。スクエアのROE=純利益÷純資産=7.9%ですが、業界平均は5~13%なので、これも平均的です。

流動資産÷流動負債=流動比率は188%で、100%を遥かに上回っており、短期の支払い能力は全く問題ありません。スクエアはキャッシュレス支払いを提供している関係で、短期支払い能力は生命線なので、流動比率が高すぎても全く問題無いでしょう。

自己資本比率は27%と、下限の30%を下回っており、少し危険ゾーンです。ファイナンス系の企業は、少ない資本で可能な限り大きな資産(=現金)を動かす必要があるので、この水準は致し方ないのかもしれません。

 

スクエアのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:スクエアの年次報告書

スクエアのキャッシュフローを一つずつ見ていきましょう。

先ず営業キャッシュフローは、前期よりは減ったもののプラスになっています。買掛金やローンの元本返済等が非常に大きく、結果として営業キャッシュフローが、損益計算書の純利益より大きくなる現象が発生しています。

投資キャッシュフローは大きなマイナスですが、主に有価証券に使っています。

財務キャッシュフローは大きなプラスですが、主に転換社債(株式に転換する権利の付いた社債)を発行して資金調達しています。

キャッシュフローを総合すると、本業でキャッシュが入ってきているものの、投資で使い過ぎた上に、(買収等に使うのかもしれませんが)とんでもない額の借入をしており、最悪のキャッシュフローでは無いですが、非常に無理のある資金繰りです。この1年だけでも駄目な資金繰りですし、これを続けると手元のキャッシュは増えますが借金だらけになります。

 

スクエアの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、スクエアの総合評価は56点です。

今回改めてじっくりキャッシュレス業界を見直してみましたが、一見華やかでタイムリーな業界に見えますが、新参者も多いしキツイ業界ですね。スクエアはバンバン広告を打ってブランドを築いていますが、そのサービスに関して競合他社との明確な差別化が見えません。業績が本当に右肩上がりなのかアヤシイところも気になりますね。株価も高いです。

スクエアに投資すべきかどうか、割安になっても絶対に「買わない」というのがしーおがが個人の判断です。

以上、スクエアの決算情報でした。

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