米国株

ビザ(Visa)の決算・業績・財務等の銘柄分析


(出典:Rojak Daily)

今回でキャッシュレス銘柄を一旦区切りたいと思います。

最後に紹介するのはキャッシュレスの重鎮、Visa(NYSE: V)です。説明不要の超大手ですが、意外と確りした財務諸表の分析が無いようなので、この機会にしっかり銘柄分析をしていきます!

 

Visaの企業概要、事業内容(単純事業)

Visaがどんな企業かは皆さんご存知ですよね、Visaはカリフォルニアに拠点を置くクレジットの会社です。公式HPによると、Bank of Americaがクレジットカードを作ったのですが、1976年にそのクレジットカードがVisaという名前になったのが始まりです。Visaがニューヨーク証券取引所に上場したのは2008年なので、ごく最近です。当然ながら、当時最大規模のIPO(Initial Public Offering: 新規公開株)でした。

事業内容は、主要なものがクレジットカードのクレジットの他に、デビット、プリペイド、ATMの4つです。クレジットでは、クレジットカード取引に関する技術や承認サービス等を顧客に提供しています。デビットやプリペイドも、クレジットと同じような事業です。ATMは、Visaカードが使えるATMネットワークを世界中に有しており、エンドユーザーはVisaカードがあれば、世界の何処でもお金を下ろすことができます。

Visaの事業は何れもキャッシュレスに関するもので、大企業の割に事業内容はとてもシンプルで統一されていますね。

 

キャッシュレス支払いの市場規模(社会需要)


(出典:Visual Capitalist)

先ずは社会の需要と市場を見てみましょう。上記は世界のキャッシュレス支払いの金額推移です。2017年から金額がどんどん伸びています。キャッシュレスは送金も簡単ですし、便利、安全ですから、キャッシュレスが飽和するまではこの傾向が続くでしょう。

 

Visaの業界構造(競争要因、参入障壁)

次は競争要因です。Visaについて5フォース分析をしてみましょう。

Visa年次報告書より、直接の競合はクレジット会社のMasterCard、American Express、Diners Club、JCBです。他に各地域でネットワークを提案するSTAR、NYCE、Pulse(米国)、Interac(カナダ)、EFTPOS(オーストラリア)、Mir(ロシア)も競合です。後は、キャッシュレス支払いを提供しているIntuit GoPayment、Paydiant、Google Wallet、ペイパル、スクエア、Apple Pay等も、場合によっては競合になったり、顧客になることもあります。

【関連情報】
ペイパル・ホールディングスの株情報
スクエア(Square)の決算・業績・財務・銘柄分析


(出典:Visa年次報告書

上記は2019年のクレジットのマーケットシェアです。当然、VisaのマーケットシェアがNo.1ですが、意外とMastercardもシェアを持っていますね。上記はあくまでクレジットのマーケットシェアなので、他のキャッシュレス支払いサービスも含めると、如何に業界トップのVisaと言えども、そのシェアは小さくなります。やはりキャッシュレス業界の競争は激しいです。

次は顧客との力関係です。Visaの直接の顧客は加盟店契約会社とクレジットカード発行会社になります。これらの会社は、Visaのクレジットカード取引を使う為に、Visaと契約を締結します。Visaのクレジットカードを使いたいエンドユーザーは多数いるので、加盟店契約会社はVisaを用意しないわけにはいきません。「ウチはMastercardとAmerican Expressとは契約してるけど、Visaとは契約しない」という会社は少数派でしょう。加盟店契約会社にしてみればVisaと契約せざるを得ず、従ってVisaの顧客に対する交渉力はかなり強いです。

仕入先との力関係はどうでしょうか。Visaの仕入れ先と言ってもパッと思い浮かびませんね。仕入れ先は、ネットワークプロバイダー等、クレジットカード取引のインフラに関連する各業者です。Visaは多種多様な業者を抱えており、数も増やしているらしいので、仕入先に対する交渉力は絶大でしょう。

