中南米株

ブラジル企業だけど意外としっかりしてる?ヴァ―レ(Vale)の決算分析!


(出典:Vale)

先日私の投資成績を公開しましたが、個別株の成績が振るわず、「銘柄選定間違えたかなー」と思ったので、持っている銘柄の見直しをしようと思いました。

個別株が大負け!しーおががの株式投資成績を初公開!

 

なので、いきなりですがブラジルの鉄鉱石採掘の企業、ヴァ―レ(NYSE: VALE)の銘柄分析をしたいと思います。

ヴァ―レに投資したいという方がいれば、下記を是非参考にしてください。では、しっかり銘柄分析やってみましょう!

 

ヴァ―レの企業概要、事業内容(単純事業)

実は鉄鉱石の生産は世界でだいたい場所が決まっており、ブラジルは有数の生産地の一つです。創業は1942年なので、非常に古く歴史のある企業です。

ヴァ―レはロジスティックや発電も行っていますが、メインは鉄鉱石で、売上のほぼ全体を占めます。事業内容はシンプルで、投資家にとって事業多角化のリスクが少ない銘柄だと言えます。

 

鉄鉱石の市場規模(社会需要)


(出典:MiningMetalnews.com)

やや需要が安定しませんが、右肩上がりの傾向です。建造物等に鉄を使う以上、鉄鉱石の需要は続くし、大きいと言えます。

 

鉄鉱石の業界構造(競争要因、参入障壁)

鉄鉱石業界について5フォース分析をしてみましょう。


(出典:S&P Global

先ず直接の競合は他の鉄鉱石メーカーでしょう。少し古いデータですが、上記は採掘会社のマーケットシェアです。上位5社でマーケットシェアの半分以上を占めているので、これら企業が市場を独占していると言えます。このうち鉄鉱石を取り扱っているのはBHP、リオティント、ヴァ―レの3社です。ヴァ―レは3番手ですが、世界中で必要とされる鉄の原料である鉄鉱石を取り扱っているのが、たったの3社とは驚きませんか?企業数は少ないですし、競合間の競争は少ない方でしょう。

次は顧客との力関係です。ヴァ―レの顧客は各製鉄メーカーです。世界でも製鉄メーカーの数はそれ程多くありませんが、鉄鉱石メーカーほど数が少ないというわけではありません。製鉄所は上記3社から鉄鉱石を仕入れるを得ず、ヴァ―レの顧客に対する交渉力は相当強いです。

仕入先との力関係はどうでしょうか。これは私の体験談を話しましょう。実はワタクシ、ヴァ―レに商品を販売したことがあるのです。まー酷いですね、注文期日は守らないわ、高いと文句を言うわ、非常に特殊な契約関連書類にサインを求めるわ、小さい商売でしたが非常に大変でした。もう完全に殿様です、そりゃあそうです、ブラジルのキング、世界トップの企業なんですから。設備投資するとなればそのボリュームは相当な金額になるでしょう、納める業者も契約を勝ち取ろうと死に物狂いです。仕入先に対するヴァ―レの交渉力は圧倒的です。

代替商品の脅威について、鉄を作るのに鉄鉱石以外の代替案はありません。鉄鉱石に限らずですが、原料については代替商品の脅威は無さそうです。

新規参入者について、鉱山が世界でも限られているので、現時点で鉄鉱石採掘に参入するのは不可能です。新規参入はほぼ無いと言って良いでしょう。又、鉱山が見つかったとしても採掘設備を整えるのにも膨大な金、モノ、人が必要になります。他の業界と比較すると参入障壁は非常に高いです。

 

ヴァ―レの強み(商品力)

ヴァ―レの強みは、各国、様々な場所に跨る膨大な設備、人員、製造プロセスを管理する、高いマネジメント力です。

ただ上記は他の鉄鉱石メーカーも有している強みなので、ヴァ―レ特有のものではありませんが、他の業界にはなかなか見られない武器だと思います。

「鉄鉱石って、掘って届けるだけでしょ?」と思うかもしれませんが、全然違います。先ず採掘現場を建築する必要があります。鉄鉱石の選別、貯蓄の手間もあります。大変なのは、港から遥か遠方にある鉱山迄の運送です。ヴァ―レは貨物列車で運搬しているので、貨物鉄道の建設や管理も必要になります。港のターミナルも建築する必要があります。このように、採掘してから輸出用に準備するまで、巨大かつ膨大な設備が必要になるので、それらを管理して、効率の良い鉄鉱石採掘を行うのは至難の業です。工場内で製品を作る製造業の比ではありません。

 

ヴァ―レの株価(割安度)


(出典:yahoo!finance)

上記はヴァ―レの株価チャート(青色)です。5年間の期間ではS&P 500(赤色)のパフォーマンスを上回っており、2021年に一度最高値に達して少し下がり、2021年8月21日の株価は18.23ドルです。

株価の上下が激しいですね。ヴァ―レはS&P 500の中の「原材料・素材」セクターに属する筈ですが、このセクターは循環株と呼ばれる、最も株価の変動が激しい株です。なので初心者にはおススメできない、リスクが高い銘柄です。

 


(出典:Reuters)

上記はヴァ―レの各株価指標です。

まずPER(株価収益率)を見てみましょう。ヴァ―レのPERは上記の「P/E Excl. Extra Items (TTM)」の5.49です。PERが高いか低いか判断するために、平均と比較します。S&P 500の「Basic Materials」セクターのPER=18.02です(参照:gurufocus)。セクターの平均よりヴァ―レのPERの方が低いので、ヴァ―レは割安と言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。ヴァ―レのPBR=2.36、これに対しセクター平均は2.22なので、ほぼ平均と同じです。

PERは低いけどPBRは平均だと、どう判断すれば良いのか分かりませんよね?通常、PBRはそんな頻繁に数値が変わるものではありません。つまり、ヴァ―レの場合は直近で収益が改善されてPERが平均的=>低い、に変化したのです。この場合、最近割安になったと言うことです。

 

ヴァ―レの配当金(配当)


(参照:Nasdaq

ヴァ―レは配当を行っており、最新の配当金は0.438ドル(年間1.296ドル、利回り6.71%)です。

「高配当だ!!!」と喜ばれるかもしれませんが、配当金がコロコロ変わっているのに注意して下さい。最新の配当金が0.438ドルだったので、0.438ドル x 2回 = 年間0.876ドルだと、本当は利回り4.8%になります(それでも高配当ではありますが)。

配当金は上がったり下がったりで安定しませんね。年によってはお金が潤沢にあったり、無かったりするということです。業績が安定しないのでしょう、循環株の宿命かもしれません。

 

ヴァ―レの決算内容

ヴァ―レの決算内容を一言で表すと「鉄鉱石価格高騰の恩恵を受けて今年の運動成績(純利益)は上々、血液量(現金)も増えて健康状態が良くなった」という感じです。

下記(3つのポイントの後)に財務諸表があるので、詳細を確認されたい方はそちらをご覧ください。

 

ポイント1

先ず注目すべきは損益計算書(Consolidated Income Statement)の営業利益(Operating income)です。2020年は鉄鉱石の販売量は減りましたが、単価が上がったので、利益率が上がっています。

利益率が上がっているのは良いことですが、これはヴァ―レの努力によるものではありません。販売量も販売単価も市場で決められてしまいます。業績が鉄鉱石の売買相場で決まってしまうのは、如何にも循環株らしいですね。

2021年の業績予想も良い内容ですが、上記の通り鉄鉱石の価格と需要次第というところは要注意です。

 

ポイント2

次に注目すべきは賃借対照表(Consolidated Statement of Financial Position)の総資産額(Total assets)です。上記の通り業績は順調で利益も出ていますが、資産総額は殆ど変わっていません。資産の中身を見ると、現金(Cash and Cash Equivalents)は増えていますが、設備等(Property, plant and equipment)が減っています。

利益が出た年は、普通は一時的に現金が増えるので、これはヴァ―レも同じです。不思議なのは設備の減少で、売却しない限りは減るわけがありません。このカラクリは為替で、ヴァ―レはブラジル企業で通貨はレアルですが、会計はアメリカドルで行っている為、保有している資産(この場合は設備等)に対する調整勘定があり、今回はその結果で会計上は設備等の金額が減っています。

為替によって大幅な損失が出ている場合は注意が必要ですが、上記の場合はそこまで気にする必要は無いと思います。

 

ポイント3

キャッシュフロー計算書(Consolidated statement of Cash flows)は前期比で全体的に内容が改善されています。現金残高(Cash and Cash equivalents at end of the year)がほぼ倍増しており、2020年はキャッシュリッチになりましたね。