代替サービスの脅威について、日本なら電子マネーだったり、昔ながらの口座振り込み、やっぱり現金等、ぱっと思いつく限りでも複数ありますし、将来的には生体認証での支払い等、技術が進歩すれば別の支払い方法も出てきそうですね。将来クレジットカードが無くなるかもしれず、代替品に関してVisaはよく注意する必要がありそうです。

新規参入者について、クレジットに限って言えば、新たなブランドが出てくる雰囲気はありません。クレジットカードのネットワークさえ作ってしまえば、どんな企業でも出来るビジネスですが、世界中にネットワークを構築するのは簡単ではありません。JCBはいまだに日本以外では殆ど使えないクレジットカードですよね。それだけ、ネットワークを作る大変さが伺えます。クレジットカードブランドは、先に市場を開拓して縄張りを作った者の勝ちという印象があります。技術的には何にも難しくないのですが、ビジネスの性質上、先行者が作った参入障壁を超えるのが難しい業界だと言えそうです。

 

Visaのサービスの強み(商品力)

既述の内容より、Visaの強みは明確ですね。200超の国で使うことができる、全世界に広がるネットワークです。クレジットカードが使えるところで、Visaが使えない場所は先ずありません。

ATMの数も多いですよね。参考になる良いデータが見つからなかったのですが、私個人の経験で言うと、海外の空港に着いてATMを探しても、VisaのATMが見つからないことは先ずありません(余程ショボいボロボロの国際空港だと見つからないかもですが…)。

クレジットカードの種類が豊富なことも大きな魅力ですね。年会費やポイントの種類、海外旅行の保険や損害のカバー等、クレジットカードで重視する点は十人十色なので、他のブランドなら見つからなくても、Visaならぴったりのクレジットカードが見つかりそうです。

Visaはそのブランド力を更に高める為に、投資にも積極的です。FIFA、オリンピック、パラリンピック等、公共イベントのスポンサーシップを進んで行っています。

 

Visaの株価


(出典:YAHOO!ファイナンス)

上記はVisaの株価チャートです。2017年から上昇傾向です。これだけ綺麗な右肩上がりのチャートも珍しいですね。当然、今日が最高値なので、チャートだけで判断すると割高だと言えます。

 

Visaの株価指標(割安度)


(出典:YAHOO!ファイナンス)

Visaの各株価指標ですが、まずPER(株価収益率)を見てみましょう。すっごい意外ですが、VisaはS&P 500のITセクターに該当します。Visaが業界平均と比較してどうかを調べる為、このセクターのPER=35.81(参照:gurufocus)と比較すると、VisaのPERの方が高く、割高だと言えます。

次にPBR(株価純資産倍率)を見ます。ITセクターのPBR=4.84なので、これもVisaの方が非常に高く、割高という判断になります。

 

Visaの配当金(配当)


(出典:Nasdaq

上記はVisaの配当金です。2021年5月の配当金は0.32ドル(年間1.28ドル)、配当利回り0.52%です。株価が高いから仕方が無いですが、高配当とは言い難いです。

配当金はここ数年で増加傾向であり、良い傾向ですね。

 

Visaの業績(成長性、収益性)


(出典:Visa年次報告書

上記より、Visaの2020年決算は減収減益となりました。

売上の落ち込みは、やはりコロナの影響により支払いボリュームが減った為です。サービスやデータ処理の売上は上がりましたが、国際取引の売上が大きく下がりました。海外でVisaカードが使われる機会が減り、外貨での買い物等が減った為です。

営業利益も減っていますが、営業経費は前期比で殆ど変わっていません。人件費は増えていますが、マーケティング費用が減っています。

純利益ですが、法人税が前期より少し増えています。最終的には前期比10%の減少となりました。

さて、Visaの収益性を見ると凄いですね、今期の売上高純利益率は50%です。原価が殆ど0のビジネスと言えますね、Visaを利用する顧客にしてみれば、何もしてないのに高い手数料だけ取られている印象でしょう。では、平均との比較ですが、Visaは「消費者向け金融サービス業界」に含まれ、その業界の利益率平均は19~34%(参照:csi market)なので、Visaの収益性は平均を大きく超えています。投資家としては収益性が高いと良いのですが、業界内での印象としては、圧倒的なブランド力を盾に破格の手数料でボロ儲けしている、という印象でしょう。