あえてケチをつければ、もう少し財務キャッシュフロー(Net Cash used in Financing Activities)のマイナスを大きく、借入を返済しても良かったんじゃないかなとは思いました。ブラジルは金利がめちゃくちゃ高いんですよ。

 

財務諸表


(出典:ヴァ―レ年次報告書

 

ヴァ―レは今後大きくなるか?(成長性)

ヴァ―レの成長性を評価していきましょう。

先ず損益計算書(Consolidated Income Statement)より、2020年は増収増益となっています。営業利益(Operating income)が大きく改善して、素晴らしい内容です。

ヴァ―レ2021年第2四半期報告より、最新業績は売上が前期比31%増の1,667万ドル、営業利益31%増の971万ドルでした。鉄鉱石の販売単価が高かった他、販売量も増えたということです。2021年は鉄鉱石の需要も大きくなっており、ヴァ―レにとっては追い風の状況です。


(参照:Reuters

業績予想ですが、2021年の予想は売上が623億ドル、EPS(一株当たり純利益)が5.5ドルです。今のところEPSも目標を達成していますし、上記業績予想も、今の勢いなら達成できそうです。

次に年次報告書の賃借対照表(Consolidated statement of Financial Position)より、資産総額(Total assets)の増加度合いを見ます。昨年比で資産総額は殆ど変わっておらず、大きく企業が成長したという内容ではありませんでした。

上記を纏めると、2019年は業績が大きくへこみましたが、ここにきて急回復してきていると言えます。

 

ヴァ―レは儲かっているか?(収益性)

ヴァ―レの収益性をチェックしていきましょう。

先ず売上高純利益率を計算してみましょう。損益計算書より、2020年の売上高純利益=4,531÷40,018=11%です。ヴァ―レが含まれる「鉱業」業界において、利益率平均は12~13%(参照:csi market)なので、ヴァ―レの利益率は平均より少し低いです。

次にROA(総資産利益率)をチェックします。純利益÷総資産=4.9%でした。業界平均は3~5%(参照:CSI Market)なので、こちらは平均の範囲内です。

ROE(自己資本利益率)=純利益÷純資産=13%ですが、業界平均は8~12%なので、これも平均の範囲内です。

上記を纏めると、ヴァ―レの収益性は平均的と言えます。

 

ヴァ―レは倒産しないか?(安全性)

最後にヴァ―レの安全性をチェックしましょう。

賃借対照表より、短期的な資金繰りの安全性を示す流動比率=流動資産÷流動負債=167%で、100%を上回っています。

自己資本比率=純資産÷資産総額=37%と、下限の30%を上回っており、一先ず安全と言ったところです。

次にキャッシュフロー計算書(Consolidated Statement of Cash Flows)から見る安全性ですが、2020年は既述の通り本業でのお金の入り具合を示す営業キャッシュフロー(Net Cash provided by Operating Activities)が大きなプラスで、昨年より少し増えています。投資キャッシュフロー(Net Cash provided by Investing Activities)は小さなマイナスで、資本支出(設備等の固定資産に対する修繕等の支出)に使っています。財務キャッシュフロー(Net Cash used in Financing Activities )も小さなマイナスで、ローンや借入金の返済に使っています。現金残高(Cash and Cash equivalent at end of the year)が大きく増えており、資金繰りは完璧ですね。

上記を纏めると、ヴァ―レの安全性は高いと言えます。

 

ヴァ―レの総評

以下は私個人が行った銘柄評価で、特定の企業や従業員、株主を攻撃する目的はありません。又、各銘柄について絶対的に正しい評価を議論するものでも無い為、私個人の銘柄評価に対する非難や誹謗中傷、嫌がらせはお止め下さい。

さて、しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、ヴァ―レの総合評価は81点です。自分の持っている銘柄だからと高評価にしてしまったかなー、とは思いましたが、客観的に見ても先ず先ずの企業だと思いました。

鉄鉱石の需要と価格に業績が大きく揺さぶられるのは頂けないですが、バイデン大統領のインフラ強化方針があったり、目下の需要は悪くないかなと思います。殆ど競合がいない、独占状態のビジネスは非常に魅力的です。

ヴァ―レに投資すべきかどうか、今は少しだけ安くなっていますし「投資すべき」というのが私個人の判断です。ただ、今株式市場は不安定なので、投資タイミングは十分注意して下さい。

以上、ヴァ―レの決算書解説でした。

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