次にVisaの最新業績です。2021年2Q(Visaは9月決算だそうです)は売上が前期比2%減の57億ドル、純利益も2%減の30億ドルでした(参照:Visa2021年2Q報告)。2021年に入っても未だやや軟調です。


(出典:Reuters

上記の業績予想より、2021年の売上は前期比微増の236億ドル、EPS(一株当たり利益)が5.631ドルです。消費の回復を前提に上記の業績予想を立てたのかもしれませんが、最新の業績を見ると、この目標を達成できるかは微妙なところだと言えます。

業績について纏めると、今までの成長にもストップがかかっており、今年も成績は横ばいになりそうです。

 

Visaの賃借対照表(成長性、収益性、安全性)


(出典:Visa年次報告書

Visaの資産状況について、先ず中身を見ていきます。借方で大きいのは現金(流動資産)、のれん(買収額のうち純資産を上回る部分)やソフトウェア等の無形資産(固定資産)です。貸方で大きいのは長期借入金(固定負債)、株式払込余剰金と利益余剰金(資産)です。他のキャッシュレスサービスの企業と異なり、自社が売買の流れに入らないので、買掛金や売掛金が極端に少なく、顧客から手数料だけをどんどん受け取り、自社のソフトウェア等に投資するという、まさにIT企業の資産内容です。

では前期比での資産増減を見てみましょう。借方では現金(流動資産)、貸方では長期借入金(固定負債)が大きく増えてます。要は、借入で一時的に現金が増えたということですね。借入で資産が大きくなるのは見せかけの成長で、本当の企業成長とは言えません。借入金で増やした現金を何に使うのか、今後に注目です。

次にROA(総資産利益率)をチェックすると、純利益÷資産=13%でした。業界平均は2~4%(参照:CSI Market)なので、これまたとんでもない資産効率の良さです。

ROE(自己資本利益率)はどうでしょうか。VisaのROE=純利益÷純資産=30%ですが、業界平均は21~27%なので、これも平均を超えて高いです。

流動資産÷流動負債=流動比率は190%で、100%を遥かに上回っており、短期の支払い能力は全く問題ありません。

自己資本比率は44%と、下限の30%を上回っており、倒産の心配も無く安心です。

 

Visaのキャッシュフロー計算書(安全性)


(出典:Visa年次報告書

Visaのキャッシュフローを一つずつ見ていきましょう。

先ず営業キャッシュフローは、前期よりは減ったもののプラスになっています。顧客への報酬等、営業キャッシュフローの計算において各種調整がありますが、最終的には純利益と営業キャッシュフローの差が殆どありません。いずれにしても、本業で確り稼いでキャッシュが入ってきていることが分かります。

投資キャッシュフローは小さなプラスで、一番大きいのは有価証券の売却です。

財務キャッシュフローは小さなマイナスですが、一番大きいのは自社株(class A)買いです。

キャッシュフローを総合すると、本業でキャッシュが確り入ってきており、投資で更にキャッシュを増やしたのは謎ですが、財務キャッシュフローで少しキャッシュを使っており、上々の資金繰りです。手元のキャッシュがかなり増えているので、恐らく今後このお金を投資に使うと思われます。

 

Visaの総評

しーおががの銘柄評価基準に照らし合わせた、Visaの総合評価は78点です。

Visaブランドを世界中に展開したらこちらのもの、原価ほぼ0で「Visa使用料」を契約会社からがっつり吸い取るビジネスは良く出来ています。ただ業績の伸びには陰りが見えており、株価も既にかなり高い状態です。

Visaに投資すべきかどうか、割安になるまでは「買わない」というのがしーおがが個人の判断です。因みに、業績が伸び悩んでいるのを見て株を売る投資家が出てきそうなので、今後株価が落ちないか、Visaホルダーの方は注意して下さい。

以上、Visaの決算情報でした。

-米国株

© 2022 しーおががの米国株ブログ Powered by AFFINGER5